知念美加子の「MY LIFE, MY CLOSET」05

実は難しい、冬のアウター選び。定番を脱してみたら……

女性誌「ViVi」などで活躍中のスタイリスト知念美加子さんにとって、ファッションは「自分自身を高めてくれる日常」。その日、見た・感じた・聞いたことから感じたインスピレーションをファッションに反映するそうです。知念さんのファッションのルーツを知るべく、頭の中をのぞいてみました。

●MY LIFE, MY CLOSET 05ファッション×冬のアウター

防寒のための重ね着が苦手

長かった秋から緩やかに冬がやってきて、年が明けた途端、急に寒い日が続くようになりましたね。1月の平均気温が20度前後の沖縄と東京を行き来する私には、なかなか厳しい季節がやってきました。

沖縄出身の私は「防寒のためのファッション」への馴染みが全くなかったんです。沖縄では寒さ対策のためにアウターを着るという文化はなく、ダウンジャケットもトレンチコートも、みんな半ば無理をして着ていたような記憶があります。

手袋やブーツもその「意味」が肌感覚では理解ができなかった、あくまでオシャレのためのアイテムとして着用していました。東京で初めて冬を迎えた時に「あ、手袋って、寒さから身を守るために必要だからみんな着けてるんだ!」って衝撃を受けたんです(笑)。

重ね着をする習慣も昔からなかったせいか、防寒のためにあれこれ着込むのも実は苦手。トップスに、ぽんっとアウターを羽織るような、着ぶくれしないLAスタイルが個人的には好きだったりします。

憧れて、毎年買い直していたアウターたち

コートへの憧れは昔からありました。なので、東京に出てきてすぐの頃は、毎年、秋冬のアウターのラインナップをチェックして、色々な形のものを買い込んでは、コーディネートを楽しんでいました。

けど、その時に流行っているコートの形によって中に着るものが左右されてしまうことが少しずつ窮屈に。この袖の服は、あのコートには入らないんじゃない?とか。そんな風に、コートだけがコーディネートの主役になっていくのを退屈に感じるようになっていきました。

流行りのアウターを毎年買い足していっても、だんだんと、着るものと着ないものが分かれていってしまったんです。

コーディネートを邪魔しないアウターの選び方は?

読者の方からも、「どんなコートを買えば失敗しないでしょうか?」と、質問を受けることがあります。

たとえば誰もが1着は持っている、膝丈ほどの、いわゆるミドル丈と言われるコート。平均的でコンサバなため、店頭ではよく見かけます。でも、一見スタンダードなように見えて、実は合わせにくい。

ミドル丈のコートは、その丈に合ったトップスやアウターしか着られないという欠点もあるんです。

オススメしているのが、あえて短めのコートを選ぶか、逆に極端に長いロングコートに挑戦するか。

例えば今日の私のコーディネート。ハイウエストのボトムスに、ボリュームのあるショート丈のトップスを着ています。これに羽織るアウターがミドル丈だと、ハイウエストの形の面白さを見せることができない。なので、短めのアウターを合わせてみました。

逆に、ガバッと全身が隠れるロングコートも、室内で脱いでしまえばコーディネートのバランスを邪魔しないので良いかもしれません。

もしこれから始まるセールなどで新たにアウターを買い足そうと悩んでいる方がいたら、ショート丈かロング丈にチャレンジしてみてはどうでしょうか。

トレンドに流されない海外で買ってみる

そろそろ自分に合った、長く着られるコートを見つけたい。そんな人は海外に、行ったときなどに探してみるのもオススメです。

日本で買い物をしていると、トレンドの雰囲気に飲まれてしまったり、流行にがんじがらめになってしまったりします。誰かが決めた「今年はこれ!」を、みんなで着る空気に流されてしまう。

そういう概念が取っ払われるのが、海外の良さ。その時に本当にほしいと思ったもの、自分の好きな形や素材と向き合ってみてはどうでしょう。何年も大切に着ることのできる、とっておきの1着に出会えるかもしれません。

続きの記事<女性の世界へ「性別を越えて」きてくれた男性たちの目線に助けられながら>はこちら

1987年、那覇市生まれ。スタイリストのアシスタントを2年経験し、2011年に独立。雑誌「ViVi」を中心に活動する人気スタイリスト。
大学卒業後、芸能事務所のマネージャーとして俳優・アイドル・漫画家や作家などのマネージメントを行う。その後、未経験からフリーライターの道へ。

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