【西村宏堂の“Out of the Box!”#13】ミスコンのあり方も変化の兆し。本当に美しい人ってどんな人?
- 前回はこちら:オープン・リレーションシップ──相手を縛らない愛もある?
梅雨が明けて、暑い夏がやってきました。
薄着の季節になると、つい自分の体形が気になってしまいます。
もっと痩せた方がかっこいい、洋服をキレイに着こなしたい……。
あなた自身の美の基準は何ですか?
セカンドシーズンから、毎回ひとつの問いをみなさんに投げかけています。
それは、私たちが「当たり前」だと思っていることを問い直し、価値観をアップデートするためのクエスチョン。
読者のみなさんだけでなく、私自身への問いでもあります。
よろしければ、あなたもぜひいっしょに考えてみてください。
そして、あなたの考えを文末のコメント欄で共有していただけたらうれしいです。
引き続き、できるかぎりお返事もしていきますので、時々チェックしてみてくださいね。
今回の問いはこちらです。
- Q. 本当に美しい人ってどんな人?
私たちは往々にして、美しい人に心を惹かれます。道ですれちがって思わず振り返ったり、画面の向こうの誰かに夢中になったり、会った後にいつまでも心に残ったり。
あなたにとって、美しい人ってどんな人でしょう?
たとえば、端正な顔立ちに、スラリとした体型。
それとも、さわやかな笑顔や力強いまなざしの持ち主でしょうか?
人の美しさを引き出すメイクアップアーティストとして仕事をするようになり、私はたくさんの人に出会って、その問いと深く向き合うようになりました。
私の視野を広げてくれたエピソードをひとつご紹介します。
美を表現する方法はいろいろあると知った話
ある年のミス・ユニバース世界大会で私が出会ったのは、カリブの小さな国から出場した英語の先生。まるでバービーのような美形ぞろいの候補者の中、正直なところ、彼女の顔立ちや体型は人目をひくものとは言えませんでした。
でもね、みんなの前に立ち、自作の詩を披露した彼女の姿に、私はたちまちとりこになりました。自然や人の心について書かれたその詩は、もう涙が出てくるほど美しかった。輝く海や爽やかな風が心の中に広がったような気持ちがしました。詩をよむ表情も声も、彼女の美しい心の動きが目に見えるようで──今でも忘れられません。
それ以来、私の目には彼女が輝いて見え、とても美しい人だと感じるようになりました。
そう、立ちふるまいや表現の力を通して、彼女の本当の美しさに触れたんですね。
そのとき、美を表現する方法は、生まれ持ったからだに頼るものだけではないんだ──と私の視野がまたひとつ、パッとひらけたのでした。
どれだけ目鼻立ちが整っていて、スタイルがいい人でも、人間としての心の美しさを感じられなければ、私の心は動かないと思います。
最近のミス・ユニバースの大会ではスピーチが重要視されています。これは内面の美しさが人を動かすということに多くの人が気づいてきたからではないでしょうか。
美の基準も多様性の時代。あなたにとっての美しさとは?
「目は大きな二重こそ美しい」「肌は透き通るような白さがいい」「女性はこうでなければ」──そんな画一的な美の価値観が当然とされた時代は、過去のものになろうとしています。
近年、美を競うミス・コンテストも、そのあり方が問い直されるようになってきました。先ほど触れたように、私が関わるミス・ユニバースをはじめ、現代のミスコンは候補者の内面や想いや努力にも目を向け、人としての美しさを評価するものが増えてきたと感じています。
たとえば、上智大学は昨年、歴史ある「ミス・ミスターソフィアコンテスト」を廃止し、「ソフィアンズコンテスト」を新設しました。多様性を尊重する理念のもと、性別を問わず、自身の魅力と社会課題を発信するインフルエンサーとしての活躍を競うものに変わったそうです。
これから多くの人がさらに声を上げるにつれ、美の基準はどんどん多様なものになっていくと思います。この地球に生まれて、肌の色も顔立ちもバックグラウンドもさまざまな私たち。このような私たちにとって、美を表現する方法って、たくさんあります。
今の私が考える“本当に美しい人”とは「人を美しい気持ちにしてくれる人」。
あなたはどんな人を美しいと感じますか?
- ■西村宏堂の“Out of the Box!”バックナンバーはこちら
1:新しい環境で“居場所”をつくるには?
2:納得できないルールに心折れず、自分らしく前を向くには?
3:人と自分を比べてしまう。友だちにコンプレックスや寂しさを覚えたら?
4:今の環境で踏ん張るか、去るべきか──どう見極める?
5:言葉の暴力に苦しんできた私。自分を取り戻すには?
6:年をとるのが憂うつ。「女性の価値は若さ」なの?
7:仕事が楽しい30代独身女性。結婚や出産への圧にモヤモヤ
8:大切な人たちとの別れ。誰からも必要とされない不安と孤独に押しつぶされそう
9:生きるのって果てしない──コロナ禍に初就職。希望の仕事に就けたのに、情けない自分に涙
10:何者でもない大人になった私。胸を張れる何かを見つけるには?
11:ルッキズムには反対。でも美しい人に惹かれるし、見た目は大事──これって矛盾?
12:オープン・リレーションシップ──相手を縛らない愛もある?
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第11回【西村宏堂の“Out of the Box!”#11】ルッキズムには反対
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第12回【西村宏堂の“Out of the Box!”#12】オープン・リレーシ
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第13回【西村宏堂の“Out of the Box!”#13】ミスコンのあり方も
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第14回【西村宏堂の“Out of the Box!”#14】生理はタブー? 男
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第15回【西村宏堂の“Out of the Box!”#15】メイクは誰のもの?