グラデセダイ

【グラデセダイ02 / かずえちゃん】僕の人生を変えたカナダ生活

「こうあるべき」という押しつけを軽やかにはねのけて、性別も選択肢も自由に選ぼうとしている「グラデ世代」。第2土曜日はYouTubeを通してLGBTQのことを発信している人気YouTuber、かずえちゃんのコラムをお届けします。

●グラデセダイ02

「いま、行かないと後悔するんじゃない?」

30歳。留学を迷っていた僕に母がかけた言葉。
その母の一言で僕はカナダ留学を決めた。

20代前半、海外にハマり仕事の休みを使っては旅をした。
タイ・台湾・カンボジア・ネパール・ドバイ・ヨルダン・キューバ・メキシコ・アメリカ……たぶん20カ国以上は行ったと思う。
旅先で目にするものすべてが新鮮で刺激的だった。
当たり前だと思っていたことも、国が違えば当たり前ではなくなる。

「英語が話せたら、もっと現地の人と交流できるのに。」

いつしか「旅」ではなく「生活」として海外を考えるようになった。
そして僕は30歳でワーホリビザを使い、カナダに留学した。

僕が自分のセクシャリティ(ゲイ)を自覚したのは小学校高学年のとき。

「まわりの男子と違うかも。」

絶対にバレたらダメだって子どもながらに感じていた。
だから自分の気持ちは誰にも話せなかった。

自分のことを隠していた高校時代

中学・高校と歳を重ねるにつれ、同性への気持ち(恋愛感情)が大きくなっていった。

「彼女いないの?」
「結婚しないの?」

聞かれるたびに嘘をつき続けた。
しんどかった。

パラパラばかり踊っていた高校の夏休み

僕は、カナダ生活をスタートするときに1つだけ決めたことがある。

それは
「カナダでは自分がゲイであることを隠さずに生きよう。」
ということ。

初めての海外生活。
そして誰も知らないこの町で、1から人間関係を作っていく。
もうここでは自分のことを隠したくない。そう思った。

2005年。カナダは世界で4番目に同性婚が認められた。
(ちなみに世界で最初に同性婚を認めた国はオランダ)

僕が暮らしていたのは、カナダ西部最大の都市バンクーバー。
様々な文化や習慣を持つ人々が共に暮らしていた。
男性同士・女性同士が普通に手を繋ぎ歩いている町だった。
そして結婚している同性カップルもたくさんいた。

僕はそんな素敵な町で約3年間生活した。

カナダでの生活は日本ではできなかった(したかったけどなかなかできなかった)経験をたくさんすることができた。

その①
「彼氏と手を繋いで町を歩く。」

日本で約6年間付き合った彼氏がいた。大好きだった。
僕たちは外で手を繋いで歩いたことは一度もなかった。ひと目が怖くてできなかった。
だからカナダで彼氏と手を繋いで“普通に”町を歩けることがすごく幸せだった。

その②
「結婚について初めて考えた。」

僕は高校卒業後、ウエディングプランナーの職に就いた。
日本では同性同士の結婚ができない。
だから結婚なんて一度も考えたことがなかった。
カナダで彼氏ができて初めて結婚について考えた。
「結婚する・しない」は個人の選択だと思う。
しかし、「選択肢があって選ばないこと」と
「選択肢がなくて選べないこと」は全く違うと思う。
結婚について考えたとき、なんだか心が温かくなった。

その③
「カミングアウトすることが怖くなくなった。」

この国ではゲイであることを隠さずに生きよう!
そう思って生活を始めたけれど、やっぱり怖くてなかなか言えなかった。

「まだ自分のことを隠して生きるの?」

カナダに来て1ヶ月ほどが経った時、僕は、語学学校でできた友人と飲みに行ったBARでカミングアウトした。
「僕。。。ゲイなんだ。」

驚きもせず、みんな普通だった。
「えっ?カミングアウトってこんなもんなんだ。」

2015年の10/11(世界カミングアウトデー)にSNSを使い、カミングアウトした

それから僕は自分のことを隠さずに話せるようになった。
そして自分が自分であることを認めることができるようになった。
彼氏と手を繋ぎ、町を歩くこともできた。
友達に恋愛相談もできた。
彼氏を“友達”って偽らず家族に紹介することもできた。
結婚を想像することもできた。
未来に希望を持つことができた。

たくさんの「できた」が今までの自分の過去を肯定してくれる気がした。
「カナダ生活が僕の人生を変えた。」

2016年。僕は帰国した。
「LGBTQってもっと身近にいるよ。」
「あなたは1人じゃないよ。」

カナダ生活が教えてくれた大切なこと。
そして僕が自分のセクシャリティを自覚した子どものときに1番教えて欲しかったこと。
僕はこれからもYouTubeを通して伝えていきたいと思っている。

10月11日は世界カミングアウトデー。
自身の性的指向や性自認をカミングアウトしたLGBTQの人々を祝い、人々の認識向上を目的としている日だ。

今年は仙台・東京・浜松・名古屋・大阪・香川・福岡・沖縄をまわり、
116人の仲間たちと一緒に動画を作った。
この動画が少しでもみなさんの勇気や希望、そして一歩になったら嬉しい。

動画はこちら:LGBTQ100人のカミングアウト2019 【 僕たちの未来のために 】

1982年福井県生まれ。高校卒業後、ウエディングプランナーとして働く。その後24歳で転職。仕事の休みを利用しながら色々な国へ。「いつか海外で生活したい」という思いから、30歳でカナダへ語学留学。同性婚が認められているカナダで約3年間生活した。「LGBTQがもっと暮らしやすい日本にしたい」という思いから、帰国後2016年からYouTubeで動画配信を始める。現在アドレスホッパーとして生活中。 Youtubeチャンネル登録者数7.8万人(2019.9月現在)
グラデセダイ

Pick Up

ピックアップ
不妊治療を始める前に知っておきたい「特別養子縁組制度」 産むとは、育てるとは
産婦人科医・高尾美穂さん×アクロスジャパン・小川多鶴さん
不妊治療を始める前に知っておきたい「特別養子縁組制度」 産むとは、育てる
家族のかたち 妊活 子育て
【パントビスコ】私35歳、8歳年下との結婚ってどう思いますか?
テリやきテリ世の甘辛LINE相談室
【パントビスコ】私35歳、8歳年下との結婚ってどう思いますか?
ヒント 恋愛