【編集長コラム】既婚か、独身か……悩み尽きぬ女性の友人関係

「telling,」には「あなただけに言うね」という意味があります。結婚、妊娠、キャリア……。ライフステージの変化を迎える女性の多様な生き方、価値観を伝え、自分らしい一歩を共に考えるメディアです。柏木友紀編集長のコラムをお届けします。今回は女性同士の友人関係について。置かれた環境の違いによって、関係性が難しい時期があるようで……
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「インスタに手作りケーキの写真をあげる既婚子持ちの友達が死ぬほどうらやましい」。30代後半に差し掛かった独身女性ライターはtelling,のサイトにこうつづる(『インスタに手作りケーキの写真をあげる既婚子持ちの友達が死ぬほど羨ましい、本当の理由』)。いずれ結婚して子どもが欲しいが、コロナ禍以降ますます出会いは少なく、ひとり食べていくのに精いっぱい。SNSに流れてくる友人たちの、子どもとの優雅な時間がまぶしい。嫉妬もあるし、今後もし自分が子どもに恵まれたとしても、そうした幸せな体験を与えられる経済的・精神的余裕を持てるのか、不安にさえかられる。

30代になってからの友人関係。これがなかなかに難しい。

「子育てはすごい」「いや働いて自立しているのはうらやましい」。別の独身女性ライター(42)は、学生時代の友人たちと、ついこんな会話を繰り広げてしまう。お互いに気を遣い、何かと相手を持ち上げる発言をしがちなのだという(本心は別)。

既婚か独身か。子持ちか子なしか。仕事を持つか専業主婦か。地方在住か都市か。生活環境に違いが生じる年代だけに、それまでの友人たちとの話題が難しい。正社員か非正規雇用か、教育費や住宅ローンといった家庭の支出を抱えるか、自由になるお金が多いか、こうした「金銭感覚」の違いも隔たりを生む要因となりがちだ。

「それが50代の気配が近づくにつれ、少しずつ、またワイワイと集まり始めていません?」。先日、既婚で子どもを持たない女性医師の知人と、この話で意見が一致した。独身を貫いてきた人も、離婚や死別して再び一人で歩み始めた人も、家庭持ちだが子どもが巣立った人もいる。距離を感じた時期もあったけれど、久しぶりに集えば体の不調に親の介護、今後どう生きるか……と話は尽きず。この先の人生を共に彩る友人関係、改めて考えてみませんか。

【2023年7月4日朝日新聞夕刊掲載】

(写真:Getty Images)

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telling,編集長。朝日新聞、AERAなどで記者として教育や文化、メディア、ファッションなどを幅広く取材/執筆。教育媒体「朝日新聞EduA」の創刊編集長などを経て現職。TBS「news23」のゲストコメンテーターも務める。
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