私もピンクが着たかった。長女はしっかりしなきゃいけないの?

姉って辛くないですか?「お姉ちゃんだから頑張らないと…!」と、勝手に責任感を背負うわりには不器用です。一方、要領の良い下の子は、甘え上手の世渡り上手。姉が苦労して手にしたものを、下の子は難なく普通に持っていたり。あれ?なんだか姉って損してる? そんな思いのたけを、2つ年下の妹を持つ広告代理店勤務、彩花さん(32歳)に語っていただきました。

甘え上手の妹の影で

「賢い姉」と「可愛い妹」。私たち姉妹の立ち位置は、子どもの頃から決まっていました。
たとえばピンクと黄色の洋服が置いてあれば、ピンクを着るのはいつも妹。本当は、私もピンクの服を着たかったけれど、子どもながらに言えなかった。
妹とはとても仲が良いのですが、ときには姉って理不尽じゃない?と思うことがあるんです。

たとえば、姉妹でスペインのグラナダに旅行したときのこと。
世界遺産でもあるアルハンブラ宮殿は、前々から行きたかった場所でした。念願叶って行けることになり、憧れの場所で写真もたくさん撮りたい!せっかくなのでお気に入りのワンピースを着てみようかと期待に胸を膨らませていたんです。

――それなのに。いざグラナダに着くと、妹に任せていたはずのバスの乗り換えに不備が発覚!ほかにも些細なトラブルが相次いで、楽しいはずの旅行がすっかり不穏な空気になってしまいました。普段は、妹に対して大らかなつもりですが、それでも年に数回は妹のマイペースっぷりに我慢が抑えられないことがあるんです。今回、よりによってこの旅行中にイライラが爆発してしまって…!

私の激高にすっかりしょげる妹。
ただ、自分で怒っておいてなんですが、妹の悲しそうな顔を見ていたら今度は慰めないといけない…という気持ちになってきて。

結局妹のご機嫌をとるために、私がアルハンブラ宮殿で着ようと思っていた秘蔵のワンピースを妹に譲ることにしたんです。この時のために楽しみに用意していたワンピース。しかも、この1着に思いを込めていたので、他に持ち合わせた服が探検家のような服しか持っておらず……。

結局、予定通り宮殿内のいたるところで写真を撮ったものの、ワンピースで綺麗に仕上がっている妹と、隣で冒険家のような装いの私という、予想外の写真がたくさん撮れました(笑)

姉は全てにおいて開拓者

また、姉がシンドイと思うのは、受験でも就職でも何でも先に経験せざるをえないこと。

私も親も初めてのことで戸惑うばかり。結果的に私は大学を浪人し、一方妹に関しては、姉というモデルケースがいたことや、私が失敗した分、妹にはかなり詳細なアドバイスを伝えました。
「お姉ちゃんのいうことを聞いていれば大丈夫」。
妹はいつもそう信じてくれて、彼女の希望通りの進路に進めています。親自身も下の子になると過剰に期待をすることもなく、正直私のときと家のムードが違ったなぁ(笑)。

妹は親友でもある

姉か妹か、どちらが良いか。結論ははっきり出ないけれど、妹は絶対的に私に信頼をよせていて、何か困ったことがあればすぐに相談してくるんです。まるでシェルターのよう。自分で言うのもなんですが、そういう存在の人がいるってすごく心強いんじゃないでしょうか。

一方私の場合、話の内容ごとに話す相手を変えているので、1人の人に全てを話すことはあまりありません。どんな話でも全力で頼れる相手がいる妹はやっぱり羨ましいなとも思います。

とはいえ、妹がいてくれることは大きいです。小さいときは、いつも後ろをついてきて鬱陶しいと感じたこともありましたが、やっぱり可愛いし、素直に慕ってくれるのはうれしいものです。妹がいるおかげで、自分が知らない世界を見られたり、今では 親友のような存在かな。いろいろあっても毎日同じご飯を食べてきたことは大きいのでしょうか。

最近はお互いに家族のことをケアしあったり、今まで後ろについてきた妹が、横に並んで一緒に歩けている感じがして頼もしいですね。

取材協力:中目黒ビストロ グルドボワ

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東京生まれ。千葉育ち。理学療法士として医療現場で10数年以上働いたのち、フリーライターとして活動。WEBメディアを中心に、医療、ライフスタイル、恋愛婚活、エンタメ記事を執筆。
熊本県出身。カメラマン土井武のアシスタントを経て2008年フリーランスに。 カタログ、雑誌、webなど様々な媒体で活動中。二児の母でお酒が大好き。