婚外恋愛を考える

“パパ”がいる生活、始めましたー27歳キョウコの場合ー

肉体関係の有無を問わず、経済的に援助をしてくれる男性を探す「パパ活」という言葉がある。本当にそんな都合がいい話があるのだろうか――。telling,編集部では約8千人の女性ユーザーがいる交際クラブを通じて、実際にパパ活をしている2人の女性に話を聞いた。

●婚外恋愛を考える

パパ活の理想と現実のギャップ

 27歳のキョウコ(仮名)は、「パパ活」を始めてまだ2週間足らず。細めのフレームのメガネをかけていて、白い肌と広めのおでこが印象的な女性だった。白シャツに橙色のスカンツを着ていて、そんなに化粧っ気はないが、全体的に清楚な雰囲気が漂っていた。 

 この2週間で20代~50代の7人の「パパ」と会ったキョウコだが、次のデートに誘われることはなく、1回限りのデートが続いている。彼女の相場は、パパによって変わるが1回のデートで1~3万円ぐらいだという。デートは食事だけがほとんどだが、ビリヤードやショッピングをすることもある。

 パパ活をしている女性は、運営側が判断したルックスの良さや性格の良さによって、“ランク”をつけられる。女性は自分のランクが分からないようになっており、パパが女性を選ぶ指標として使われる。ただ、支払う金額はあくまでその女性とパパの交渉で決まるといい、キョウコはまだ新人の部類にあたる。

 「やっぱり男性として接してくる方が多いです。つまり、体を求めてくる人が多くて、最初からホテルに誘ってきたりして……。正直げんなりしています」

 交際クラブの公式サイトには「あなたは素敵な出会いとロマンチックなお食事を楽しむだけです」「フリーターの私でも優雅な生活!」などの甘い誘い文句が並ぶ。この交際クラブは、食事のみ・初日は体の関係NG・初日から体の関係OKなど「交際タイプ」を細かく区分している。キョウコは一応「フィーリングがあえば大人の関係あり」で登録しているが、今のところパパとは手を繋いだことしかない。

 「金銭が発生するからそうだろうなとは思っていたけど……。広告にあったように、パパ活は純粋に夢を応援してくれるイメージだったから、ここまで露骨だなんて。私が甘かったかも」

 そう、パパ活の思い描いていた理想と現実のギャップを語った。

海外留学をしたくて….

 キョウコは、普段、都内で事務系の派遣社員として働いている。これまではイベント系の会社やオペレーターなど職を転々としてきた。最近はイラストレーターとしても活動を始めている。パパ活を始めたワケは、海外留学をしたかったからだそうだ。

 「ずっと留学をしてみたかったんです。年齢も年齢だから、今行動しないとと思って……」

 カナダで1年間、語学の勉強をすることが今のキョウコの目標だ。カナダを選んだ理由は「オーストラリアやイギリスの留学よりも費用が安いから」で、英語を学ぶ目的は「可能性が広がるし、どこに行っても誰とでも話せるようになりたいから」だという。

 学生の頃から海外への憧れがあったが、金銭的な余裕がなかった。「人生短いのに何やっているんだろうって、焦っています。SNSで見ると、同級生は海外で暮らしている人もいて」。周りと比べて状況が変わらない自分。やるなら今しかない。そんな焦りが彼女を駆り立てる。

 「私にはお金が本当に必要。奨学金の返済もあるし、派遣の給料だとすぐ無くなっちゃうから、貯金もできない。パパ活自体に嫌悪感はありましたよ。でも稼げるならと思って。人と話すのは得意じゃないし、キャバクラとか風俗とかは向いていないって分かっていたから。自分に自信はないけど、支援してくれる人がいるならやってみようかなって」

「どこまで妥協していくのか、これから決める」

 実は、パパ活で出会った50代の男性から「月に30万円を出すから、俺一人だけにして」と言われたことがある。でも、キョウコはその申し出を断った。月50万円ほどを稼ぎたいからだという。これまで男性と付き合ったことはほとんどないし、結婚願望が強いわけでもない。 

「どこまで妥協していくのかはこれから決めます。でも、誰とでも寝る感じには絶対なりたくない。だって普通の感覚とずれると思うし」

 「本当に気があう“パパ”に出会えたらいいな。今はただ相手の仕事の話を聞いて、恵比寿や六本木などで鉄板焼きを食べたり、新宿や渋谷のホテルのコース料理を食べたり…っていう“接客”をしているだけな感じがする。もっと人としての関係を築いて、体の関係なしに、私の留学支援をしてくれたり、会話の中でお互いを高めあえたりするパパに出会いたい」

 理想と現実の乖離を感じつつ、一方でまだパパ活に夢を見続けたいと思っているようだ。

 親や職場の同僚にはパパ活をしていることは言っていない。キョウコがパパ活をしていることは、妹だけが唯一知っている。妹の反応は淡白で「へ〜」と言われただけだった。「妹の周りでもパパ活をしている人がいるから理解が早かったのかな」と思っている。キョウコは、そんな妹の反応に少し、安堵した。

取材協力:ユニバース倶楽部 

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1988年東京生まれ。慶応義塾大学文学部卒業後、朝日新聞に入社。新潟、青森、京都でも記者経験を積む。2016年11月からフリーランスで活動を始め、取材、編集、撮影をこなす。趣味はジャズダンス。
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