多民族国家マレーシアで、ダイバーシティを実感する
●編集部コラム
マレーシアって、どんな国なんだ?
今まであまりアジアの国を旅していなかったのですが、ここ1年ほどでたまたまですがシンガポール、香港、ベトナム、今回のマレーシアとアジアづいています。マレーシアは初訪問。行くまで正直どんな国?っていうのもよくわかっておらず…。ガイドブックを見て、モスクがあるからイスラム教だな~ぐらいのイメージでした。
空港につくと、アナウンスはマレー語と英語。マレー語、全然わかりません。とりあえずThank youがテリマカシっていうのぐらいはわかった。空港の係員や売店の女性が、髪の毛を隠す「ヒジャブ」を身に着けていて、おお、と思いました。
空港から市街地までは車で1時間程度。Grab(Uberみたいなサービス)で頼んだドライバーがおしゃべりな人で、いろいろと教えてくれました。
人種も宗教もさまざま
ドライバーのおっちゃんいわく、マレーシアには、主にマレー系と中華系とインド系の住民がいる。この民族が大半を占めていて、あとは少数民族も多数。マレー系の人は基本的にイスラム教、中華系は仏教、インド系はヒンドゥー教で、話す言語も違うけどほとんどの人は英語もしゃべれる。海外からの移住者も多くて、クアラルンプールでは元からのマレーシア人より、移住者のほうが多くなったと思う。フィリピン人にベトナム人、インドネシア人。日本人も多いし、最近は中国本土からの中国人も増えているよ。などなど。
実際に街を歩いてみると、本当にいろんな人種がいるんだと実感できます。マレー系の人でも、イスラムの帽子をかぶっていたり、いなかったり。看板も中国語や、日本語が書いてあるものも。日本文化や日本の製品がかっこいいと思われていることも多いらしく、ユニクロや無印良品、定食屋のやよい軒、紀伊國屋書店などさまざまな日本のチェーンが出店しています。
「The City of Contrast and Diversity」
モスクもあるし、中華系の寺院もあるし、インド系の寺院もあります。イスラム教では1日に5回礼拝をすることになっていますが、その時間になるとスピーカーから「アザーン」という「礼拝に行きましょう」的な文言が流れてきます。それが特に干渉し合うことなく、みんな自然にそこにある、という感じ。イスラム教では豚肉を食べる、酒を飲むのは禁忌とされていて、「食べてもOK」なハラル認証が一般的にありますが、一方で豚肉や酒を出す店もたくさんある。スーパーでは「ハラル」と「ノンハラル」のコーナーが分かれていて、どちらの人も買い物がしやすいようになっていました。なんというか、「私達はこう、あの人達はこう、お互い尊重するのは当然」というのをみんな自然に受け入れているようです。
そして車で走っていると、街なかには「Kuala Lumpur, The City of Contrast and Diversity」というスローガンのようなモニュメントも飾ってあります。街として姿勢を打ち出しているのが新鮮だし、かっこよく感じます。シンガポールも多民族国家、人種のるつぼと言われていますが、以前訪れたときにはそこまで「多様性がすごい!」とは思いませんでした。しかしマレーシアに来て、これぞダイバーシティ、多様性ということなのだな、ということがはじめて肌感覚レベルで実感できました。たぶん、自分から縁遠いイスラム教などの宗教の存在が、そう感じさせたのかもしれません。
ひるがえって、日本でもダイバーシティといわれて久しいですが、どうもまだまだだよなあ、と思うこともしばしば。それはやはり、日本が(ほぼ)単一民族の国だったから、基本「みんな同じ」だと思ってしまっていて、頭ではわかっていても心では理解しきれていないからなのではないかな、と思いました。
とはいえ、そんなことを言っていたら世界からどんどん置いていかれてしまいます。ダイバーシティ、いまいちわかんないんだよね、と思っている方にはぜひマレーシア旅行をおすすめしたいです。きっと、「なるほど!」と思えるはずですから。