“バチェラー3” 水田あゆみさん「友人の妊娠報告を100%喜べないことも……」 その本音とは?
「自分の体のことを知っておくべきだった」
――今年3月に結婚されましたが、家族計画については話し合いをされましたか。
水田あゆみさん(以下、水田): 私は子どもがほしいと思っていたので、結婚前から夫のこすけに「子どもってかわいいよね、いつかほしいな」と伝えていました。彼も「ほしいね」と言っていて、自然な会話の中でしたがお互いの意思確認はしていました。“授かり婚”もウェルカムだったので、同棲を始めた昨年12月からお互い同意で避妊はしてなかったのですがなかなか妊娠はせず。そこで、妊娠の可能性を確認する検査を2人ともすることにしました。検査後、先生から「卵管の状態から、自然妊娠は難しい可能性が高い」と言われた時、腑(ふ)に落ちた感覚がありました。同時に、自分の体のことはもっと早くに知っておくべきだった、結婚や妊娠の予定が直近でなくても、検査はするに越したことはないとのだと思いました。
――こすけさんも、同じ温度感で取り組んでいるのでしょうか?
水田: すごく前向きで、協力的です。「病院、一緒について行こうか?」とか、「俺に何ができるかな?」などの言葉をかけてくれます。毎月、生理が来るとしょんぼりしてしまったり、出口がないトンネルの中にいる気分になったりする時もありますが、夫は「ご飯、作ろうか?」と気遣ってくれたり、私を落ち込ませないように色々な所に連れていってくれたりしてくれるので、お互いが協力して支え合っているという感覚です。
妊活を発信、24時間通知鳴り止まず
――インスタグラムで妊活についての投稿をされていますが、オープンに話そうと思われた理由を教えてください。
水田: きっかけは、妊活を2人で始めるにあたって、情報がほしいと思ったことです。ネット検索をすると、色々な話題があふれていて、何から始めたらいいかわかりませんでした。友人知人にも聞いてみたのですが、実際に経験している人は少数だったので、もっと体験談を聞いてみたいと思ったんです。その時、「(インスタの)フォロワーさんで妊活・不妊治療をされている方はいないかな?」と思い、発信をしました。
まずは、ストーリーズ(24時間で消える投稿)で、「これから妊活を2人で始めます」と発信したところ、「私も妊活をして、不妊治療中です」、「私は不妊治療で、◯◯病院で治療をして授かりました」、「子どもが2人いるんですけど、不妊治療を過去にしていました」などのメッセージやリアクションの通知が1分に1件以上も届き、それが24時間鳴り止まないほどでした。皆さんに教えてもらった情報で、一気に知識が入ってきました。そして、「妊活について」というタイトルで投稿をしたのですが、こちらにも本当にたくさんのメッセージをいただきました。
――反響がとても大きかった中、特に印象的だったことはありますか?
水田: たくさんメッセージをいただいたのですが、一つひとつのメッセージが長く、皆さんの熱量と愛があふれ過ぎて……(涙が込み上げてくる水田さん)。会ったこともないのに、「大丈夫ですよ」と安心させてくれたり、個別に多くのメッセージをいただいたりするので、その情報や、私が受けた検査の感想などの実体験をシェアするようにしています。見守ってくださる人、一緒に頑張りたいと言ってくれる人、共感してくれて寄り添ってくれる人を身近に感じることができ、フォロワーさんにはとても感謝をしています。
妊娠報告に「おめでとう」と思うけど……
――温かいメッセージが届く一方で、そうではない内容もありましたか?
