産めなかったけど母になったよ!~よしもとタレント、養子縁組で母になる 07

【養子縁組コラム 07】血のつながりがない親子。遺伝性の病気を疑われたら?

特別養子縁組で迎えた吉本興業所属のタレント・女優の武内由紀子さん。20歳でデビュー、離婚と再婚、4年間の不妊治療を経て、「産めなくても母になりたい」と思い悩んだ日々のこと、養子縁組のこと、わんぱく盛りの男子の子育てのこと。テリング世代の妹たちにむけてつづる好評連載が、装い新たに再スタートです!

●産めなかったけど母になったよ!~よしもとタレント、養子縁組で母になる 07

telling,読者のみなさん、こんにちは。新型コロナウィルスの感染拡大が日々深刻化しています。子育て世代の皆さんの心配は尽きないと思います。わが家も自宅で過ごす日々が続き、息子はありあまるエネルギーを消化できずに困っています……。

息子の顔の大きさをネタにしていたけど

そんな息子は、おかげさまでこれまで病気を全くせず、めちゃくちゃ元気。でも一つだけ、気になることがありました。それは「頭が大きい」ということ。

「あれ、この子ちょっと顔でかめちゃう?」という話を夫としたのは、生後2か月ほどの時でした。出生時は特に問題なく、1カ月検診でも何も言われませんでした。なので、お笑いコンビFUJIWARAのフジモンさん(藤本敏史さん)みたいに「顔がでかいから」というネタを真似て、夫婦で笑い飛ばしていました。

そして迎えた4カ月検診の時のこと。息子の頭囲の数値が平均よりずば抜けて高かったようで、「お母さん、この子の頭、大きいと思ったことあります?」と先生に聞かれたんです。私は「キター!」と思って、「ですよね~。頭、でかいですよね!」と笑いながら答えたら、先生は全然笑っていなくて(汗)。

とっさに、こちらも真顔になり「何かあるんですか……?」と聞いたら、「ちょっと頭囲が大きすぎる」と。続けて、「旦那さんって、頭大きいですか?」と聞かれました。

その時、「あ!」と気付いたんです。
先生は、息子の頭の大きさについて遺伝的な理由を考えたのだろうって。そこで、この子は養子で、私たち夫婦とは血がつながっていないことを話したところ、先生も「あぁ」と納得されていたようでした。

頭囲が大きいことから疑われる病気はいくつかあるそうで、念のため精密検査をしましょうということになり、先生がその場で大学病院の予約を取ってくれました。数分前まで笑い話にしていたのに、精密検査の予約をされたとたん、急に怖くなってしまって……。ものすごく心配になりました。

半年に1回の経過観察

大学病院にはすぐに行きました。CTを撮った結果、頭蓋の中で脳や脊髄の周りを流れる「髄液」という水の量が多いことがわかりました。この水がうまく吸収されない、循環しないなどの理由で頭蓋内に溜まってしまうと、「水頭症」を引き起こす可能性があり、場合によっては頭蓋骨に穴を開けて水を抜かないといけなくなると。病気の兆候としては、目力がなくなったり、脚の力が弱くなったりするそうです。幸い、息子は目力も蹴る力も強く、まだ立てないのに立とうとするそぶりもみせていたため、経過観察になりました。

その水が何らか「悪さ」をしなければ、2、3年で自然と脳に吸収されると聞き、少しホッとしました。それからは半年に1回検診に行っています。毎回、頭囲の測定をし、先生が「大泉門」という、赤ちゃんの頭の中央部にある触るとペコペコする箇所を触ります。この大泉門を触ることで、脳が腫れているかどうかがわかるそうです。

毎回ドキドキで検診に行くのですが、これまで悪化しているという診断を受けたことはなく、その度に夫婦で安堵しています。次回の検診でひと段落しそうです。このまま問題ないことを願っています……!

現実を受け止めるしかない

養子縁組の親子の場合、遺伝に関してはどうすることもできません。養子縁組に託される子どもたちの背景はさまざま。時には生みの親の情報がないこともあります。でも、病気やけがは、自分が産んだ子だったとしても、どうしようもないことだと思うんです。

子どもはこれから、大小さまざまな病気をしたり、けがをしたりするでしょう。そのたびに、母親は「あれをすればよかった」「しなければよかった」と何につけて後悔するのだと思います。そんな母親のリアクションは、自分が生んだ子だろうが、養子であろうが、それほど違いはないのではないでしょうか。

頭で考えるのと、実際にそうなった時とでは心境が違うだろうとは思いますが、良いことも悪いことも、ドンと構えて、起きた現実を受け止めるしかないなと。

今回、息子の「頭大きいかも?」の一件を通して、そんなことを考えました。

タレント、女優。1993年に「大阪パフォーマンスドール」としてデビュー。現在は読売テレビ『大阪ほんわかテレビ』や劇場『ルミネtheよしもと』などで活躍。2013年に7歳年下のパン職人の夫と結婚。
同志社大学文学部英文学科卒業。自動車メーカで生産管理、アパレルメーカーで店舗マネジメントを経験後、2015年にライターに転身。現在、週刊誌やウェブメディアなどで取材・執筆中。
熊本県出身。カメラマン土井武のアシスタントを経て2008年フリーランスに。 カタログ、雑誌、webなど様々な媒体で活動中。二児の母でお酒が大好き。
産まずに母になったよ!