自分とデートする。

なまめかしく妖艶な表現力で性別問わず見る者の目を釘づけにするポールダンスのダンサーであり、注目のブロガー、ライターでもある“まなつ”さん。彼女が問いかけるのは、「フツー」って、「アタリマエ」って、なに? ってこと。 telling,世代のライター、クリエイター、アーティストが綴る「telling, Diary」としてお届けします。

●telling, Diary ―私たちの心の中。

自分とデートする

 5月も半ば、やっと気候が落ち着いて気持ちいい季節になってきましたね。

 自然と外に出かけたくなる陽気の毎日で、老いも若きもどんどん薄着になっていく。

 道行く恋人たちが手をつないでゆっくり歩いているのを見ると、恋する2人にはただ道を歩くことすら楽しいんだろうなあと想像します。

 さて、皆さんはデートしてますか?誰かとする方の。

 人とするデート。それはつまり、おめかしをして精いっぱいきれいにしてウキウキして出かけて、食事をしたりお酒を飲んだり映画を見るタイプのデートです。

 新しいお洋服を着たり、新品の靴をおろしてみたり。

 どんなところに行くのが楽しいかな、相手も楽しんでくれているかな、とヤキモキすることすら恋のスパイス。

 心が通じ合えばうれしいし、もどかしいのも気持ちいい。

 また次も会いたいと思えるすてきな逢瀬を重ねて、2人の距離は縮まっていくのでしょう。

 人とするデートも最高ですが、私は定期的に「自分とデート」するようにしています。

 その日1日は徹底的に自分のことしか見ない、自分をまるで最高にわがままで可愛らしい恋人だと思って、とことん自分のやりたいことのみにフォーカスします。

 なぜそんなことをしているのか。

 それは私が、死ぬほど疲れた時は内にこもることで回復するタイプの人間だからです。

 たぶん世の中には、疲れて気持ちが落ち込んだら気の合う友人と会って話してパーっと騒ぐとサイコ〜!という人も大勢いると思います。私にもそういう気分の時はたまにあります。しかし、本当に限界まで疲れきると、誰とも会いたくないし誰にも気を遣えない。

 自分とデートをするときは、まずリサーチをします。何を食べたいか、どんな服を着たいか、どこへ行きたいか自分に聞いてみる。

 ゆったりした気持ちでいたいからおしゃれすぎる窮屈な服はナシ、スウェット上等。最近節制して食べていなかったジャンクフードを思いっきり食べたい。静かな神社仏閣を巡ったり好きな町をただぶらぶらしたりしたい。

 ときには少し遠出をして、船に乗って離島へ行ったり、山に登ったり、自然の中でぼんやりするのが気持ち良い。

 そうして一人になって静かに過ごすことで、だんだんと見えてくるものがあります。

 人のことを気にかけすぎると、自分が何を考えているかすらわからなくなってしまう。

 そういう時は、自分自身をこの世でたった一人のいとしい恋人みたいに扱ってあげる。

 居心地の良い場所を用意して、苦しい思いなんてさせたりしないで、笑顔になれることをする。そうすることで、本来の自分を少しずつ取り戻していける。

 自分とデートすることは、巡り巡って他人も大切にするための秘儀なのです。

 これから始まる気持ちいい季節、初夏はきっと最高なことしかない。

 次の自分デートはどこに行こうかな。

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ポールダンサー・文筆家。水商売をするレズビアンで機能不全家庭に生まれ育つ、 という数え役満みたいな人生を送りながらもどうにか生き延びて毎日飯を食っているアラサー。 この世はノールール・バーリトゥードで他人を気にせず楽しく生きるがモットー。
まなつ