心にもマッサージを。

なまめかしく妖艶な表現力で性別問わず見る者の目を釘づけにするポールダンスのダンサーであり、注目のブロガー、ライターでもある“まなつ”さん。彼女が問いかけるのは、「フツー」って、「アタリマエ」って、なに? ってこと。

●telling, Diary ―私たちの心の中。

心にもマッサージを

 日頃より肩こり腰痛にお悩みの皆様こんにちは!お仕事お疲れ様です。毎日決まった時間に家を出てデスクワークしたり、外回りしたり、会議だの打ち合わせだの本当に大変ですよね。 心中お察しします。

 忙しい毎日、緊迫したビジネスシーン、満員電車に加えて長時間のパソコン作業。そりゃ肩もこりますし腰も痛くなるでしょう。

 昼間の会社勤めではない私ですが、私にも肉体の疲労はあり、体をメンテナンスするためによくマッサージに行きます。

 私の仕事はポールダンサー。

 ポールダンスという仕事、それは奇麗な衣装を着て、くるくると舞い踊る華麗な日々……
 ではなく、1に練習、2に筋トレ、汗と涙とプロテインが友達の過酷な肉体労働です。擦り傷やアザは日常茶飯事なので怪我に入りません。1日に3ステージ、4ステージとこなせば筋肉疲労がもう限界。
 手には力が入らず、手や腕がむくんでパンパンに張っている。汗まみれの体を一刻も早く横たえたい欲求と闘いながらシャワー。
 髪を乾かすのもめんどくさくなりながらベッドへダイブ。そうすると翌朝、猛烈なだるさとともに目覚めます。体を使いすぎた確かな手応えとともに浮かぶのは、マッサージへ行きたいという気持ち。ただそれだけ。

 行きつけの格安マッサージ、お気に入りのワンさんを指名して60分の極楽タイム。

 中国出身というワンさんは何かにつけて私の体を心配してくれ、
「あなたこれ以上腕、使っちゃいけない…からだ疲れてる…」 と心のこもった施術をしてくれます。
週に6日、13ステージをこなしていると、どれだけ自宅や職場でストレッチをしても不調が出てきます。

 もっと早くマッサージに来るべきだったのに、なかなか来られず。
 そんな中、もはや私よりもワンさんの方が、よっぽど私の体を心配してくれている。自分のことを一番いたわり、心配し、愛することができるのは他ならぬ自分自身です。ワンさん任せにしてはいけない。 今度からはもっと早く来なさいというワンさんに手を振り、すっきりした体で今日もまたステージに立つ。

 肉体はこんな風に目に見える形でいたわれますし、ワンさんのような素晴らしい施術者がいればある程度、他人任せにもできます。
でも、心のメンテナンスは、自分にしかできません。
 もちろん、人に手助けをしてもらうことはできるでしょう。話を聞いてもらったり、慰めてもらったり。
 しかし、本当の意味で自分の心を癒やし慰めるのは、自分自身への深いいたわりの気持ちです。
 こんなに頑張っちゃって、大変だったね。無理してたよね。もう休もう。ゆっくりしよう。そう決めて行動に移し、休養を取ること。それこそが心へのマッサージになりえます。自分が無理していたこと、頑張り過ぎていたことを見つめるのは時に辛いことかもしれません。
肉体へのマッサージも、凝り過ぎていたら痛みを伴うことがあるように、心へのマッサージも時にしんどく感じるでしょう。
 そうなってしまう前に、ぜひまめなセルフメンテを。
 心躍る趣味の時間を満喫するもよし。自分の心の声に耳を傾ける静かな時間を持つために、自然の中へ行くのもいいでしょう。 一番大切なのは、今、何が一番必要か自分自身に問いかけること。 世間や友人や恋人・親兄弟であってもそれぞれに「心のマッサージ」の方法は違います。自分だけの手技・手法を編み出していくことで、日頃のこまめなメンテも楽々行えるようになります。

 あなたこれ以上、心に負担かけちゃいけない。疲れているよ、と誰かが運良く教えてくれるとは限らない。 自分の心がどんな風になっているか、張り詰め過ぎていないか、時々でいいので確認してみてください。最近どうよ、と気軽に聞いたらいいですよ。 自分だから、気兼ねはいりません。夜中でもすっぴんでもOKです。

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ポールダンサー・文筆家。水商売をするレズビアンで機能不全家庭に生まれ育つ、 という数え役満みたいな人生を送りながらもどうにか生き延びて毎日飯を食っているアラサー。 この世はノールール・バーリトゥードで他人を気にせず楽しく生きるがモットー。
まなつ