上原さくら
タレント(41歳)

上原さくら「いったん全てを捨てて、私が大学生になった理由」

タレント・上原さくら(41) 36~38歳の間に心身ともに不調となって、一度仕事をお休みし、38歳で大学受験。念願だった「大学生」になりました。苦しかった時期をどう乗り越え、なぜ大学受験をしたの?年齢のことや芸能人として見られること、不安はなかった?気になることたくさん、語ってくださいました。

「大学を出ていない」がコンプレックス

小中高と勉強が大嫌いでした。17歳からお仕事もしていたので、高校卒業後は事務所の寮に入ることになって「ああこれで勉強しなくて済む!ラッキー」と思ったほど。

だけど、20歳を過ぎた頃、同窓会で聞く大学生活の話が楽しそうで。高校の時とは違う大人っぽい恋愛、サークル活動……。20代前半は、夢だった歌手活動をさせてもらえたのですが、売れなくて。バラエティ、ドラマ、と歌手以外の仕事もするようになってきました。23、24歳の頃からですかね、緊張やストレスで眠れない。心療内科で睡眠薬や精神安定剤を処方してもらっていました。

取材に応じる上原さくらさん

人前で何かをする仕事は向いていない、辞めたいなとずっと思っていました。でも、辞めても私、大学も出ていないし、こんな私を雇ってくれる会社なんかないよな、とも思っていました。もちろん、誰もが学歴がなきゃダメだなんてことは思っていません。でも私には、「大学を出ていない」ことが自分の可能性を狭めているように思えていたんですよね。

35歳ころには、仕事もプライベートもうまくいかなくなりました。ご飯も食べられず、体重は36~37キロまで落ちて、もう人前に出られる顔じゃないわけですよ。それでも「私、仕事に行きますから!」と言って、まわりに「休め!」と言われて。そのアドバイスにすら「意地悪言われているんじゃないか」って誤解して、素直に聞けずにいました。

3900円のバッグで学校に行っています

結局36歳から38歳までの3年間、仕事をお休みすることにしたんです。
何をしようかなと思った時に、ずっとひっかかっていた「大学に行きたい」という願いを実現したくなりました。じゃあどこの大学に行こうかと考えたときに、高校時代に乗っていた小田急線沿いの東海大学の学生になりたい、と。オープンキャンパスに行ったことがあったのでキャンパス内も知っているし、キラキラ、ワクワクしたイメージがあったんです。

入学すれば、まわりは18歳~20代初頭の若い子ばかり。初日は、自分へのお祝いも兼ねて買ったシャネルのピンクのトートバッグを持って行ったんです。そうしたら先生に、「バッグは床に置いて」と言われ、「バッグ汚れちゃうじゃん」って、そこでハッと気づいた。ここは勉強をするところであって、「年上のお姉さん」をアピールする必要はないんだって。それからは一度もシャネルのトートは使ってないです。3900円のバック買いました(笑)。

取材に応じる上原さくらさんの手元のアップ

洋服もそうですね、ブログにも載せていますが、GU、ユニクロ、しまむらをたくさん買って組み合わせを楽しんでいます。私が20代のころはハイブランドの方がかっこよかったですけど、今の大学生世代は、流行のサイクルも早いからファストファッションの方が好きなのかもしれません。

タレント「上原さくら」を脱ぎ捨てて

年齢の壁について、初めは私自身が「20歳も下の子となんて話せる話題もなさそう」って思っていました。でも、初日のうちにたくさんの新入生とライン交換したんです。男女問わず、めっちゃモテたんですよ。「芸能人」をしていると、気軽に声をかけていただく機会もないのでびっくりしました。

それから1週間くらい経って、「ひとつ聞いていい?さくらさんってもしかして芸能活動してたんですか?」って、突然“さん”付けになりました(笑)。「お母さんが昔、ファンだった」っていう子もいて、「お母さん」「だった」(過去形)って2度失礼だわ!って突っ込みましたけど(笑)。

一時は、30代で3年も仕事を休むなんて「もう人生おしまいじゃん」って思ったこともありました。タレント「上原さくら」を演じなきゃいけないのが、とても苦しかったんだと、今ならわかります。「気が強い」「しっかりしている」イメージ。でも、キャンパスでは誰も「上原さくら」を求めていない。素でいられる時間が増えて、自然体でいられるようになったんだと思います。今では、プライベートでも遊ぶし卒業後も付き合っていきたい、そんな友だちもできました。

カメラに視線を送る上原さくらさん

あのとき休んで、本当に良かった。いったん全てを手放したからこそ、他人に求められる「上原さくら」ではなく、私がなりたい私に向き合うことができた。あの3年間のおかげで、人生よくなっているとはっきり言えます。

ただ、私は「全てを手放した」「ゼロからのスタートだ」と思っていても、ちゃんと過去の経験は活きてくるんですよね。何も無駄にならない。自分の意志さえあれば、生き直すことは何度でもできる。人生まだまだなんとでもなる、そう思います。

  • ●上原さくらさんプロフィール
    1977年東京都生まれ。「第19回ホリプロスカウトキャラバン」でグランプリ受賞。1995年に芸能界デビュー。ドラマ、バラエティーなどで活躍。2010年に芸人として「R1ぐらんぷり」に出場。2015年に東海大学に入学。
    公式ブログはこちら

telling,の妹媒体?「かがみよかがみ」編集長。telling,に立ち上げからかかわる初期メン。2009年朝日新聞入社。「全ての人を満足させようと思ったら、一人も熱狂させられない」という感じで生きていこうと思っています。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。
へたで、いい