ツレヅレハナコのカラダにいい気がするレシピ ー石垣島特別編ー

石垣島特別編、島豆腐を使った沖縄ならではのレシピ

お酒とお酒に合う食べ物が大好きな人気編集者・ツレヅレハナコさんが綴る「体にいい」(気がする)料理コラム。頭痛、体のだるさ…。体の不調を感じたときに、すぐ作れるオリジナルレシピたち。隔週木曜にお届けします。

とあるワケがあり、この1か月半ほど石垣島にひとりで滞在している。

寝泊まりしているのは、友人が持っている空きアパート。

さすがに毎日外食というのもしんどいので、小さな台所で自炊できるのがありがたい。

いざ買い物へ出かけると、この島ならではの食材の豊富さにおどろく。

ナーベラー(へちま)、ニガナ、長命草、紅山芋…見たことのないハーブも盛りだくさん。

でも、なにより驚いたのは豆腐の違いだ。

もちろん豆腐なら本土にもあるけれど、まず売られている状態が違う。

ポリ袋に入っているものの口は閉じられておらず、さわるとホカホカ温かい!
石垣島に限らず沖縄全体の文化だそうで、

「豆腐業者は、できたてのアツアツ豆腐を1日に何度も店に納品する」システムらしい。

あったかい豆腐というだけでテンションが上がるが、

これは沖縄だけに許された特例の販売方法。

日本の食品衛生法では「豆腐は冷水にとったものを販売するべし」と決められているのだ。

沖縄も1972年の本土返還の際に同様の法律が適用されるはずだったものの、

「アチコーコー(=熱々)の豆腐は沖縄の文化!」と関係者が猛反対し、

結果的に特例の処置となったらしい。熱いねえ。

豆腐はチャンプルー(炒め物)をはじめ、さまざまな沖縄料理に欠かせない。

主に2種類あって、料理に使われるのは「島豆腐」。

おなじみの四角い形で、本土のものに比べてギュッと硬く水気をしぼってある。

もうひとつは「ゆし豆腐」と呼ばれ、水けをきらず汁に浸かったゆるゆるとした状態。

ポリ袋に詰められて売っているのだが、これがめっぽううまい!

どちらも大豆の味が濃厚で、私はすっかりハマってしまった。

石垣島にいる間は、毎朝起きたらその日の分の豆腐を買いに行く。

7時には近くの商店に第一便の豆腐が届いているので、

眠い目をこすりながらホカホカの島豆腐を半丁とゆし豆腐(小)を手に取るのだ。

ふわふわとやわらかくなめらかなゆし豆腐は、

温かいまま醤油をかけたり薬味をのせたりして朝食に。

ぎっちり食べごたえのある島豆腐は冷蔵庫に入れておき、昼や夜の主食代わりにいただく。

東京にいるときは、これほど豆腐を食べることはなかった。

でも毎日、ひたすら豆腐を食べているとなんだか体が軽いことに気がつく。

旅行に出かけて豆腐を買うことはなかなかないかもしれないが、

もし機会があればホテルに持ち込んででも食べてみてほしい。

沖縄の人たちが日常的に食べているけれど、本土にはないアチコーコーの食べもの。

それだけで、なんだか現地の生活を少しだけ見られたような気持ちになれるはずだ。

「ゆし豆腐のしらすみょうがオイルやっこ」

そのまま食べるのがおいしいゆし豆腐は、いろいろなトッピングで楽しみたい。しょうゆをかけてもいいけれど、オススメは塩+オリーブオイルで食べること! 大豆の甘みが、よりはっきり感じられるはず。

●材料(2人分)

ゆし豆腐(小)・・・1袋※本土であれば普通の豆腐で代用、みょうが・・・1個、しらす・・・20g、塩、オリーブオイル・・・各適量

1 みょうがは小口切りにする。

2 ゆし豆腐にみょうが、しらすをのせ、塩、オリーブオイルをかける。

「島豆腐のひき肉蒸し」

しっかり水切りされた島豆腐は、焼いたり揚げたりしやすいのが特徴。ひき肉に混ぜても水っぽくならず、ふんわりとした食感に蒸しあがる。ラー油と黒酢をたっぷりかけてどうぞ。

●材料(2~3人分)

島豆腐・・・1/2丁、豚ひき肉・・・300g、長ねぎ・・・5cm、下味 コチジャン・・・大さじ1、片栗粉・・・大さじ1、ラー油、黒酢、パクチー(ざく切り)・・・各適量
※島豆腐は、本土であれば木綿豆腐1丁をペーパータオルで包み、皿にのせて電子レンジで3分ほど加熱。さらに別の皿を豆腐の上に乗せて15分ほど置き、しっかり水切りする

1 長ねぎはみじん切りにする。

2 ボウルにひき肉、手でつぶした豆腐、下味を入れて練り、長ねぎを加え混ぜる。

3 ひき肉だねを丸めて器に盛り、蒸し器で20分ほど蒸す。黒酢、ラー油をかけてパクチーをのせる。

食と酒と旅を愛する編集者。著書に『女ひとりの夜つまみ』(幻冬舎)、『ツレヅレハナコのじぶん弁当』(小学館)『ツレヅレハナコの薬味づくしおつまみ帖』(PHP研究所)『ツレヅレハナコの揚げもの天国』(PHP研究所)他。