本という贅沢154『3か月で自然に痩せていく仕組み』

さとゆみ#154 「これが最後のダイエット」族の皆さまにおかれましては『3か月で自然に痩せていく仕組み』なぞ、大好物かと

隔週水曜にお送りするコラム「本という贅沢」。2022年になり、まだ1カ月強。“今年こそダイエット!”と決意している読者の方も多いでしょう。では、その適切な方法と心の持ちようは? 書籍ライターの佐藤友美(さとゆみ)さんが今、売れているダイエット本を紹介します。
さとゆみ#153 人は本来、とても優しい成分でできている。そして『希望の歴史』を読めば、もっと優しく親切になる

●本という贅沢#154
『3か月で自然に痩せていく仕組み』(野上浩一郎/ダイヤモンド社)

今日は、Amazon総合ランキング1位に躍り出た、ダイエット本について語らせてほしい。
いやちょっと待って。その前にまず、そもそもダイエット本について語らせてほしい。

この連載って、かれこれ154回目になっていて、実はダイエット本も過去何冊か取り上げている。

そのたびに、なんか私、感銘を受けてるし、今度こそ痩せられる気がするって言ってるし、実際まあまあ痩せたりもしたんだけど、

だったら、なんで今、この本の
「揚げ物OK」
「糖質OK」
「辛い運動なし」
という言葉にふらふらっと惹かれて、神頼みのように拝んだりして、ページを開いたりしているのだろう。

……って、引っ張るほどのことじゃないけれど、ダイエットって、わたし的には100%の確率でリバウンドするものなのよね。
ダイエットして、痩せるかどうかは不確定だけれど、もし痩せたら必ずリバウンドすることだけは確定してる。

それで言うと、「これが最後の恋でありますように」と同じくらい、「これが最後のダイエットでありますように」はアテにならない。

こんなに真剣に願っているのに、なんでそれ(これが最後の恋でありますようにorこれが最後のダイエットでありますように)が、いつも涙とともに破られる夢かというと、

恋もダイエットも、「祭り」にしちゃっているからなんだよね。

365日24時間ドキドキ恋してたら、そのドキドキ回線がこすられすぎてヘタっていく。人間って、そんなにドキドキし続けられない。恋はいつか終わる祭りなのだ。

ダイエットも同じで、それはいつか終わる前提の、祭りなのです。それを365日続けなきゃいけないなら、もう、それはダイエットじゃなくて日常なはずなんだけど、私みたいな意志が点線か破線かってくらい薄弱な人間は、そんなの無理ゲーなわけです。

と、私のように思っていた人は、世の中にたぶんめちゃくちゃ多かったんだと思う。
だから、この本、こんなに売れたのでしょう。

・ダイエットはイベントではない
だから
・一生続けられるくらい、無理のないプログラムじゃなきゃいけない
ということは
・ストイックじゃないやつ、やりましょう
という話なんですよね。

これ、私に代表される、リバウンド族が「キタコレ、今度こそ最後のダイエット!」って、なるやつです。

具体的なメソッドは、書いてしまえばとても簡単で、
・8時間以内に1日の食事を終えましょう(胃を16時間休めましょう)
・普段はNG30食だけ避けましょう
・4日に1回は好きなものを食べてもいいよ
という3つのポイントだけを押さえればいいんだけれど、

それでも挫折してしまう人のために、挫折しないコツを次々叩き込んでくれてるってところが、痒いところに手が届くっていうか、太いところに手が届く。

あと、これはめちゃくちゃ個人的なことなのだけれど、このメソッドを実行して3か月で劇的にスッキリ痩せた2人が、よく存じ上げている人だった。

そのうちの1人、帯にもデカデカと推薦コメントを寄せられてる樺沢紫苑先生は、私が一方的に存じ上げている方なのだけれど、とても近い経済圏にいらっしゃる方のようで。なぜそれを知っているかというと、私がRettyでレストラン検索をすると必ず樺沢先生のレコメンドを読むことになるから。大変な美食家の方で、週に7回外食なんてこともあるらしい。そんな樺沢先生でも痩せられるのだ。

もう1人はこの業界で有名な先輩のべっぴん&ベストセラー編集者さん。先日Facebookで写真をお見かけしたら、すらっと綺麗に痩せて、体のラインがめちゃくちゃ出てるコスプレしていた。ずいぶんキラキラしてらしたのは、なるほど、このダイエットの賜物だったのか。

なんてこともあって、刺さりまくってるこのダイエット本、本当に本当に今度こそ最後のダイエットにしたい(懲りない)。

この本には、宣言することが大事と書いてあるので、ここで宣言します。

痩・せ・ま・す

それではまた、水曜日に。

 

●佐藤友美さんの新刊『書く仕事がしたい』が10月30日に発売!

 

●佐藤友美さんの近刊『髪のこと、これで、ぜんぶ。』は発売中!

佐藤友美さんのコラム「本という贅沢」のバックナンバーはこちらです。


・捨てるか、残すか、その夫。1ミリでも離婚が頭をよぎったらこの本(原口未緒/ダイヤモンド社/『こじらせない離婚』)
・病むことと病まないことの差。ほんの1ミリくらいだったりする(村上春樹/講談社/『ノルウェイの森』)
・デブには幸せデブと不幸デブがある。不幸なデブはここに全員集合整列敬礼!(テキーラ村上/KADOKAWA/『痩せない豚は幻想を捨てろ』)

・人と比べないから楽になれる。自己肯定感クライシスに「髪型」でひとつの解を(佐藤友美/幻冬舎/『女は、髪と、生きていく』)

さとゆみ#153 人は本来、とても優しい成分でできている。そして『希望の歴史』を読めば、もっと優しく親切になる
ライター・コラムニストとして活動。ファッション、ビューティからビジネスまで幅広いジャンルを担当する。自著に『女の運命は髪で変わる』『髪のこと、これで、ぜんぶ。』『書く仕事がしたい』など。