水田: ありました。私は妊活を始めて数カ月ですが、中には妊活を10年続けられている人もいらっしゃるんですよね。そういう方たちからは、妊活について軽く考えがちという指摘もいただきました。そういったご意見から新たに知ることもあるので、「ごもっともです」という気持ちで受け取っています。
――知人友人の妊娠報告を聞くと、嬉(うれ)しいけど、手放しで喜べない自分もいるという投稿が印象的でした。その心境を詳しく聞かせていただけますか。
水田: 実は、結婚の時からそうでした。結婚願望がずっとあったのに、全然できなくて、婚約破棄されたり振られたり……。「私は何がダメなんだろう」と、長い間悩んでいました。もう悩み過ぎて、自分に自信がなくなり、自分がどうしたいかより人に合わせたらいいのかなとか考え始めたら、個性もなくなっていきました。
その結果、結婚できない原因を探したり、急いで交際をしてしまったり、思い返すと悪循環にハマっていました。友達の結婚報告に、本心で「おめでとう」と思うけど、100%祝福できていない自分もいて……。妊娠報告も同じで、相反する気持ちが同時に存在するという不思議な感じです。羨(うらや)んだり、妬(ねた)んだりというより、「焦る」という心情が一番近いです。
つい先日、友達の妊娠を、別の友達伝いで知りました。妊活中の私に、きっと言いづらかったのだろうと思い、「気を使わせてしまっていたらごめんね、赤ちゃん本当におめでとう!」と連絡をしたところです。妊活している側がつらいとばかり思っていましたが、友達も言いづらさに苦しい思いをしているかもしれないと感じた出来事でした。
母からの「子育てが1番楽しかった」
――妊活に関する情報をシェアするなど、得た内容を自分だけに留めず、分け与えていく水田さんの姿勢が印象的です。
水田: バチェラーでは婚約破棄という結末になってしまい、かなり落ち込んだのですが、多くの方から温かいコメントをもらい、「こんなに応援してもらっちゃっていいのかな」って思ってしまいました。そして妊活においてもたくさん応援してもらって、「私、どれだけもらっているんだろう」って。嬉しいというか、幸せというか、この人生でよかったって……(涙する水田さん)。またや(笑)。
――結婚や出産は、以前から思い描いていたことだったのでしょうか?
水田: はい。私にとっての最大の夢は、結婚して家庭を築くことです。中高生時代、母親から「子育てをしていた時が1番楽しかった」と言われたのがきっかけでした。私の母は、仕事に、ゴルフに、スノボに、カラオケにと、毎日大忙しでかつ充実した日々を送っていた人で、そんな母が1番楽しいのが子育てというのであれば、きっとそうなんだって思ったんです。母にそう言ってもらえたことも、本当にありがたいなって思っていて……。また涙が出てきてしまいました(泣き笑い)。私も、母と同じ気持ちを味わいたいなという思いを活力に、今は夫と2人で妊活に力を入れていきたいと思っています。
●水田あゆみさんのプロフィール
1988年生まれ。大阪府出身。18歳から約10年、大阪・北新地でホステスを務め、2019年にAmazonプライム・ビデオで配信された「バチェラー・ジャパン」シーズン3に参加。Instagramのフォロワーは10万人を超える。20年3月に宝島社から『選ばれる理由』を出版。23年にジュエリーブランド"necco"(ねっこ)を創設。「人生どん底と感じる時が長かったので、下に根を張り、大きく花を咲かせられる時期がきたらいいな」との思いが込められている。23年7月にLINE「オープンチャット」にて『あゆねぇの妊活部屋』を作成。誰でも無料で参加することができ、開始から2千人近くのメンバーが参加している。
-
第39回出産の時期、選択肢を広げる「卵子凍結」。妊娠率は?仕組みは?費用は?産婦
-
第40回39歳で卵子凍結 自分の手で人生を切り開く選択肢を手に入れた
-
第41回【高尾美穂医師に聞く#2】「卵子凍結」が気になっています。メリットは?
-
第42回“バチェラー3” 水田あゆみさん「友人の妊娠報告を100%喜べないこと
-
第43回漫画家・おかざき真里さんが、青年誌で描く不妊治療の物語『胚培養士ミズイロ