telling,の取材に応じた「バチェラー3」出演者の水田あゆみさん

「バチェラー3」水田あゆみさん「どん底に落ちた時は、未来を思い浮かべます」

Amazonプライム・ビデオで配信されている恋愛リアリティーショー「バチェラー・ジャパン」。ハイスペックの独身男性=バチェラーが、複数人の未婚女性の中から1人の結婚相手を見つけていく番組です。シーズン3に参加した水田あゆみさん(30歳)は、大阪・北新地で約10年間ホステスをしていました。常に笑顔で気遣いができる女性として注目された水田さんに、「いい女」であるための心がけと、衝撃の「結末」についての思いを聞きました。

婚約破棄から2カ月でバチェラーに応募

――バチェラー・ジャパンへの応募は相当な覚悟が必要だと思うのですが、参加された理由を教えてください。

水田あゆみさん(以下、水田): バチェラーに応募する直前に、1年半付き合った婚約者とお別れをすることになりました。婚約のことは家族や友人にも伝えていたのでとてもショックで……。彼はアメリカ在住で、結婚後は私が渡米する予定だったので、仕事も辞めていました。

絶望の中で30歳を迎えたのですが、そのタイミングで偶然バチェラーの募集を見かけました。次に恋愛するのが怖くなっていたのですが、もう一度「恋愛できる自分」に切り替えがしたいと思い、悲しむ暇もなく応募しました。婚約破棄から2カ月後でした。

――大変な状況の中での応募だったのですね……。オーディションに合格すると思いましたか?

水田: 正直、思っていなかったです。選考の過程が自分の気持ちを整理する機会になるのではないかと思って、勉強しにいく感覚でした。実際、選考では自分が結婚できない理由や理想の結婚生活など色々と質問され、あらためて考える機会になりました。

年下の人とは同じ土俵に立たない

――バチェラーの撮影は約2カ月に及んだと聞いたのですが、参加したことで自分や周りの変化はありましたか。

水田: 人がより好きになりました。年齢が上がると、気が合う人と一緒にいることが多くなりますが、参加した女性20人は、全国各地から集まっていて、育った環境も性格もまったく違います。

そうした人々の多様な考え方に触れたことで、より柔軟性が増したと感じます。「この人とは合わないな」と思っても、その人の尊敬できる点を日々の生活の中で見つけていく。そうすることで関係性が良くなり、苦手意識が薄れていきました。共同生活は大変でしたが、トータルでは楽しく過ごせたと思います。

telling,の取材に応じた「バチェラー3」出演者の水田あゆみさん

――バチェラーでは、他の参加者をライバル視して距離を置く人もいると思います。水田さんは参加者同士で良好な関係を築こうとしたんですね。

水田: 参加者たちはお互いライバルでもあり戦友でもあったので、競い合うのと助け合うのがフィフティ・フィフティという感覚でした。私は最年長だったので、年下の人とは同じ土俵に立たないようにはしていました。そうすれば、腹も立たない。可愛いな、若いな、と相手に感心するような感じで接していました。

ホステス時代も同僚がほぼ女性ばかりという環境だったので、女性とのコミュニケーション力はその頃に鍛えられていたんだと思います。

相性が合わなかったり、当たりがキツかったりする人とうまく付き合うコツは、それ自体を「ネタにすること」です。相手に対して「そういうところありますよね」とか「キツイところあるもんね」と、笑いながら言ってしまう。そうやって自分から毒を吐けるような関係性を築くことで、ストレスも発散できます。

相手に受け入れられることも大事

――シーズン3の最後はとても衝撃的な結末でした。水田さんにとってはショッキングな結末だったかと思いますが、取り乱さず笑顔も見せていた水田さんの姿勢が印象的でしたが、内心、どんな心境だったんでしょうか。

水田: 番組内で、家族が病気だったことや婚約破棄の経験があることも話しましたが、最後の展開はそんな私にとっても考えられないくらいのショッキングな出来事で、「私は大丈夫なのか」と思う時期もありました。悲しかったし、腹も立ちましたが、開き直ることも大事だと思って。本当は自分でも受け入れられない出来事だけど、あえて受け入れることで自分を楽にしている面はありました。

私はどん底に落ちた時、いつも未来を思い浮かべます。2年後の自分はこの状況を「あの時こんなこともあったな」って思い返しているだろうと想像すると、感情に流された言動を取ってはいけないと思うんです。

telling,の取材に応じた「バチェラー3」出演者の水田あゆみさん

1年後には自分は笑っていると想像するだけで、マイナスな出来事の渦中にいる時の過ごし方も違ってきます。たとえ内面が伴わなくても、表情や立ち居振る舞いなどで「楽しい」と表現できたら、気持ちは後からついてくると思います。

ホステス時代も、まずは「私はいい女」と思いこんで、仕草や笑顔でそうなり切ろうとしていました。そうすると、いつの間にか周りから本当に「いい女」と言われようになったんです。

――今あらためて、結婚について思うことはありますか

水田: 結婚がゴールだと思っていませんが、やはり、してみたいです。まだ経験したことがないものへの憧れというのもありますが、母がある時、「人生の中で一番楽しかったのはあんたを育てていたとき」と言ってくれたことが強く印象に残っていて。その気持ちを私も味わってみたいんです。

結婚する相手とは、何でも素直に言い合える関係でありたいですね。恋人同士の段階では「嫌われたらイヤだな」と思って言いにくいこともあると思いますが、結婚相手にはある程度開き直ることも大事だと思っています。言いづらいこともオープンに話しながら、お互いが向上していける関係性が理想です。

オンエアされた番組を客観的に見て、ホステスの仕事が染みつきすぎているな、とあらためて感じました。仕事ではどんなお客様でも受け入れてきましたが、時には自分を受け入れてもらうことも大切だと気づかされましたし、そういう相手が見つかればと思います。

telling,の取材に応じた「バチェラー3」出演者の水田あゆみさん

――30代になったことで、心境の変化はありましたか。

水田: 私は20歳の頃から結婚願望があり、30歳までに結婚したいと思っていました。でも、うまくいかないのが人生です。30歳を迎えるにあたって、完璧な自分をあきらめようと思いました。特に、結婚は相手ありきのことなので、自然な流れにまかせればいいという考え方に切り替えました。期限を決めたり、結婚のために自分の気持ちや行動を制限したりすることをやめた結果、気持ちが楽になったんです。

今は婚活をメインでしたいので、仕事は抑え目にしています。友人知人からの紹介は照れ臭いので、できれば自然に出会いたいです。自分の気持ちが行動に表れて、行動が結果につながったらいいなと思います。

バチェラーでは自分がホステス時代に培った気遣いがフォーカスされていたので、その力が誰かの助けになったらいいなと思い、これからはYouTubeで発信をしてきたいと考えています。今後は人に何か良い影響を与えられる存在になっていきたいです。

●水田あゆみさんのプロフィール
1988年生まれ。大阪府出身。18歳から約10年、大阪・北新地でホステスを務め、2019年にAmazonプライム・ビデオで配信された「バチェラー・ジャパン」シーズン3に参加。Instagramのフォロワーは10万人を超える。3月16日に宝島社から『選ばれる理由』を出版。

フォトグラファー。北海道中標津出身。自身の作品を制作しながら映画スチール、雑誌、書籍、ブランドルックブック、オウンドメディア、広告など幅広く活動中。
同志社大学文学部英文学科卒業。自動車メーカで生産管理、アパレルメーカーで店舗マネジメントを経験後、2015年にライターに転身。現在、週刊誌やウェブメディアなどで取材・執筆中。
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