Ruru Ruriko「ピンク」41

お酒の場とフェミニズム

ちょっとモヤモヤした気持ちになったとき、読んでみてください。いい意味で、心がザワザワするフォト&エッセイ。今回はお酒を飲む夜の場所でRurikoさんが経験したことから、お酒とフェミニズムについて考えました。

●Ruru Ruriko「ピンク」41

お酒の場、バーやナイトクラブ、何だかちょっとイケないような夜の場所。
昔からお酒は男の飲み物のようにされているし、未だに女の子はお酒に弱い、可愛く飲む。なんて雰囲気があったりしますよね。

私はお酒が好きで、結構強い方だと思います。テキーラショットは問題なく飲めるし、母も、ビールなんて水と一緒、というほど強いので、遺伝でしょうか。飲み物や食べ物に可愛いも可愛くないもないと思いますが、ネットでは「モテるお酒」「女子が飲んでいて好印象なお酒」なんて記事があって、味の好みまで異性を意識しなければいけないなんて、とため息が出ます。

お酒好きだけでなく、バーやナイトクラブなどの夜遊びも「遊んでいる」「チャラい」と関連づけられがち。確かにお酒の場はよく出会いの場となりますし、そこから恋愛関係につながることもあるでしょう。しかしその一方で、セクハラなどの性被害が多発する場でもあり、それがなぜがお酒の場だと許されてしまうこともあります。

先日、友人数名と行きつけのバーに行った時、ある男性から話しかけられました。
第一声からなれなれしく、良い感じがしなかったので、適当に返事をしていたら「若く見えるね」と頭をポンポンとされました。頭ポンポンといえば、中学生の時に読んでいた少女漫画に出てきた、好きな人からされてキュンとなるような仕草のはず。しかしその瞬間に私が感じたものは、キュンではなく寒気と嫌悪。お酒が入っていたせいもあり、いつもなら言うのに勇気があるような言葉、「は?触んなよ」と心底嫌そうな顔で発している自分がいました。

頭なので性的に身体を触られたわけではありませんが、勝手に身体を触られた時点ですごく嫌でしたし、頭ポンポンってバカにしてんの?と思ってしまいました。相手は驚いて固まっていましたが、今後、彼が勝手に人の身体に触れるのは失礼だとわかってくれたらいいなと思います。

更にこの日はまた別の男性にからまれ、やたらと手を握ってきたり、耳元で話しかけてきたりされ、気持ち悪かったです。最終的には「彼氏がいる」と断りましたが、なぜ女性が男性を断る時に「私には他の男性がいるから」と断らなければいけないのか、本当にいつも疑問です。
性別に関わらずだれもが、特定の相手がいなくても、その人のことが好きではなければ「あなたに興味はありません」と断っていいはずですし、それを言われたら受け入れるべきなのに、それができない人がたくさんいるなと感じます。
女性は男性の所有物ではありませんから、「彼氏がいる=他の男の所有物」にならないと自分への拒否を受け入れないなんて、とても女性を下に見た考え方ではないでしょうか?

性暴力があった時に、お酒を飲んでいたり、その場所がナイトクラブなどであると、被害者にも非があったとされることが多いのです。イギリスで作られたこの動画は、強盗にあった男性がナイフを首に突きつけられたと主張する一方で、お酒を飲んでいたことや叫んで抵抗しなかったのは同意したと思われても仕方ないと言われるなど、性暴力が起こった際に被害者が警察や周りから受ける二次被害を皮肉ったものです。

それ以外にも、お酒の場での痴漢やセクハラ行為は「仕方ない」「それくらいのことわかって来てるだろう」とされてしまうことが多いですが、私はそれは間違っていると思いますし、そのような言葉は、被害者を更に傷つける『セカンドレイプ』です。

最近では、バーなどの女子トイレには「もし助けが欲しい時は、この合言葉をバーテンダーに伝えてね」と言う張り紙があったり、性暴力を防ぐ対策をしているお店も増えてきて、心強いなと思います。
私自身、お店やトイレで具合が悪そうだったり、すごく酔っていたりする女性がいたら「大丈夫?お水いる?」と声をかけるようにしています。性犯罪は一人ぼっちの女性が狙われることが多いので、知り合いでなくても、誰かが声をかけるだけで防止につながると思います。

女性も気軽に安心してお酒や音楽が楽しめるように、小さなことでも「仕方ない」ではなく「間違ってる」ときちんと言える世の中の雰囲気を作っていきたいです。

18歳の時にイギリスへ留学、4年半過ごす。大学時代にファッション、ファインアート、写真を学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった、女の子として生きることなどの疑問についてSNSで書くようになる。