漫画が並ぶ本棚の前に立つ、テラスハウスにも出演するイタリア出身の漫画家・ペッペ(ジュゼッペ)さん

肩書って何だろう

漫画家ペッペさん「イタリア人のイメージを漫画を通して変えたい」

『週刊ビッグコミックスピリッツ』で、漫画好きなイタリア人モデルの生活を描いた作品「ミンゴ イタリア人がみんなモテると思うなよ」を連載中のペッペ(ジュゼッペ)さん(26歳)。気さくでどんな人のことも受け入れる優しいキャラクターが、出演中の番組「テラスハウス」でも人気です。今回は「肩書」をテーマに、仕事へのスタンスや漫画を通して伝えたいことを伺いました。
漫画家ペッペさん「今は漫画に夢中だけど、実は仕事より恋が大事なタイプ」

●肩書って何だろう

人を見た目で判断しない人間になりたい

――今回のテーマは「肩書」。肩書、という日本語知っていましたか?

ペッペ: 知らなかった、調べるね。(スマホで検索)……、あぁ「どこの大学」とか「何をしてる」とかね。

――はい、日本の人は「肩書き」が好きな人が多いかもしれません。どの大学を出ているとか、その人がどんな役職についているか、結婚しているとかいないとか。そういうことでラベリングをしてしまう風潮があります。

ペッペ: イタリアにもありますよ。「頭の良い大学を出てる」とか。でも、イタリア人ってすぐ悪口を言っちゃうから。「すごい大学、だけどあそこはダメ」とかね(笑)。だからみんなあんまり自慢したくなくなっちゃう。でも日本人はそんなことを言わないだろうから、まだそういうの(風潮)があるんじゃない?

――ペッペさん自身はどうですか?

ペッペ: もちろん僕自身はそういう考えはあんまり好きじゃない。大学に行かない人にはそれぞれの事情もあるだろうし。そういうことだけでは判断したくない。

僕は人を見た目で判断しない人間になりたいって思ってる。まだ完璧にそうなれてるわけじゃないけど。もっとオープンマインドで物事を見たいです。

テラスハウスにも出演するイタリア出身の漫画家・ペッペ(ジュゼッペ)さん

――連載中の漫画『ミンゴ』もまさにそういう話ですよね。日本人の中にある「イタリア人とはこういうキャラクターだろう」というイメージ、たとえば、「ナンパ好き」「チャラい」という固定観念を打ち破りたいというペッペさんの思いを感じます。

ペッペ: 日本に来て、モデルという仕事に就いて。毎日毎日、違う場所で新しい人と仕事をするという生活は「どうもジュゼッペです」「どこから来ましたか?」「イタリアです」の繰り返し。

そこからお互いがどんな人だとか、何が好きだっていう話になると思うんだけど、「イタリア人です」って言うとほとんどの日本人は、本当の僕と違う「イタリア人ってこういうキャラクター」っていうのを想像して話してくる。「イタリア人だからこうだよね」「こういう考えでしょ」って、勝手にいっぱい言われてきた。ずっと「どうして?」って気持ちだったんだよ。

でもどうやらそれは、(パンツェッタ)ジローラモさんみたいなキャラクターのイタリア人が日本で有名だからだっていうことを知って。

髪をかき上げる、テラスハウスにも出演するイタリア出身の漫画家・ペッペ(ジュゼッペ)さん

――たしかに、日本人のイタリア人像にジローラモさんは大きく影響しているかもしれません。

ペッペ: だからいつか僕も、ジローラモさんみたいにたくさんの人に知ってもらえるステージにいけたら「女性の扱いに慣れてるイタリア人だけじゃないんだよ」って言いたい。別に「僕が良い人だ」って知らせたくて有名になりたいわけじゃなくて、みんなが考えるような人だけじゃないって伝えたいんだ。いろんな人がいて、僕みたいなのもいる。それは世界中どこも一緒でしょ。

