【編集長コラム】バージンロードは1人で、自分らしく

「telling,」には「あなただけに言うね」という意味があります。結婚、妊娠、キャリア……。ライフステージの変化を迎える女性の多様な生き方、価値観を伝え、自分らしい一歩を共に考えるメディアです。柏木友紀編集長のコラムをお届けします。 今回は結婚式について。自分らしい挙式から見えて来た”生き方”とは……?
【編集長コラム】「夫婦のトリセツ」1200通り 踏み出す勇気を

ジューン・ブライドの季節。結婚式は夫婦2人だけでなく親族・友人らが関わる一大イベントだけに、挑戦や冒険はしにくいが、先日挙式した会社員女性(29)は「結婚式に見え隠れする『ジェンダー問題』から自由になりたい」と、「変革」の経験を当サイトにつづってくれた(『バージンロード、ファーストバイト 結婚式に見え隠れする「ジェンダー問題」から自由になりたい』)。

新婦を父親から新郎へと引き継ぐバージンロードは、自分1人で歩いた。「女性は常に誰かに守られるもの」との見え方に違和感を抱いたため。新郎から新婦へ「一生食べるのに困らせない」、新婦から新郎へ「一生おいしいごはんを作る」というメッセージが込められているとされるファーストバイトは、ナシ。あいさつの辞も、両親への感謝の手紙も夫婦2人で行い「役割」の壁を取っ払った。「2人がそれぞれ得意なことをやり、苦手は補って生きていく。そんな家族が私たち」と話す。

結婚式の定番といえば「永遠の誓い」「夫婦のあかし」とされる「指輪の交換」。そこにも様々なドラマがあるようで。以前「結婚指輪」について連載記事を担当した際、「幸せの象徴」とか「2人で常にはめていたい」との声の一方、「自由を奪う首輪」「夫に頼るのをやめ、外した」など、男女双方から400通を超える手紙をいただいた。「はめている人を見るのがつらい」という未婚者も。左指を飾るわずか数グラムの輪っかだが、「されど指輪」。

様々な「慣習」は全否定されるものではないが、それぞれが自分らしく「選択」すること、それがイマドキなのだろう。

【2022年5月30日朝日新聞夕刊掲載】

(写真:Getty Images)

【編集長コラム】「夫婦のトリセツ」1200通り 踏み出す勇気を
telling,編集長。朝日新聞、AERAなどで記者として教育や文化、メディア、ファッションなどを幅広く取材/執筆。教育媒体「朝日新聞EduA」の創刊編集長などを経て現職。TBS「news23」のゲストコメンテーターも務める。
私らしい“結婚”