【編集長コラム】マミートラック、解消する日は

「マミートラック」という言葉を知っていますか? 女性の人生を考えるにあたり、なかなかに深い意味が込められているようで……。「telling,」には「あなただけに言うね」という意味があります。結婚、妊娠、キャリア……。ライフステージの変化を迎える女性の多様な生き方、価値観を伝え、自分らしい一歩を共に考えるメディアです。柏木友紀編集長のコラムをお届けします。
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出産後、出世ラインから外れてしまいがちな女性たち。この「マミートラック」の実態が、子どもがいる共働き夫婦の調査(21世紀職業財団)でわかった。妻の過半数が「夫のキャリアを優先する」と答え、分析した山谷真名さんは「女性自身が無意識に周囲の環境から『子育ては女性』と思い込んでいるのでは」と話す。背景には男女の賃金格差や昇進格差も横たわる(『夫の週1「保育園お迎え」が妻のキャリアに影響 働く子持ち女性「夫のキャリア優先」過半数に』)。

興味深いのは、夫が週1回でも保育園に子どもを迎えに行き育児を分担したり、夫自身が仕事にやりがいを感じていたりすると、「夫婦共にキャリアアップ」を目指す割合が増えることだ。telling,でこうした記事を書いたところ、ツイッター上が沸いた。「たった週1回!」とか「子どもの病気で休むのも母ばかり」との怒りの声の一方、「週1でも時間を気にせず残業できるのは大きい」とする人や、「そもそもお迎えに間に合わない長時間労働がおかしい」、「給料が男女で逆転したら、結果は逆になる」などの指摘も。

また、「料理頻度等のグローバル調査(2020年)」に基づき、1週間の平均料理回数は日本では女性が9.3回で、男性の約3倍(世界平均は約2倍)という記事も配信した(『料理の頻度、日本では女性が男性の3倍! 国際女性デーに考える「料理とジェンダーギャップ」』)。コロナ禍の巣ごもりで、女性の料理頻度はさらに増えているという。育児も料理も女性、加えて賃金や昇進格差となれば、キャリアも断念せざるを得ない……。

女性が国のトップに就き、世界経済フォーラムの男女格差指数で2021年は4位のニュージーランド。自身も子育て中のジャシンダ・アーダーン首相(2023年1月に辞任)は22年4月、本紙の取材に「女性を抜擢(ばってき)し、前に踏み出せようにすることが大切。若い女性が自信を持てるようになるまで続けなければならない」と語っていた。4位でもまだ環境整備が必要なら、この年120位の日本でマミートラックが解消される日はいつになる?

【2022年5月2日朝日新聞夕刊掲載】

(写真:Getty Images)

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telling,編集長。朝日新聞、AERAなどで記者として教育や文化、メディア、ファッションなどを幅広く取材/執筆。教育媒体「朝日新聞EduA」の創刊編集長などを経て現職。TBS「news23」のゲストコメンテーターも務める。
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