Ruru Ruriko ピンク 42

フェミニズムは誰かを下に見るものではない

ちょっとモヤモヤした気持ちになったとき、読んでみてください。いい意味で、心がザワザワするフォト&エッセイ。今回は主婦と家事について。子どもの頃から、主婦にはなりたくないと思っていたというRuruRurikoさん。大人になった今、思うこととは?2019年最後のエッセイです。

●Ruru Ruriko ピンク 42

師走らしく忙しい毎日でしたが、やっと落ち着き、今日は朝から仕事に出かけたパートナーを見送ってから、掃除に洗濯、夜ご飯は何を作ろうか考えたりして、主婦のような1日を過ごしました。

小学生の頃に夏休みにやっていたドラマで、小学生(中学生かも)の娘が母親に向かって「私はお母さんみたいにつまらない主婦になんてなりたくない」というようなことを言うシーンをおぼろげな記憶ですが覚えています。当時の私もそのドラマの中の少女と同じことを母(専業主婦)に対して感じていて、同じようなことを母に向かって言いました。

子どもの頃はずっと、私は将来絶対に結婚しないし子どももいらない、バリバリ働くキャリアウーマンになるんだと信じていました。昔から結婚や子どもを持つことに対して、憧れどころかいいイメージがなかったし、専業主婦なんてもってのほか、自分は絶対そうならないと思っていたのです。

子どもの私がなぜそこまで結婚や主婦に対して嫌悪感があったのかはいろいろと理由がありますが、主婦という仕事をつまらないものとして、下に見ていたのだと思います。
しかし、小学生の時の「将来の夢」という作文で、あまり話したことのない1人の女の子が、「将来の夢は主婦」と作文で発表して驚きました。彼女は「なんで主婦やお母さんがつまらないと言われるのかわからない、立派な仕事だ」と書いていました。

本当に、主婦は立派な仕事だと今ならわかります。実際にベビーシッターやお手伝いさんなどは賃金が支払われる仕事です。

フェミニストというと、男性が外で働いて女性は家のことをするという、いわゆる女性が内にいることについて反対しているイメージを持つ人も多いかと思います。しかしフェミニズムは外で働きたい人が性別関係なく働けること、誰もが好きなように仕事や生活を選べることを目指していて、そうでない人を下に見る考え方ではありません。

私は大学から実家を出たのですが、そこで驚いたことのひとつに、私は家事が好きだということでした。私の母も家事は好きだし楽しい、つまらないとは感じないと話していて、幼かった私はやったこともないのに、勝手に主婦業をつまらない、やらされていると決めつけていたと思います。

アメリカの古典小説である『若草物語』が2019年版として再び映画化され、もうすぐ公開されます(日本では2020年3月公開)。4姉妹の次女で、主役のジョーは結婚や恋愛に興味がなく、自分の力で生きていきたいと願う女の子。予告編でもプロポーズを頑なに拒む彼女の姿や「女性には美しさだけじゃなく、野望や才能もある。女性にとって愛(結婚)が全てのように言われるのは本当に嫌になる」と訴える彼女を見ることができます。

ジョーの姉である、エマワトソン演じるメグは愛する人との結婚を決めます。メグの結婚を止めるジョーに対してメグは「私の夢があなたと違うからといって、それが大切じゃない訳ではない」と返します。ジョーにとって、恋愛や結婚は強制される嫌なものだけれど、メグとっては大切なものなんですね。

監督のグレタ・ガーウィグは、女優として『20センチュリー・ウーマン』や『フランシス・ハ』など、現代の女性たちについて描かれた映画に出ていますが、今回監督をした『若草物語』についても1868年の原本のままではなく、より現代の女性たちに通じるように解釈されていて、とても楽しみです。
私は未だに結婚願望はありませんし、若草物語だったら絶対にジョーだなと思いましたが、家事も好きだし、パートナーのためにご飯を用意することも好きです。しかし、実際主婦になったことはありませんから、なったらどう感じるかはわかりません。でも、子どもの頃に主婦に、そして母に対して勝手なイメージをつけ、批判していたことを今は本当に反省しています。

フェミニズムは性別関係なく、全ての人が自分で自分のことを選択し、生きる権利を目指すもの。私自身、まだまだジェンダーに囚われている部分や知らないことに対しての偏見があると思うので、来年ももっと勉強していきたいです。
それでは、みなさまよいお年を。

18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。