森山直太朗×親友・メミ対談 僕たちが好きを仕事にするまで
なんでも楽しもう!というオーラが、人を巻き込んでいく
唯根命美(以下、メミ):直太朗と私は成城学園出身で、幼稚園から大学までずーっと一緒でした。学年は直太朗が一個上ですけど、小さいころから存在は知っていました。
森山直太朗(以下、直太朗):小学校低学年のとき、あるスキー合宿で一緒になったよね。それから、学年は違うけど「知ってる友達」になりました。
メミ:お互いスキーを続けていたのが、さらに仲良くなるきっかけになったかな。成城のスキー学校っていうのがあって、それにはコーチではなく卒業生が教えにくるという伝統があるんです。それで、私と直太朗も大学生のとき、教える立場としてそのスキー学校に参加しました。私は中級者クラス、直太朗はスキーが上手くて、上級者クラスの担当でした。
直太朗:メミは、当時から目立っていました。彼女の、「なんでも楽しもう!」というオーラが、次々に人を巻き込んでいく。で、僕もね、やっぱり似た気質を持っている。そこが共鳴して、その学校をきっかけに意気投合したんです。
メミ:それからなんだかんだ20年以上、一緒によく遊んでいます。今でも2カ月に1回くらいのペースで会う。他の共通の友達も一緒に、私や直太朗が美味しいものを作って、食べ飲みながら、たくさんしゃべる。
直太朗も、料理がうまいんですよ。私のレシピ、よく盗まれますけど。この前なんて、直太朗がテレビで料理の話をしているのを見ていたら、私のレシピのソースが「森山直太朗特製ソース」として紹介されていました(笑)。
あと私、直太朗の歌がとにかく大好きなんです。本当に素晴らしい。もっともっとたくさんの人に聞いて欲しいと、いつも思っています。
直太朗:僕、デビューして少ししてから一気に忙しくなってきた時期があって。自分から積極的に連絡取らなかったから、気がついたら多くの友達と疎遠になってしまっていたんです。
でも、メミは違った。メミはしつこいんです。一度誘いを断ると、「じゃあいつ?いつなら大丈夫?」って言って、絶対に引き下がらない(笑)。あと、僕の公演にも毎回来てくれて、しかも昔の友達を連れて来てくれたりするんです。まだ駆け出しのころ、お客さんが集まらなくてっていう時代から、ずっと僕を見続けてくれています。とても感謝しています。
ちなみに他にも二人、仲の良い昔からの友達がいます。僕、友達が少ないんですよ(笑)。そのなかで、タカオっていうヤツは僕にとって大きな木みたいな存在。もう一人、曲を共作している御徒町凧(おかちまち・かいと)は、風みたいな存在かな。それと、メミ。メミは僕にとって、太陽みたいな存在です。
「今始めなくて、いつやるんだろう、手遅れになったらもったいない!」と一念発起した
メミ:良く会っているわりに仕事の話はしないから、直太朗は私の仕事についてあまり知らないんじゃないかな。
大学在学中に就職活動はしませんでした。英語が話せるようになりたくて、卒業した後ロンドンに語学留学に行きました。また、料理上手な母の影響を受け、私も料理が好きで、「学校を卒業したら、フランスやスペインに行って料理を勉強するのも良いな」と思っていたんです。
そうしたら、知り合いのつてをたどって、運良く料理家ジェイミー・オリバーのアシスタントになれたんです。ジェイミーはすでに爆発的な人気があって、様々なメディアに引っ張りだこでした。彼のチームで見習いから始めて、実に様々なことを勉強させてもらいました。
4年間のロンドン生活を経て帰国したのが26歳。ところが突然、料理に携わる仕事をするのに怖気づいて不安になったんです。それで、どうしようか悩みながらぶらぶらと数年過ごしていました。
でも、30歳になるときに、「今始めなくて、いつやるんだろう、手遅れになったらもったいない!」と一念発起し、フードスタイリストとしての仕事を始めました。女性って、ライフステージが次々に変わりますよね。この仕事なら、結婚しても子どもが生まれてもきっと自分のペースで続けていけるし、何より大好きな食に関われる。これしかない!と思いました。
当初は徐々に始めた感じで、それだけではもちろん生活できないので、しばらくアルバイトと兼業していましたよ。
最初にいただいた大きな仕事は、オーガニック食材を扱う会社のレシピ作成とアドバイザーです。また、フード・スタイリングのテクニックについては、イギリス時代の経験値と、あとは独学で。ご紹介でだんだんと、少しずつ仕事が増えていきました。
今も人づてでお仕事をいただくことがほとんどで、ありがたいことに自分で営業のようなことをしたことが一度もないんです。そのかわり、ご相談いただいた仕事はすべてお受けするようにしてきました。
- 後編に続く。対談の続きはこちら
- 唯根命美 / memi(40歳) フード・スタイリスト。一般社団法人日本サンドイッチ協会会長。著書の「ケーキイッチ」がグルマン世界料理本大賞金賞受賞。一児の母。
- 森山直太朗(41歳) シンガー・ソングライター。2002年メジャーデビュー、セカンドシングルの「さくら(独唱)」がオリコン1位獲得。母親はシンガーの森山良子。
- ●『北欧生まれのおもてなしサンドイッチ ケーキイッチ』/PARCO出版(写真上・左)ケーキのようにデコレーションしたサンドイッチ「ケーキイッチ」のレシピ本。ローストビーフやハム等でアレンジした新感覚のケーキイッチレシピを紹介。
- ●劇場公演「あの城」/ユニバーサルミュージック(写真上・右)昨年2016年秋に下北沢・本多劇場にて上演された森山直太朗劇場公演「あの城」。音楽と演劇を融合した本公演の模様をDVD作品化。
協力:ブラッセリー・アデニア
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