ツレヅレハナコのカラダにいい気がするレシピ 03

胃痛に「いい気がする」、牛乳を使ったレシピ

お酒とお酒に合う食べ物が大好きな人気編集者・ツレヅレハナコさんが綴る「体にいい」(気がする)料理コラム。頭痛、体のだるさ…。体の不調を感じたときに、すぐ作れるオリジナルレシピたち。隔週木曜にお届けします。

朝ごはんを食べながら昼ごはんのこと、
昼ごはんを食べながら夕ごはんのこと、
そして、夕ごはんを食べながら「明日の朝は何を食べようか」と考えている。

そんな調子だから、ついつい食べ過ぎてしまうのは日常茶飯事。
特に旅先などでは「ここでしか食べられないもの」が盛りだくさんゆえ、
胃薬片手にむりやり食べて同行者に呆れられるのもしょっちゅうだ。

「薬まで飲みながら食べるもの!?」。

確かに、そりゃおっしゃる通り。人の食事には適量というものがある。
でもそれ以上に食い意地が張っているのだから、これはもう仕方がない。

食いしん坊仲間で、「どの市販胃薬が一番いいか」について語り合ったこともある。
「あの薬は胃酸の分泌を抑える効果が高い」「こっちは消化酵素が半端ない」
「いやいや、胃自体の力を高める漢方がいい」……。
ストレス系の胃の痛みではなく、食べ過ぎ呑み過ぎ前提なのが微妙なところだが、
それぞれ贔屓にする市販薬があることがわかる。

かくいう私も「どの胃薬派?」と聞かれたならば、
「この15年くらいは『太田胃散』!」と即答することだろう。
私の胃に合っているのか、食べ過ぎ飲みすぎのときには本当に頼りにしている。
でも胃薬以上に、胃をリカバリーしてくれるもの。
それは絶食。

暴飲暴食を繰り返していると、いつの間にか内臓からの声が聞こえるようになる。
「ハナコさん、もうアルコールは無理だ。分解できない!」という肝臓の悲鳴、
「胃袋120%拡張中……! 頼む、今日は勘弁してくれ!」という胃の懇願。
それを無視して飲み食いし続けるのだから、翌日、地獄のような体調不良は自業自得だ。

こうなると、どれほど胃薬をバカ飲みしてもどうにもならない。
効いてくれるのは、
「朝も昼も夜も、ひたすら胃を休ませて胃が正常な働きになるのを待つ」。
それだけ。

私の場合は、翌日まるまる絶食、その後スープ類から始めるとうまくいく。
だし汁だけのお吸い物でも良いのだが、ある日そこに牛乳を加えたら、
干からびていた胃の粘膜にじんわりと染み渡った。
調べると、牛乳には胃の酸性度を抑えたり胃壁を保護する効果があるそうだ。

絶食明けなので具は一切不要。
リハビリのような気持ちで、一口ずつ味わいながら飲んでみてほしい。
「もう次こそは暴飲暴食しないぞ!」という、もろくも固い決意を胸にしながら。

「絶食明けの牛乳スープ」

●材 料(1人分)

だし汁・・・2/3カップ、牛乳・・・1/2カップ、みそ・・・小さじ1、

鍋にだし汁を沸かし、みそを溶き入れる。牛乳を加え、沸騰させないように温めて器に盛る。



食と酒と旅を愛する編集者。著書に『女ひとりの夜つまみ』(幻冬舎)、『ツレヅレハナコのじぶん弁当』(小学館)『ツレヅレハナコの薬味づくしおつまみ帖』(PHP研究所)『ツレヅレハナコの揚げもの天国』(PHP研究所)他。
フォトグラファー。 1974年3月東京生まれ。好きな被写体は人物と料理。暮らし周りを数多く撮影。 著書「人と料理」(アノニマスタジオ)「祝福」(ORGANIC BASE)「まよいながら、ゆれながら」(文・中川ちえ/ミルブックス)「Travel Pictures」(著者名田辺わかな/PIE BOOKS)