ソニンさん「人生は理想通りにはいかない」。節目のいま、踏み出した一歩

4月18日からスタートするNHKドラマ10『育休刑事』にレギュラー出演するほか、6月にはミュージカル『FACTORY GIRLS』の再演が待たれるソニンさん。この3月に40歳となり、コロナ禍もあって人生について深く考えるようになったと話します。結婚や女性としての人生について、節目の年に思うことを聞きました。
ソニンさん「ダサい情けない自分も認められるようになった」。節目の“不惑”記念日をファンとともに 【画像】ソニンさんの撮り下ろし写真

理想通り出来なくても、人生を肯定しよう

――3月に40歳になられたソニンさん。40歳手前での結婚や出産、キャリアについて考える「39歳問題」に悩むtelling,読者層と重なります。結婚についてはどのように考えていますか?

ソニンさん(以下、ソニン): 私自身はいずれパートナーと籍を入れて、子どもが欲しいと思っています。でも結婚の形にこだわっているわけでもないんです。場合によっては違う契約を結ぶのかもしれないし、当人同士の心の約束なのかもしれない。でも今の日本での場合を考えれば、籍を入れた方が何かとスムーズにいくこともあるわけですよね。

私の周りでは結婚の選択をせずに生きる人が本当に増えてきました。「結婚しなくても子どもは欲しい」など、海外では婚姻関係に縛られない形でいろんな生活スタイルを選んでいる人も多い。少しずつ日本でもそういった選択をする人が増えているなという実感があります。

――30歳までには、40歳までにはと、年齢を重ねることで、焦る気持ちを抱える女性も多いです。

ソニン: 私も40歳になるまでに、子どもを産んでおいた方がいいかなと考えたこともありました。もっとも医療が進歩しているので、本人の体力と子育てできる覚悟があれば、今後は今以上に40代の出産も叶うかもしれないですが、40歳になると、現実問題として昔に比べて身体は少し疲れやすくなりますね。

年齢って、たかが数字ですけど、やっぱり現実的にそういう体の問題も出てきますし、気にはします。でも、さっきの出産の話のように、理想を求めてしまうと、うまくいかなかった時に幻滅も大きいんですよね。30代までにやろうとしていたことが出来ていない自分に幻滅してしまったり。

でも基本、人生ってそんなに自分が思い描いたようにうまくはいかないじゃないですか。なので最近、よく思うのはそもそも大きな期待はしない方がいいのではないかって。切ない言葉かもしれないけど、理想通りに出来なかったとしても、自分の首を絞めずに、それも人生だねって思えるようになると、多分、楽になるのかもしれない。

結婚にしても出産にしても、籍を入れる、子どもを産むことだけが正解じゃない。日本も徐々に様々な生活の形が受け入れられる時代になってきたので、自分が思っている以上に、たくさんの選択肢が世の中にはあるんじゃないかと思っています。

大切なのは今日、この日!

――今後の人生をどのように歩んでいきたいですか?

ソニン: 以前出演していたミュージカル『RENT』に、「No day, but today!」という有名なフレーズがあります。「自分たちが生きるうえで大切なのは、過去でも未来でもなく、今日というこの日だけ」。コロナ禍になってからというもの、『RENT』のように「もしかしたら、明日生きられないかもしれない」という感覚を、以前よりも切実に感じるようになりました。

だから本当にやりたいことは、すぐにやらないとダメだなと。コロナ前までは仕事をすることが生きがいだったのですが、コロナ以降は仕事だけをしている人生って楽しいのかなと考え始めてしまいましたね。

それに今年は40歳の節目なので、仕事をするにもプライベートなことをするにも、本当にやりたいことなのかどうか、1つひとつ自分の心に問うようにしました。そして「やりたいこと、やらなくてはいけないこと」をリストアップしています。

――やりたいことのうち、1つ教えていただけますか?

ソニン: ニューヨークにヘルスコーチの認定校があり、その資格を以前からずっと取りたいと思っていました。授業はネット上ですべて受けられるものの、単位を習得するには丸1年かかる。「1年丸々暇になることなんてない……」と思っていたら、一昨年ミュージカル『17 AGAIN』で共演した同年代のエハラマサヒロさんが、40歳を機にダイエットを成功させたと聞いて驚きまして。彼の影響もあり、昨夏に思い切って入学して、今は毎日オンラインで勉強しています。

――ドラマの撮影もあった中で、大変でしたね。

ソニン: 3月半ばまで『大病院占拠』の撮影が続いていたので、3月中は余裕がなく、今まだ2週間分のカリキュラムが終えられずに溜まっています(笑)。でも、テストやオープン授業、卒業資格はクリアし、あとは授業を消化するだけになりました。

基本的に授業は自分の好きな時間で受けられるものの、コーチと生徒がネット上でディスカッションをする授業は、出席がオンタイムのみなので大変です。アメリカと日本はタイムゾーンが違うので、午前中の授業である米国の元気な生徒とは裏腹に、私は仕事を終えた夜中なので、眠いうえに英語の授業で頭が回りません(笑)。

ソニンさん「ダサい情けない自分も認められるようになった」。節目の“不惑”記念日をファンとともに 【画像】ソニンさんの撮り下ろし写真

●ソニン(そにん)さんのプロフィール

1983年生まれ、高知県出身。2000年にEE JUMPのメインボーカルとしてCDデビュー。翌年よりソロ活動を開始し、『カレーライスの女』で第40回ゴールデン・アロー賞音楽新人賞を受賞する。2004年『8 人の女たち』で初舞台。以来、舞台を中心に活躍し、『RENT』『トロイラスとクレシダ』『ダンス オブ ヴァンパイア』の演技で第41回菊田一夫演劇賞を受賞。『1789 −バスティーユの恋人たち−』『マリー・アントワネット』の演技でも、第26回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞している。近年は2023年1月クールの『大病院占拠』(日本テレビ系)などTVドラマにも精力的に出演中。4月からはNHKドラマ10『育休刑事』にも出演予定。

■「Sonim ”MILESTONE” Fan meeting~Talk & Live 2023~」

2023年4月15日(土)14:00/18:00
JZ Brat SOUND OF TOKYO
出演:ソニン/梶原健生(ギター)/高山和芽(ピアノ)

横浜生まれ、町田育ちのライター。エンタメ雑誌の編集者を経て、フリーランスに。好きなものは、演劇と音楽とプロ野球。横浜と台湾の古民家との二拠点生活を10年続けており、コロナが明けた世界を心待ちにしている。
2007年来日。芸術学部写真学科卒業後、出版社カメラマンとして勤務。2014年からフリーランス。
39歳問題