【グラデセダイ14 / かずえちゃん】リアル「きのう何食べた?」カップルはあなたの隣にいる?
●グラデセダイ14
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毎年、元日の朝に「今年やりたいこと」を手帳にリストアップする。
できるできないは考えず、自分が今年やりたいことを思いつくだけ書き出す。
今年のリストのなかに「恋をする」と書いた。
気づけば早いもので彼氏と別れて4年半が経つ。
最近よくゲイ(LGBTQ)が登場するドラマや映画を目にするようになった。
『おっさんずラブ』『きのう何食べた?』そして今月末には映画『his』が公開される。
実は年末から2週間ほどインドに行く予定をしていた。
しかし空港でパスポートを忘れたことに気づき、僕のインド行きはお預けになった。
(予定では1月のコラムはインド旅にしようと思っていた。)
そんなわけで年末年始は実家に帰省した。
のんびりとしたお正月を過ごすなか『きのう何食べた?正月スペシャル2020』を見て僕は無性に恋がしたくなった。
僕が初めて男性と付き合ったのは23歳のとき。
当時はガラケーだったのでSNSや出会い系アプリは今ほどなかった。
SNSといえば「mixi」が人気だった。
そんな時代に僕はある掲示板で彼と出会った。
2人目の彼と出会ったのは留学先のカナダだった。
彼とは出会い系アプリで知り合った。
3人目の彼と出会ったのもカナダだった。
16歳年上の彼とも出会い系アプリで知り合った。
僕は今までの人生のなかで学校でも職場でも彼氏を見つけることができなかった。
できなかったというより誰が「ゲイ」なのかわからなかった。
だから僕と元彼との出会いはすべてゲイの出会い系アプリや掲示板だった。
登録している人は聞かずともほとんどがゲイなので、「ゲイじゃなかったらどうしよう」という心配はなかった。
僕は普段の生活のなかでゲイであることは隠してはいない。
しかし「ゲイです」と言いまわり生活しているわけではない。
聞かれたら答える感じだ。
しかし僕自身がオープンに生活していても相手がクローゼット(※カミングアウトしていない人)であれば、僕らは現実社会のなかで出会うことは容易ではない。
僕は24歳のとき両親に初めてカミングアウトした。
キッカケは初めて付き合った彼だった。
「大切な家族に大好きな彼氏を紹介したい。そしてもう嘘はつきたくない。」
僕はゲイを自覚したときから、自分のことをずっと隠して生きてきた。
家族や友達にカミングアウトなんてできないと思っていたし、しようとも思っていなかった。
そして僕には妹が2人いる。
「結婚して親に孫を見せることが長男としての役割」
両親に言われたわけではないけれど、自分の中で「長男とはこうあるべき」というものをずっと持っていた。
だから両親へのカミングアウトは
「ごめんなさい」だった。
「ジェンダーロール」という言葉がある。
男だから
女だから
〇〇だから
「男の子なんだから外で遊びなさい」
「男の子なんだからシャキッとしなさい」
「男のくせに女みたい」
「男なら家庭をもって一人前」
言われてイヤだった言葉はずっと僕の心のなかに残ってる。
男だから
女だから
長男だから
長女だから
お兄ちゃんだから
お姉ちゃんだから
○○歳だから
知らず識らずのうちに刷り込まれている「価値観」や「常識」は意外に多いと思う。
僕も気づかぬうちに自分が自分を「長男だから」と縛りつけて生きていた。
ここでお正月にみたTVドラマに話を戻そう。
「きのう何食べた?」の良いところはゲイを誇張せず男女の恋愛のように描かれているところだと思う。
あたりまえに彼らが日常に存在しているかのように。
そしてリアル「きのう何食べた?」カップルは
TVの中でも、漫画の中でも、空想の中でもなく、あなたの身近に存在する。
「いない」ではなく「言えない」現実。
大切なことはカミングアウトしやすい社会をつくることではない。
「カミングアウト」なんていう言葉がいらない。
「LGBTQ」なんていうカテゴリーで分けない。
誰だって「自分の好き」を堂々と誇れる社会。
そして自分が自分らしく生きられる社会をみんなでつくっていくことが大切なことだと思う。
2020年。
男だから
女だから
そんな窮屈なものに縛られず「あなたらしい」があふれた年にしたい。
そして僕は恋をする。
タイトルイラスト:オザキエミ
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