――日本人の中にある固まったイメージをなくしたいんですね

ペッペ: そう。それがなくなれば、自己紹介で「イタリア人です」って言ったあとに、「こんな人でしょ」って決めつけられて、「違う」って撤回して、なんてことをしないでもすぐに「私はイタリアのここが好き!」とか「僕は日本の漫画が好きで」って、普通に会話ができるから。

ステレオタイプが悪いわけではないと思う。みんなどこかには持っていると思うし。でも、ステレオタイプだけで終わる会話が嫌いなんだよね。

帽子をかぶってポーズをとる、テラスハウスにも出演するイタリア出身の漫画家・ペッペ(ジュゼッペ)さん

「漫画」はなりたいもの全部になれる

――今は「漫画家」と「モデル」2つの肩書きで活動しているペッペさん。日本では、一つの仕事を極めることが良いこと、と考えている人も少なくありません。それについてどう思いますか?

ペッペ: もちろん、一つのことに夢中になれる人は尊敬する。けど、僕が漫画家になった理由は「いろんなことをやってみたいから」。

サッカー選手やプロバスケプレーヤー、役者や映画監督。いろんな仕事をしたいけど、時間は限られてる。

でも、その全部を叶えられるのが「漫画」なんじゃないかって思ってる。バスケ漫画を書けば僕は作品の中で一流プレイヤーになれるし、漫画は映画のようにロケハンをしたり台本を書いたり、監督のようにコマ割りをするという点が似ているでしょ。キャラクターの表情を描く時は、どんな風に描こうって考えるから演技をしているような気分にもなる。全部が詰まってるんだよね。

――なるほどたしかに、漫画の世界ではどんな人にでもなれますよね。

ペッペ: でも、それでもまだ時間が足りなくて。この先どうしたらいいんだろうって、最近は考えてる(笑)。今はもちろん漫画1本。集中して、絶対におもしろくなるように、みんなに読んでもらえるようにって頑張っているけど。

テラスハウスにも出演するイタリア出身の漫画家・ペッペ(ジュゼッペ)さん

――タイトルの「ミンゴ」は主人公の名前でもありますが、これはイタリアではよくある名前なんですか?

ペッペ: 多くはないけどいると思う。「ミンゴ」は「ドミニコ」の略なんだけど、この漫画の主人公の「ミンゴ」は実は「ドミニコ」の方ではなく、僕の学生時代のあだ名からきてるんです。

――ジュゼッペなのに、ミンゴ?

ペッペ: 高校生の頃から漫画家を目指していて、みんなから「MANGAKA(漫画家)」っていうニックネームで呼ばれていたんです、それがだんだん「MANGA(マンガ)」になって、最後は「MINGO(ミンゴ)」に。
この作品の主人公は僕みたいだし、「ミンゴ」という名前でいいんじゃないかと思ってつけたんだけど、そのことを学生時代の友達はすごく喜んでくれている。僕が夢を叶えたこと、そのタイトルが、自分たちがつけたニックネームだっていうことを!

***
週刊漫画誌連載という夢を叶え、さらなる活躍のために邁進しているペッペさん。後編では「忙しい毎日の中で、恋愛する時間はある?」などプライベートのお話も伺いました。

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●ペッペ さんプロフィール
1992年生まれ、イタリア出身。高校生の頃に漫画家を志すようになり、2015年に来日。現在『週刊ビックコミックスピリッツ』にて「ミンゴ イタリア人がみんなモテると思うなよ」を連載中。
単行本1巻は2019年12月12日小学館より発売。

漫画家ペッペさん「今は漫画に夢中だけど、実は仕事より恋が大事なタイプ」
大学卒業後、芸能事務所のマネージャーとして俳優・アイドル・漫画家や作家などのマネージメントを行う。その後、未経験からフリーライターの道へ。
フォトグラファー。北海道中標津出身。自身の作品を制作しながら映画スチール、雑誌、書籍、ブランドルックブック、オウンドメディア、広告など幅広く活動中。
肩書って何だろう

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