maroke/iStock/Getty Images Plus
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柏木友紀(telling,編集長)

【編集長コラム】仕事・子育て……全部は欲張りですか?

結婚や出産が先か、仕事が先か……。女性の生き方を巡る答えの出ない選択のひとつがこの問題。結婚、妊娠、キャリアなど、ライフステージの変化を迎える女性の多様な生き方、価値観を伝え、自分らしい一歩を共に考える「telling,」として、大きなテーマでもあります。柏木友紀編集長のコラムをお届けします。
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結婚や出産、キャリアと女性の生き方は、telling,の中心テーマです。この夏、正面からこれらを描いたドラマ「18/40~ふたりなら夢も恋も~」がちょっとした話題になりました。18歳でシングルマザーとなる大学生と、40歳独身のバリキャリ女性の2人が、それぞれの岐路に悩みながらも連帯して一歩を踏みだすストーリー。不妊治療や母と娘の関係など女性が直面する諸問題がてんこ盛りで、当サイトは毎話レビューを掲載しました。 (『「人生を諦めるな」。妊娠・出産、キャリア……、岐路に立つ2人が偶然出会う「18/40~ふたりなら夢も恋も~」1話』)

放送開始すぐは「状況設定に無理がある」と厳しめな指摘もありましたが、回を重ねるにつれ「真に女性目線のドラマで毎回感動」という意見が増えていきました。

育休中の女性(30)は「主人公2人のどちらにも共感し毎回泣きました」。子育ての葛藤を抱えつつ夢だった職業へ歩む18歳の姿は、「同じく子育て中でキャリア面で焦る自分」と重なる。仕事一筋を貫き出産のリミットを前に苦悩する40歳女性には、将来の妊娠出産への不安を口にし卵子凍結を検討する独身友人の姿がダブるそう。

レビューを担当した女性ライターは「『当たり前』の概念にとらわれない、新しい生き方を示すドラマ」と振り返ります。2人が手を取り合い、それぞれの悩みに立ち向かう姿が新鮮に映ったようです。

telling,でこうした女性の人生の“壁”について社会学者の上野千鶴子さんに聞いたところ、「キャリアも結婚も子育ても全部ゲットしたいと女性が思うのは、欲張りではありません」。出産でラインから外れる「マミートラック」も「ガラスの天井」も、「女が変わるより男と社会が変われ!」とバッサリ。(『社会学者・上野千鶴子さん「キャリアも結婚も子育ても、は欲張りじゃない」』)

それには議論のきっかけを提案し続けることが地道だけれど唯一の処方箋(しょほうせん)と信じ、これからも読者と共に考えていきます。

【2023年10月10日朝日新聞夕刊掲載】

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telling,編集長。朝日新聞社会部、文化部、AERAなどで記者として教育や文化、メディア、ファッションなどを幅広く取材/執筆。教育媒体「朝日新聞EduA」の創刊編集長などを経て現職。TBS「news23」のゲストコメンテーターも務める。
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