38歳で大学生に 上原さくらさん「Age means nothing!(年齢なんて関係ない)」
ノリでスピーチコンテストに
38歳。大学1年の時に、先生に勧められて英語のスピーチコンテストに出場することになりました。両隣の子が手を挙げたので私も、ノリで(笑)。なので、テーマを決めるのには苦労しました。他の友だちは大学生らしい社会問題をテーマにする人が多かったです。選挙に行こう、差別をなくそう、LGBTを考えよう、など。私は、みんなと違ってもいいから、自分の経験を話したいなと思いました。自分のことなら、リサーチも必要ないですし(笑)。
それで、なぜ38歳の私が大学に通っているのか、を話そうと思いました。それが「Age means nothing(年齢なんて関係ない)」というタイトルにつながります。最初に英語で考えて、うまく言えないところは日本語で原稿を書いていきました。10時間くらいかかりましたね。それから、授業前にクラスで「聞いてもらえませんか」って、50人くらいの前で練習させていただいて。もう必死すぎて、夢の中でも練習していて、自分の練習している声で起きたこともあるくらい(笑)。
人前に出るのがいやで仕事を休んでいるのに、なんでまた人前に出ることを選んでるんだろうって、つくづく自分が嫌になりましたよ。私、お調子者なんです。
今恥ずかしくても、10年たったら大笑いだよ
酔っ払ったノリでR-1グランプリに出ると宣言して、実際に出たこともありました。最初は「エントリーしている人もたくさんいるだろうし、当日行かなきゃいいや」くらいに思っていたんですけど、マネジャーに「それは失礼でしょ」と怒られて、泣く泣く練習して。やるからには人に恥ずかしくないものをお見せしないとっていう、引くに引けない小心者でもあるんです。
スピーチコンテストも「やるなんて言わなきゃよかった」と何度も後悔しました。「緊張して手が震える。できることならやりたくない」と先生に弱音を吐いたこともありました。
そこで言われたのが「今はそうかもしれないけど、10年たったら大笑いだよ」って。確かに、2010年のR-1の話なんて大笑いですもん。そこで、失敗してもいい、思い出を作ろうって気持ちが切り替わったんです。
舞台の上なんて慣れてるでしょ?って思われるかもしれないですけど、やっぱり苦手なんです。お客さんは500~600人。会場に入りきれずモニターで見ている人も含めたら、もっとたくさんの人が見ています。歯がカチカチしちゃって、生きた心地がしなかったです。
終わった後に先生や友だちから「すごくよかったよ」って言ってもらえて、ほっとしました。
ミスコンにも出たかったな(笑)
嫌だ嫌だと言っていたのに、3年生の時も出場しました。テーマは「メメントモリ」。死ぬことを忘れるな、いつ死んでもいいような後悔しない人生を。4年生になった今年は、「これは私の人生だから好きなように生きる」。私はだいたい伝えたいことが一緒なんですよね。
このスピーチコンテストは3次選考まであって、50人が6人にまで絞られます。観客も多く、ミスコンよりも注目されているんですよ。……あ、でもミスコンも出たかったな。1、2年生まではお声かかってたんだけどなあ。1次で落ちたりしてたら面白かったんだろうな。なんて、こういうところがまたお調子者なんでしょうね(笑)。
学ぶ意志さえあればスタートできる
でも、若さが勝ちって思いたくないんですよ。
今、学ぶことで点と点が線になっていくのを感じています。これまで疑問に思っていたことが結びついて、もやもやしたことに言葉が与えられる。教室の半分が留学生という授業もあり、「普通」があまりに多様であることを知りました。「普通って誰にとって?どんな環境で?」って。
学ぶって、楽しいです。18歳の時に無理やり大学に行かされていたら、こんな風に「学び」と向き合えなかっただろうと思うんです。
いくつになっても、学ぶ意志さえあればスタートは切れると思っています。いつか大学に行けたらと、ずっとなんとなく意識してお金は貯めていたんです。でも、行こうと決めたのは受験の3,4カ月前。「いつか」や「なんとなく」が本当になるなんて、1年前には想像もつかなかったこと。だからこれから先の私の1年後も、どういう成長をしているのかはわからない。それがとても楽しみなんです。
- ●上原さくらさんプロフィール
1977年東京都生まれ。「第19回ホリプロスカウトキャラバン」でグランプリ受賞。1995年に芸能界デビュー。ドラマ、バラエティーなどで活躍。2010年に芸人として「R1ぐらんぷり」に出場。2015年に東海大学に入学。
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