箱根駅伝が好きと言い続けていたら
●編集部コラム
そこに箱根駅伝があったから
そもそもどうして箱根駅伝が好きなの?と問われたら、「昔から見ていたから」でしょうか。祖父母の家は、箱根駅伝「花の2区」、その要所「権太坂」から約1キロの場所にあります。お正月に遊びに行くと箱根駅伝をテレビで見つつ、ランナーが来る時間になったらコースで旗を振って応援、というのが定番イベント。でも30年ほど前は、関東ローカルのイベントで、いうなれば「おらが村の祭り」的な感じのレベルだったんじゃないかなと思います。
さっそうと登場した私の王子
いまや青山学院大学の天下ともいえる箱根駅伝ですが、私が小~中学生のころは早稲田最強、順天堂大学や山梨学院大学、大東文化大学あたりも優勝争いに名を連ねていた時代でした。特に、現・住友電工陸上部監督で、箱根駅伝の解説も務めている渡辺康幸さんが早稲田の「大エース」と言われていた頃。私は早稲田で5区の山登りをする選手に目を奪われました。
か っ こ い い!!!
それは小林雅幸さんという、渡辺さんより1学年下の選手。ぐんぐんと山を登っていくその姿、キリッと引き締まった表情から目が離せなくなりました。それまでアイドルや芸能人にもピンと来ていなかった私が、はじめて「超かっこいい!やばい!!」という感覚を覚えた瞬間でもありました。
とはいえ大学の長距離選手などに、いち中学生が接する機会はありません。しかも今のようにネットもない時代。なんとか彼の情報を得たいと、本屋でスポーツコーナーに行き、「月間陸上競技」などの専門雑誌を見つけて彼の写真を発見し、「私がこんな本を買って変に思われないだろうか」などビクビクしながら、なけなしのお小遣いを出して買っていました。雑誌「Number」での扱いも小さかったし。検索すれば好きな選手の画像がバンバン出てくる現代って、ほんとにいい時代だよ……。
どうしてももっと近くに行きたい
その翌年の箱根駅伝、彼が4年生なので箱根駅伝を走るのは最後。そう思ったら「どうしても生で見たい!」という衝動が抑えられず、現地観戦計画をたてました。エースと呼ばれる存在でしたが、調子を落としていた彼は最終的に3日の復路、7区にエントリー。7区→8区の中継所、平塚中継所を目指して朝から移動しました。
初めての生中継所は、やってくる選手も見えないほどの人、人、人。無我夢中で走り終わった選手が囲み取材をする場所に紛れ込み、間近で写真を撮ることに成功しました。奇跡!
それ以来、私の心を超絶熱くさせる選手には出会えていませんが、毎年「この人を応援しよう」と1人か2人決めて見たりしています。今年は順天堂大学の塩尻和也選手が私の推しメンです(笑)。
いつの間にかこんなところに来てしまった
私は今telling,のほかに、大学スポーツを扱うきょうだいサイトの「4years.」の編集にも関わっています。私が「駅伝が好きだ好きだ」と言っていたら関わることになり、重いカメラを片手に記録会や大会の撮影をしたり、選手に直接取材することもあります。ずっと好きで見ていたものが仕事になるとは、なんとも不思議な気分です。
4years.ではこんなガチのスポーツ記事を書いています。
「3冠・5連覇」へ万全 青学からみなぎる自信
いつしか箱根駅伝も全国区のメジャーな大会になり、選手の追っかけをする女子「駅女」なる人々も現れました。箱根駅伝先駆けファンの私からすると、隔世の感……。
今年はついに『WE LOVE箱根駅伝』という本も登場。女子のための!女子による!箱根駅伝本!ここまで来たか!という感じです。内容は初心者にも優しく、各校の特徴が簡潔にまとまっているので、ちょっと気になってるんだけど……という人におすすめです。
なんだかんだいって大会まであと2週間。選手たちが繰り広げるドラマに感動するもよし、イケメンを探して見るもよし。熱い2日間がまたやってきます。