【編集長コラム】「夫婦のトリセツ」1200通り 踏み出す勇気を

「telling,」には「あなただけに言うね」という意味があります。結婚、妊娠、キャリア……。ライフステージの変化を迎える女性の多様な生き方、価値観を伝え、自分らしい一歩を共に考えるメディアです。柏木友紀編集長のコラムをお届けします。

夫婦の「セックスレス問題」をテーマにしたTVドラマ「あなたがしてくれなくても」が話題になっています。妻とは盛り上がれなくなった夫、キャリアアップに子作りは邪魔と考える妻……。ドラマで描かれる2組の夫婦の事情はそれぞれ。やがて4人の関係は絡み合い泥沼化していきます。

登場人物に自らの姿を重ねる人も少なくないようです。毎回ドラマの進行に合わせ、社会的背景などを含めて考察しているtelling,のレビュー記事には、1200件を超えるコメントが寄せられた回もあります。そのほとんどは自身の思いを赤裸々につづったリアルボイス……。

「長く生活を共にすると夫婦というより家族になり、夜の営みが自然と無くなった」

「お互いを男女として見るのはもはや不可能。それでも一応は円満な家庭」

「愛情やスキンシップを味わうことがないまま生きていくストレスは想像以上」

「私も20代前半、前の夫とそんな状態だった。周りには子供、子供と言われるができるわけがない。毎回断られるのも悲しくなり、10年経って離婚した」

女性の生き方を深掘りする当サイトではこれまでにも、当事者やカウンセラー、関連書籍の著者ら、多くの関係者に取材し特集「セックスレスに向き合う」を掲載してきました。結婚、出産、浮気、離婚、モラハラ、再婚……。深くもつれる夫婦の問題は他にも多々あり、特集「夫婦の取扱説明書」などもよく読まれています。

これらを通じて見えて来たのは、悩みを抱えながらも、一歩、いえ半歩でも踏み出した勇気が少しずつ状況を変えて行くのだということ。人生で一番長く濃い付き合いになる他人=夫婦。近過ぎるだけに難しいそれぞれにとっての「夫婦のトリセツ」を、telling,と一緒に考えてみませんか。

2023年5月16日朝日新聞夕刊掲載】

(写真:Getty Images)

telling,編集長。朝日新聞、AERAなどで記者として教育や文化、メディア、ファッションなどを幅広く取材/執筆。教育媒体「朝日新聞EduA」の創刊編集長などを経て現職。TBS「news23」のゲストコメンテーターも務める。