フェミニズムは誰のもの?~「情熱大陸」上野千鶴子さん出演によせて
●Ruru Ruriko「ピンク」30
フェミニズムは高学歴の女性のためのもの?
普段ほとんどTVを観ない私ですが、先日『情熱大陸』を久しぶりに観ました。
ゲストは今年、東京大学入学式の祝辞でも話題になった社会学者の上野千鹤子さん。
上野さんといえば日本を代表するフェミニスト、祝辞でも性差別について話されていました。
私はとっても楽しみにしていた『情熱大陸』でしたが、Twitterで「とても響いたが日本で生きる自分は知らない方がいい、フェミニズムは高学歴な女性だけのものと感じてしまう」という趣旨のツイートを見かけ、「あ〜う〜ん」となってしまいました。
確かに、一旦フェミニズムを知り、今まで我慢していたり気づかないふりをしていたことに気づいてしまうと、世の中気になることだらけになります。この間も男友達と話していたら、何かと「まあ女の子はそうだよね。」と言われて、「いや別に性別関係ないけど」と何度も思ってしまったし、「痩せてなきゃこの服は着れない」という女友達にも疑問を抱くように。
言葉に敏感になり、社会に対しての怒りの気持ちが強くなりました。
一方でフェミニズムは「あなたは悪くない」と味方になってくれるものでもあると思います。「そんな格好していたから痴漢されたんだ」「女は家事ができなきゃいけない」「パンプスは強制」「生理痛なんてわがまま」「脱毛しろ」「結婚して子供を産むべき」こうした雑音に対し、フェミニズムは「違う、あなたは悪くない、自分の好きなようにしていいんだ」と言ってくれるのです。
確かに、フェミニズムは歴史上、白人の中流階級の女性が中心になって強まっていった運動であり、有色人種や貧困の女性たちはなかなか含まれてきませんでした。
しかし、現代のフェミニズムは変わってきていると感じます。ディズニー映画は従来の、“王子様が女の子を助ける話”から、現在公開中の映画『アラジン』はハリウッドではなかなかメインキャストにならないアラブ系俳優を起用するように。また、かつてのアニメ版にはない、お姫様ジャスミンによる力強いメッセージを込めた新しい曲も加えられています。
他にも、今までなかなか欧米圏では活躍するのが難しかったアジア系女性シンガーが脚光を浴びる姿も目立ちます。イギリス育ちの日本人シンガーRina Sawayamaもその中のひとりです。
完璧な強い人だけがフェミニズムを名乗っていいなんてことはない
日本でも、上野さんの祝辞や『情熱大陸』が話題になったり、女性のパンプス強制反対運動#Ku tooが盛り上がったり、フェミニズムを公言する若者が出てきたりと以前よりも少しずつですが着実に一般女性たちにも広がっているのではないでしょうか。
人によってはフェミニズムについて発言したりするのは難しい、怖いと感じている人もいるかもしれません。こうして記事を書いている私自身、常に『アラジン』のジャスミンのように「私は黙らない!」とはっきりと言い返したり、行動ができているわけではありません。家に帰ってから「はっきり言ってやればよかった!」と自分にとても腹が立つこともあります。夜道のしつこいナンパはなんだかんだ怖くてヘラヘラ笑って流してしまうし、仕事中の職場の上司にはっきりいうのは難しかったりします。
それでも、他の人が困っていたら助けたり、共感の意志を示したり、フェミニズム映画や本を読んでみたり、それを周りの人にも勧めてみたり。そうした小さなことが大きな変化にも繋がっていくのではないでしょうか。実生活で発言するのは難しいという人は読んだ本をSNS上でアップしてみたりするのもいいかもしれません。私はSNSでフェミニズムについて書き始めてから今までそう言った話をしたことがなかった中学や高校時代の友達から連絡をもらったこともあります。
フェミニストになるのに完璧な力強い人にならなくてはいけないわけではありません。少しずつ自分の出来る範囲でも良いのではないでしょうか?最後に完璧でないフェミニスト像を綴ったエッセイ集『バットフェミニスト』の著者であるロクサーヌ・ゲイのスピーチをみなさんとシェアしたいと思います。