すみれさん、最愛の母・松原千明さんを亡くし、自身は母に「夫と悲しみを分け合い、半分に」
――昨年4月に息子さんを出産されました。母になって心境に変化はありましたか?
すみれさん(以下、すみれ): 出産は人生最大の出来事でした。息子が生まれてきてくれたおかげで、自分は1人じゃないと思えた。息子のために頑張って生きていこうという思いが芽生えましたし、息子が私を強くしてくれました。
出産したことで自分の自由な時間は削られましたが、毎日少しずつ息子が成長していく姿を見られるのは楽しく、癒されます。本当に自分の子どもってこんなにかわいいと感じるんだな、と。生まれる前は「カッコいいママになりたい」「こんなママになろう」といろいろ考えていましたが、勝手にママになっているんだなと思えたので、今は子育てについてあまり神経質に考えてはいません。
――最初は子育てに神経質になっていた部分があったのでしょうか?
すみれ: 息子が生まれてしばらくして、産後うつのような状態になってしまったんです。自分なんかが母親になっていいのかな、と、とにかく自信がなくて。失敗してはいけないと思って頑張っていたのがストレスになってしまったのだと思います。子育てのことをSNSに投稿すると、「〇〇してはダメ」というベビーポリスのような人たちからコメントがついて、それを読んでは落ち込んだりもして…‥。
そんなときに、「チェンジメーカー・フェス」のスペシャルアンバサダーを務める土屋アンナさんから「適当でいいんだよ!」と言ってもらって、すごく楽になりました。アンナさんは4人のお子さんを育てていらっしゃいます。うつのような状態は1カ月くらい続きましたが、これを乗り越えてから、自分に自信が持てるようになり、強くなれたなと思います。今はSNSの誹謗中傷を見ても、「見てくれるだけでありがたいな」と思えるようになりました。何でも相談できる夫の支えも大きかったです。
――夫婦で分担して子育てをしていらっしゃるのですか?
すみれ: はい、彼は夫でありベストフレンド。子どもが大好きで、結婚前から子どもが欲しいと言っていたくらいです。家事も育児も、もしかしたら半分以上彼がやってくれているかも。離乳食を私が作ったら、彼が子どもに食べさせる、といった感じで分担しています。家事も、料理はできませんが、洗濯や掃除はやってくれる、心強い存在です。
――育児と仕事のバランスは? どのように両立していきますか?
すみれ: あまりに働き過ぎて息子となかなか会えないとかになるのは嫌ですが、「ちょっと寂しいな」「早く会いたいな」と思えるくらいの割合で仕事ができたらいいのかな、と。とはいえ、今はまだ小さいので、どうしても育児の比重が大きくなりますが、子どもには私が働く姿を見てもらって「ママも頑張ってるよ」と言いたい。男性だけが働くという古いジェンダー観ではなく、女性であるママも働いているよ、というのは教えたいですね。
「ママにはリスペクトしかない」
――ご家族について教えてください。お父様の石田純一さんは、すみれさんにとってどんな存在ですか?
すみれ: 小学校に入るくらいまでは、パパが大好きでした。7歳でアメリカに行くことになり、パパから離れるときはすごく悲しかった。そのあと、皆さんもよく知るスキャンダルがあって、「パパはダメだな」と思って怒ったりもしました。それでも、パパはいつも笑顔で、本当にみんなに優しい人なのだなと思っていました。
年齢を重ねるごとに関係性も変化していて、今はとてもいい関係です。一緒に食事をしたり、パパの家に行ったりすることもあります。私の相談に乗ってもらったり、パパの昔の話を聞いたり、他愛のない話もしています。
――息子さんにとっては、石田さんはおじいちゃんですね。
すみれ: そうです、孫は可愛いみたいです。(いしだ)壱成の子どもが産まれた時点で、じいじにはなっていましたが。面白いことに、パパの子どもの理汰郎や青葉、つむぎが息子にとってのおじさん、おばさんになるんですよ(笑)。つむぎはまだ4歳ですから、年齢も近い。息子にはみんなと兄弟のように仲良くしてほしいなと思っています。
――昨年10月にお母さまの松原千明さんを亡くされました。松原さんはすみれさんにとってどんな存在でしたか。
すみれ: 本当に私のことを心から応援し、尽くしてくれました。お料理も上手で家事もできたし、スーパーママです。シングルマザーだった時期もあるので、自分がいま母になって、本当に1人での育児は大変だっただろうなと。ママにはリスペクトしかないです。
64歳だったので、まだ早かったなと思いますし、息子と会わせられなかったのがすごく悲しかったですね。ただ、お腹にいることは伝えられたので、それだけが救いです。体調が悪くて苦しんでいたので、そこから解放されたのかな……。
まだまだ悲しみの中ではありますが、1人で抱えずに夫や友達と話すことで救われました。人と話すことは大事だなとすごく感じています。夫と一緒に悲しめば、悲しみは半分になる、って本当にそうだなと思いました。また、息子という新しい命が生まれたことにも癒され救われています。ああ、涙が出ちゃうんで、この辺で。
――この先、どんな30代、40代を過ごしていきたいですか?
すみれ: とにかく息子のためにも仕事を頑張りたい。そうやって頑張っていれば、年を重ねたときに味が出てきて、俳優としての演技にも生きてくるのではないかと思います。子育てが落ち着いたらまたハリウッドにも挑戦したいですね。年齢とともに深みを増し、熟成されていくワインのような年の重ね方をしていきたいです。
●すみれさんのプロフィール
1990年、東京生まれ。7歳でハワイに移住。ハイスクール在学中の高校1年の16歳でモデルデビュー。米国・カーネギーメロン大学演劇学科に進学し、大学2年終了時に休学して2011年、日本で女優・歌手として本格的に活動を始める。15年にはオーディションを勝ち抜いて、映画『アメイジング・ジャーニー 神の小屋より』の聖霊サラユー役に抜擢され、17年に全米公開の同作でハリウッド進出を果たす。21年に結婚、翌22年に長男を出産。「チェンジメーカー・フェス2023」でスペシャルアンバサダーを務める。
Change Makers Fes2023(チェンジメーカー・フェス2023)~世界を変えるキミに、この日を。~
■内容:総勢30組のエンターティナーや著名人たちが織りなす音楽、お笑い、ダンス、イリュージョン、DJ、そして活動家によるスピーチなど。さまざまなライブステージを通じて、ソーシャルアクションを起こした子ども・若者の活動を祝い、次の発展につなげていく。
■対象:SDGsの目標として掲げられている国内外の社会課題に対し、何らかのアクションを起こし、今後も引き続き活動する予定の25歳(2023年4月1日時点)以下の若者や子ども
■参加者数:1000名+オンライン参加者
■開催日時:2023年3月28日(火) 15:00-19:00予定(※オンライン配信あり)
■主催:特定非営利活動法人 フリー・ザ・チルドレン・ジャパン
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