仕事に不可欠な集中力、土台は弓道で身につけました。

スポーツ、バラエティー、ニュース――番組ごとに違う顔を見せながら、軽妙な切り返しを見せるフリーアナウンサーの新井恵理那さん(28)。集中力を切らさずにいるために必要なことは「心配すること」そして「周到な準備」だと言います。その原点は、高校時代の弓道部の経験にありました。

●特集「集中力」を高めるには?

仕事に不可欠な集中力、土台は弓道で身につけました。

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 毎朝のニュース番組を担当しています。仕事に入るための「集中スイッチ」は、メイク。それまでは結構ぼーっとしているんですが、メイクが始まると、やるぞって思います。

いつものルーティンでスイッチオン

 朝、することは、まずその日のニュースを目で追いつつ、朝ご飯。食べ終えたら、原稿の下読みをしながら口を動かし、ほぐします。それから、歯磨き、リップ、ハンドクリーム。いつも同じ順番でこなしていきます。人前に出る仕事なので、身なりをきちんとすることが大事だと思っているんです。ハンドクリームやリップを塗るのは、ちゃんとした自分になれたと自信をつけるためのものです。

 そして、本番前は心を落ち着かせるために、目をつむり、その日の段取りを一通り、頭の中でシミュレーションします。「つまずくことはないかな?この流れで良いかな?」というのを考えています。

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集中のために必要なのは「心配力」

 打ち合わせのときも、わからないことをわかったふりはしないようにしています。疑問が残ったまま本番を迎えてしまうと、緊張したり、余計なことを考えたりしてしまい、集中力が切れてしまってベストな状態とは言えないと思うんです。

 本番をベストな状態で迎えるために、「集中力」は不可欠です。その集中力を高めるために必要なのは……、私は「心配力」だと思うんです。心を配る、というように、本番前に失敗の可能性を全部考えて、一個ずつつぶしていきます。

緊張していると何が起きるかわからない

 集中力が足りずに失敗した経験ですか? ありますよ、苦い過去が。社会人1年目のとき、お天気情報を伝える際に、「雨」を「はれ」と読んでしまったことがあるんです。

 落ち着いていれば、「雨」を読み間違えるはずなんてないですよね。だけど緊張しているときは何がおきるかわからない、ということを痛感しました。それ以来、お天気の原稿では、必ず「雨」という字には大きく丸をして「あめ」と書くようにしています。

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弓を引く前から勝負は決まっている

 こうしたルーティンや事前準備を大事にする習慣は、「弓道」で身についたと思います。高校時代の部活ではじめて、弓道2段です。

 弓道では、「弓を引く前から勝負は決まっている」と捉えられるんですよ。道具の準備に始まり、入場してからの、足の運び、腕の上げ方……。すべてに「理想の形」があり、理想どおりに進めることが本番を落ち着いて迎えることにつながるんです。

 ある日、「なんとなく、今日はいける気がする」とタカをくくっていた試合があったんですが……、やっぱり失敗しました。準備をおろそかにするから、気が緩んで集中できず失敗するんです。

 緊張しすぎてもよくないけれど、油断は禁物。これは、弓道以外にも通じることだと思います。だから、「なんとなく」うまくいく日をなくして、「準備したから」うまくいく日を増やすようにしています。

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人にも自分にも素直でいたい

 普段のお仕事で心がけていることは、一般論ではない、自分の思いを言葉にすること。それが、「伝える者」としての責任ではないかと私なりに考えています。

 視聴者の方に勘違いや聞き間違いがないように、言葉の使い方には気をつけています。うそはつきたくない。人にも自分にも素直でいたい。それが誠実に仕事と向き合うことだと思います。だから、視聴者にうまく伝わったかなって思うときに、やりがいを感じます。

 今年、仕事を始めて8年目。これまでの経験を活かせるようになって、やっとある程度の要領を掴めるようになってきました。

 音楽、情報、スポーツと幅広く色々なジャンルをやってきて、それらを融合させるようなこと、分野の垣根を超えてアドリブでトークするといったことができるようになってきたと思います。つくづく、自分の経験したことが言葉として現れる仕事だと痛感しますね。だから休みの日もスポーツやイベント、旅行など、さまざまな場所に足を運ぶようにしています。もちろん、家で本を読んだり、ジュエリーを作ったりするのも大好きですが。何でも、勉強だと思っています。

いつかの「ここぞ」のために今、準備

 今後の目標は、う~ん、特にないんですよね。いつか、ここぞという時が来るのだとしたら、今がそのための準備期間。やっぱり今を大事に生きることが大事なのかなと思います。

六本木にて

●新井 恵理那(あらい・えりな)さん プロフィール

フリーアナウンサー(セント・フォース所属)。米国カリフォルニア州生まれ。2009年度ミス青学。趣味はゴルフ、トレッキング。「グッド!モーニング」「東京らふストーリー」 (テレビ朝日)、「新・情報7daysニュースキャスター」(TBS)、「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波乱万丈伝~」(テレビ東京)、「所さんお届けモノです!」(毎日放送)、「歌え!土曜日LOVE Hits」(NHK第1)、「NEXCO東日本/高速道路リニューアルプロジェクト」(CF)に現在出演中。

未婚、既婚、子どもの有無、転職や独立の経験者。恋好き、旅好き、おいしいもの好き(缶チューハイ含む)。さまざまなstoryを持つ「telling,」編集部メンバー。
フォトグラファー。岡山県出身。東京工芸大学工学部写真工学科卒業後スタジオエビス入社、稲越功一氏に師事。2003年フリーランスに。 ライフワークとして毎日写真を撮り続ける。

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