ミレニアル世代が飲み会嫌いって、誰が決めたんですか?

telling,世代のライター、クリエイターたちが日々の思いや本音を綴る「telling, Diary」。今回は、ミレニアル世代の会社員で起業家の森本萌乃さんが、「ミレニアル世代と飲み会」について綴ってくれました。

私を脅かす、「ミレニアル世代」という先入観

 ミレニアル世代 。私が初めて耳にしたのは、たしか2015年くらい。そのころちょうど、ファッションではノームコア(定番のアイテム、普通の服を着こなすこと)が流行りはじめたときでした。

 肩の力の抜けたおしゃれな若者たちがおすまし顔でカメラを見つめるファッション誌の 挿絵を見て、

 「なんだなんだなんだ……!♡」

 一瞬にして私の心はつかまれました。これまで「ゆとり」としかカテゴライズしてもらえなかった私たちの世代、少なくとも私は、ミレニアル世代という新品の言葉にものすごく励まされたんです。

 あれから4年。ミレニアル世代という言葉は瞬く間にメジャーにのし上がり、最近では使い勝手のいい便利な言葉になりました。

 ミレニアル世代の起業家。ミレニアル世代の価値観。

 ミレニアル世代って付けるだけで、なんかこう、次世代を担ってる感が出ます!

「ゆとり世代」の呪縛から解き放ってくれたこの言葉には、心からの感謝と敬意があるのですが…

 ただ一つだけ、私の人生を脅かすほどの大問題を引き起こしているんです。

絶滅危惧種、○○○好きのミレニアル世代

いわゆる「ミレニアル世代っぽさ」という共通認識も確立された今日この頃

 おしゃれでアンニュイで、肩の力の抜けたビジュアル。

横の繋がりを大切にし、物欲や出世欲を持たず飲み会を嫌う属性。

飲み会を嫌う。

飲み会を嫌う。

 ……まずい。

私、上の世代との飲み会大好きなんですけど。

おじさんと肩組んで、流しの歌い手さんの歌で大合唱する新橋23:30の風景も、酔っぱらってなぜか始まる意味不明な胴上げも、大好きなんですけど。

今や少数派となった私みたいな飲み会大好きミレニアル世代は、果たして生き残っていけるのでしょうか。

 おじさんと飲むのが好き、それっていけないことですか?

思えばここ3年で、飲み会の数が激減しました。

大勢の飲み会も個人的な飲み会も、先輩方(=おじさん)から誘われることがほとんどない代わりに、私から誘うとオンタイムでニコニコとやってくるんです、おじさんたち、笑。

おじさんたちの心理としては、「誘ったら下の世代は断れないだろうから、声をかけるだけでストレスを与えるかも、と心配で誘えない」とのこと。セクハラとパワハラにがんじがらめにされて、何もできないおじさんが急増中です。

「美味しいものが食べられて話も面白くて、いいことしかないです!」

私のこの反論に「お前は夜の仕事に向いている」と笑われたことがありました。

おじさんと飲むのが好きというだけで、接客業向きだと言われてしまう世の中。若い世代がおじさんを誘うのは、ご飯目当てでしかないのでしょうか。

そんなことないんだけどなあ...

おじさんの前では、圧倒的無力でいられる

私からすると、同世代や同性とばかり飲む方が、正直疲れてしまいます。

意識して気をつけていても、知らないうちに小さなマウントの取り合いになってしまう同世代や同性と比べて、おじさんの前では圧倒的に弱い自分でいられる私。

「お前なんてまだまだだよ」

「俺もあったよ、そういう時期」

「ちょっと成長したな」

こういう圧倒的な上から目線、ものすごくレア!よし、こっちも言いたいこと言わせてもらおうって、心置きなく生意気が言えるんです。

そういう意味で、私の中でのおじさんの定義は「根拠なく生きた年月だけで見下してくれる人」なのかもしれません。

飲み会の席で上下関係があると、こちらは勝とうとしなくていい、むこうも勝とうとしてこない、だからこそむきにならずに話が盛り上がるんです。

時々入るお説教モードや、同じ話何度もしちゃうモードも、ちゃかして別の話題にすり替えるくらいの機転がこちらにあれば、気にもならない程度かなと。意味なく謙遜して、あとは君たちの世代に任せた、みたいなことを言うおじさんが一番苦手です、笑。

さらに、おじさん×店のチョイスは無敵!

1人じゃ絶対とたどり着けないような路地裏の名店。

悪趣味な内装のスナック。

いつか行きたかった高級店。

全ておじさんたちがくれた貴重な経験です。

ミレニアル世代より、昭和っぽい人でいたい

昭和、平成、そして新しい年号へ。ミレニアル世代の中には、3つの年号をまたいで生きることになる同世代がたくさんいます。

多様化する価値観をカテゴライズすること自体がもう難しくて、ミレニアル世代の中にもいろんな人がいる、それこそが多様性だということを知ってもらいたいです。

おしゃれでクールよりも、感情的で熱っぽい方が私らしい。仲間を連れ立ってシーシャを吸うよりも、スナックでおじさんと歌いたい!そんなミレニアル世代、きっと私だけじゃないはずです。

多様性という言葉の元においては、おじさんたちも平等。だからこそ、昭和が生んだ「人付き合い」という文化を、今こそ大切にしたいと思うのです。

ハラスメントに怯えて若い世代と関わるのをシャットダウンしているのは、もしかしたら上の世代、なんてこと、ないでしょうか。

㈱MISSION ROMANTIC代表、たった1人の社員。広告代理店に4年勤めた後、外資やベンチャーを経由し2019年3月起業。小説を通じて人と出会う人力マッチングサービスを運営、ロマンチックに生きて行きたい。
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