キレイの定義

ファッションよりもコスメはSNSに映える? 美容誌が絶好調なワケ

モノが売れない時代、とはよく聞きますが、なんと美容業界は絶好調なんだそうです。主要美容誌3誌(VOCE、美的、MAQUIA)の実売部数累計は、3年間で大幅に増え、直近で盛り上がった号では約35万部と右肩上がり。その理由をVOCEのウェブサイト編集長に三好さやかさん(36)に聞くと「SNSの普及が関係しているかも」とのこと。SNSと美容がどう関係しているの?詳しく聞いてきました。

●キレイの定義

顔出しSNSの影響で「寄り」に耐えるコスメ

――美容誌の販売部数が上がっている実感はありますか?

三好さやかさん(以下三好): 主な美容誌に、VOCE、美的、MAQUIAの3誌があります。これまでは、この3誌の中から1誌選ぶ、という買い方が主流でしたが、最近は2誌買いも当たり前。全部買う人もいるくらいです。

ファッション誌も、これまでは美容記事はサブ扱いでしたが、最近は美容をトップ特集に持ってきている雑誌も増えていますよね。洋服よりも「美容」に読者の興味が向いているのかもしれません。

――服よりも美容に興味が向くのはなぜでしょう?

三好: 化粧品の方がいろんなバリエーションをつけられるからじゃないでしょうか。例えば、私が今着ているこのお洋服も、着方は1通りしかない。後ろ前に着られないし、ワンショルにする……袖を抜いて巻く……ちょっと無理ありますよね(笑)。でも、赤リップなら、直塗りするか筆で塗るかだけでも全然違いますし、アイシャドーにもチークにも、赤眉にも使えるわけです。1個のアイテムで使い方の幅が広いんです。

SNSとの親和性も、化粧品の方が高いと思います。インスタをみても、“#コスメ好きさんと繫がりたい”は97万件に対して“#ファッション好きな人と繫がりたい”は13万件。約7倍なんです。

これは、ひとつは化粧品の方が「ブツ映え」するからだと思います。お洋服って、着ないと上手に撮れない。床に置いたり、ハンガーにつるしても映えない。本当にきれいに撮ろうと思うと、撮影に一手間かかります。その点、コスメって寄るだけでかわいく撮れちゃう。インスタ映えるっていうのも大きいと思います。

もう一点、インスタやTikTokなど顔出しのSNSの影響で、自分の写真を寄りで撮る機会が増えたこともあると思います。いろんな意味で「映え」を気にして、化粧品が人気なんでしょうね。

雑誌と読者 SNSを通じ情報交換

――SNSが広まったことで、美容業界に何か変化はありますか?

三好: これまでは、雑誌が「これがトレンドです!どーん」と発信者としてお伝えしている感じでしたが、今は、SNSから情報を得ることもあり、双方向な関係になっているのを感じます。例えば、イエベ(イエローベース)、ブルベ(ブルーベース)という言葉もツイッター発信。それまでVOCEは「黄み肌さん」「青み肌さん」と呼んでいたのを、変えました。それから、化粧品の色みを見るために肌にのせた写真をスォッチ(見本)というのですが、それもインスタの影響で採り入れるようになりましたね。

発信者が増えたことで、化粧品もパーソナライズ化されてきました。「これを買っておけば間違いなし!」ではなく「あなたにはこれが似合う」という推し方。口紅だけで100本塗って、違いを見てもらう、自分に合ったものを探してもらう、という特集もしています。

――びっくりしたんですけど、美容整形の特集もしてますよね?美容整形もあり、なんでしょうか。

三好: VOCEのコンセプトは「キレイになるって 面白い!」。読者がきれいになることを応援しています。自分にコンプレックスがあって、それが美容整形で解決するならやればいいと思います。数万円で、ずっと悩んでいたことが解決するわけですし。
ただ、人造人間みたいな女性が美しいとは思わない。そういう方はモデルとして登場していないですね。

化粧品のおかげで、老化のスピードはどんどん遅くなっていくと思う

――ここ最近の化粧品の変化ってありますか。

三好: 基礎化粧品が確実に進化しています。「しわが消えます」ってうたうことができる商品もあるくらいですからね。10年前じゃありえなかった。私が徹夜続きで仕事していても、若い肌年齢でいられるのは、化粧品のおかげだと思っています。老化のスピードはどんどん遅くなっていくと思います。一方で、新しい悩みも出てきています。大気汚染やブルーライトなど……でも、その悩みが解決されるような化粧品もどんどん生まれてくるんですよね。化粧品の進化はすごいです。手入れするのとしないのとでは大きな差になると思います。

telling,の妹媒体?「かがみよかがみ」編集長。telling,に立ち上げからかかわる初期メン。2009年朝日新聞入社。「全ての人を満足させようと思ったら、一人も熱狂させられない」という感じで生きていこうと思っています。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。
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