ツレヅレハナコのカラダにいい気がするレシピ 02

肩こりに「いい気がする」、アボカドとナッツを使ったレシピ

お酒とお酒に合う食べ物が大好きな人気編集者・ツレヅレハナコさんが綴る「体にいい」(気がする)料理コラム。頭痛、体のだるさ…。体の不調を感じたときに、すぐ作れるオリジナルレシピたち。隔週木曜にお届けします。

子供の頃、仕事から帰った母は、いつも同じ動きをしていた。
「ただいまー」と言ってからダイニングの椅子に座り、
決まって自分の両肩に手を当ててゆっくりと揉みしだく。子供の頃、仕事から帰った母は、いつも同じ動きをしていた。

小学生だった私と兄は、気が向けば自分から「肩、揉もうか?」と声をかけ、
テレビに夢中であれば見てみないふりをするのだ。
母の肩は岩のようにガチガチで、ゆっくり揉んでいると徐々にやわらかくなる。

「はー、気持ちいい」と言いながら首を前に倒す母を見て、
「大人になると、これほど肩こりってやつになるのか」と恐ろしかった。
その一方、いつもパワフルで忙しい母が見せる唯一の弱みを、
肩揉みでサポートできるのが少しうれしかったような気もする。

そんなこんなで、「いつ、私も肩がこるのだろう」と戦々恐々の日々だったものの、
おかしいことに全然やってこない。
10代も、20代も、その気配がまったくないままに過ごし、
美容院のサービスで肩を揉まれることさえ、くすぐったくて断るほど。

30代になって「そろそろ来るだろう」と準備はオーライだったのに、まだ来ない。
「ハナコさんは、自分で気づいていないだけだよ」と友人に言われ、
マッサージに行ってみたものの「肩、やわらかいですね~」と褒められるのみ。
おかしいな……、私には来ないのか?

そして40代になり、パソコンで文章を書く仕事がさらに増え、
デスクの前でぼんやりしていたそのとき。
無意識に、自分の肩に手を当てていることに気がついた。

これは……! 子供の頃に母がしていた動きと同じ?
「今だ!」と5年ぶりのマッサージ店に飛び込み、
「肩がこっているのでほぐしてください」と高らかに宣言。

揉んでもらった後の、肩が軽いこと軽いこと……これかー、「肩がこる」って。
帰りにマッサージ師に言われたのが、
「血行が悪くなると、肩こりも悪化します。ビタミンEを摂るといいですよ」。

さっそくビタミンEが豊富に含まれる食材を調べたところ、
抜群に多いのはアボカドとナッツ……。
あ、これって私がたまに作るおつまみの組み合わせではないか!

ねっとりアボカドと、カリカリナッツのコントラストをいかしたシンプルなサラダ。
アボカドとナッツだなんて、ミスユニバースが食べていそうな(?)美しい組み合わせ……。
それが、肩こりにもよさげだなんてすばらしい。

でもおかげで、このサラダを食べるたび、「40代になったんだなあ」としみじみ思う。
ちなみに70代になった母は、今では肩こり知らず。
先日聞いてみると「あの頃、40代半ばのプレ更年期だったのよね」とのこと。

ってことは、そろそろ更年期の準備もせねばなのだなー。
ああ、女の身体の道は長いよ!

「アボカドとナッツのサラダ」

●材 料(1人分)

アボカド・・・1個、アーモンド(カシューナッツ、ピスタチオでもOK)・・・8~10粒、紫玉ねぎ・・・1/4個、{ドレッシング} オリーブオイル・・・大さじ1、レモン汁・・・1/2個分、塩・こしょう・・・各少々

1.アボカドは縦半分に切り、種を取る。包丁で、ひと口大に切れ目を入れて皮をはがし、ボウルに入れる。

2.アーモンドはから煎りして粗く刻む。紫玉ねぎはみじん切りにする。

3.アボカドのボウルに紫玉ねぎ、ドレッシングの材料を入れてざっと混ぜる。

4.器に盛り、アーモンドを散らして完成。

食と酒と旅を愛する編集者。著書に『女ひとりの夜つまみ』(幻冬舎)、『ツレヅレハナコのじぶん弁当』(小学館)『ツレヅレハナコの薬味づくしおつまみ帖』(PHP研究所)『ツレヅレハナコの揚げもの天国』(PHP研究所)他。
フォトグラファー。 1974年3月東京生まれ。好きな被写体は人物と料理。暮らし周りを数多く撮影。 著書「人と料理」(アノニマスタジオ)「祝福」(ORGANIC BASE)「まよいながら、ゆれながら」(文・中川ちえ/ミルブックス)「Travel Pictures」(著者名田辺わかな/PIE BOOKS)