妊活と不妊治療のリアル 30歳「イノセント夫」が思うこと

結婚したし、そろそろ子どもがほしいから「子づくり」にちゃんと取り組む。基礎体温を測って、排卵日を認識して、夫に「早く帰ってきてね」と共有して…・・・。男性はこの状況をどう思っているんだろう? というわけで、妊活中の夫婦A男さんと、別の夫婦・M子さんのセキララトークに潜入してきました。

A男さん 30歳、結婚4年目、男性。結婚と同時に同居。妊活中だが妻とギャップあり。

M子さん 35歳、結婚4年目、女性。結婚前に同棲2年。不妊治療を経て現在は治療せず、夫婦2人で暮らす。

telling,編集部(以下編集部):今日はありがとうございます。A男さんはいま30歳、奥さまはおいくつですか?

A男さん(以下A男):妻は29歳です。僕からモーレツにアプローチして2015年に結婚して、丸3年になります。最近同世代の女友達と話して、自分がダメ夫なんじゃないかという気がしてきて。というのも最近、妻から「あなたがトイレを出たあとはいつも、ドアノブが濡れていてイヤだ」と言われまして……。ああ、そうか、手を洗ったあとに手を拭いていなかった、さらには裸で歩き回ってしまったりとか、一人暮らしだった時の癖がいまだに抜けてないみたいなんです。

M子さん(以下M子):うわぁ、あるあるですね。うちも夫がトイレの使い方が汚いから、すごいイライラしてます。

A男:やっぱりそうなんですかね。うちは、妻から「子どもがほしい」ってずっと言われていて、2年ほど前から本格的に子づくりを意識するようになったんです。妻は「初めてのたまごクラブ」「妊活たまごクラブ」とか買ってきたんですが、僕はページを開いてもいないことに気づかれてしまいまして。なんとなく自分ごとと思えないというか、そういうのはまだだろ、みたいに思ってしまっているのかもしれません。

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M子:それは、女性側にとってはつらいかも。

A男:ううっ……。

子どもはほしい? 夫婦の温度差が妊活への姿勢にも

A男:最初は基礎体温を測るとか、排卵期があるとかそういうのも知りませんでした。「なんか、体温測ってるな?」くらいの意識で。妻から体温を記録するアプリを共有されて、「今日はそういう日だから、早く帰ってきてね」なんて言われたり。それで飲んで遅く帰るとめちゃくちゃ怒られたりとか。

M子:そりゃ当然ですよ。怒られますよ。妊活への取り組み方に温度差があるんですね。A男さんは、子どもはほしくないの?

A男:うーん、正直、どちらでもいいんですよね……。2人でも楽しいから、いてもいなくてもいいかな、という気持ちですね。でも妻がほしいなら、それは協力したいなと。

M子:あ、そこはA男さんの気持ちわかる。私は奥さんと違って、いてもいなくてもいいかなぁと。2人ともそんな感じだから全然踏み切れない。

A男:でも2人の温度感が同じだと、それはそれで楽かもしれないですね。

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編集部:男性側の妊活事情ってあんまり聞いたことないかも。どんな感じですか?

A男:僕、性欲は強いほうだと思うんですよ。妻のこと大好きだし。だからしたいなーって思うんですけど、正直、妊活になってから義務みたいに感じるときもあるなあ。1週間連続でする、ってなると……、もはや、スポーツだなって思うときもあります。

M子:スポーツ、わかる(笑)。

流産した妻に「イヤホン買いに行く?」痛恨の無神経発言

A男:実は去年の秋と、今年の春に妊娠したんですけど、2回とも流産しちゃったんです。1回目はそれこそ超初期だったので、僕は全然ピンときてなかったんですよ。でも妻は妊娠した! っていう喜びからどん底に突き落とされて、ずっと泣いてて。なんていうか、妻にそんな思いをさせたお腹の子に腹が立ちました。その気持ちをそのまま伝えたら、「それは全然わかってない」って。

M子:たぶん、一緒に悲しんでほしかったんじゃないかな。やっぱり男性ってなかなか自分ごとになれないのかな。

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A男:初期は本当にピンとこないですよ。「赤ちゃんだよ」って写真を見せられても、まだ、ちっちゃい丸い粒だよね? って思ってしまいまして。

M子:えっ。それは、奥さんにはまさか言ってないですよね……。

A男:いや、もちろん言ってないです。でもそういう意識がやっぱり言葉の端々に出ちゃうというか。妻は流産したことを思い出したら泣いちゃうみたいで、しばらくずっと落ち込んでました。やっと立ち直って、今年の2月にまた妊娠したんです。嬉しい! ってすごく喜んでました。僕も嬉しいなと思ったんですが、ちょうどハワイに行こうと計画してたんで、思わず「じゃあハワイは行けないね」って言っちゃったんです。

編集部:……まじですか! 悪気なく?

A男:はい、なんか何も考えず言っちゃって。妻は今も根に持ってるみたいです……。そして、妊娠はしたものの、ずっと出血があって病院に何度も行ってました。

M子:あーそれ。すっごい不安なんですよ。私も実は流産経験があるから、めっちゃわかります。

A男:そうだったんですか……。妻は「今回は万全を期したいから」と言って、上司に話して1カ月休みを取ってました。総合職なので1カ月休むってけっこうおおごとなんですけど、その時は仕事より子ども、という気持ちだったみたいです。でも結局ダメで、もう流産確定ですねっていう診断が出た日は一緒に病院に行ってたんです。でも、何を言ったらいいかわからなくて、出てきた言葉が「ラーメンでも食べに行く?」

M子:なんでラーメンなの(涙)。

A男:いや、その時僕が食べたくて。なんか、気を紛らわすこと言おうと思って必死で。もちろん断られて、次に出てきた言葉は「イヤホン買いたいから電気屋行こうよ」って。

編集部:ラーメンからの、イヤホン……。

A男:僕がほしかったんで。ほんとなんにも考えてなかったです。ああ、その冷たい反応がいちいち刺さる……。話しててつらくなってきた。

すべての言動に“悪気”なし、「イノセント夫」誕生の瞬間

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A男:もう一つ懺悔します。実は、手術する日程が決まったという電話がかかってきた時、また何も考えず「あ、その時間は恵比寿で打ち合わせだわ」って言っちゃった。

M子:ギャー!

A男:電話を切られました。これはまずいぞと思い直して、すぐに電話をかけ直して謝り倒しました。スケジュールを調整して、その日は一緒に行きました。

編集部:なんていうか、悪気はないけど考えがなさすぎる……、イノセントなんですね、A男さん。

M子:そうだ! イノセント夫!

A男:イノセント夫……。無神経と言わない優しさが心に染みます。

(次回に続く)

パートナーとの関係、子どものこと、不妊治療……。これってタブーなのかな? 言っちゃいけないのかな?そんな気持ちで悩んでいる方、telling,までご意見をお寄せください。

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未婚、既婚、子どもの有無、転職や独立の経験者。恋好き、旅好き、おいしいもの好き(缶チューハイ含む)。さまざまなstoryを持つ「telling,」編集部メンバー。

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