トレンディえみり「うつ病と婚約破棄がTwitterに活かされています」

Twitterでフォロワー数4万7千人のインフルエンサー、トレンディえみりさんの魅力は観察力。切れ味鋭い投稿で読者の気持ちを代弁する能力の背景には、10代で経験したうつ病と、2度にわたる婚約破棄が影響しているといいます。もうすぐ30代。’実物’はモデルのように美しいえみりさんに、お話を聞いてきました。

バスケット部でのいじめ、実家の破産でうつ病に

――えみりさんのTwitterは、恋愛や仕事など日常で感じた矛盾や気づきを辛口で指摘するスタイルで、思わず「あるある」と、共感してしまうものばかりです。何より観察力の鋭さが魅力だと思いますが、昔から人間観察が得意だったのでしょうか?

子どものころから、人の顔色を気にする性格ではありました。さらに高校生のときにうつ病を患ったことや、2度にわたる婚約破棄を経験したことが影響していると思います。

――高校時代はバスケット部に所属なさっていたのですよね。インターハイに出場するような強豪校だったとのことですが。

はい。スポーツ推薦で入学しました。3年生でも1度も試合に出られない人がいる中、1年生からレギュラーとして活躍していた私は、周りから見ても面白くなかったのでしょう。先輩や同級生からも嫉妬やいじめを受けて、うつ病になってしまいました。

それでもバスケットをしている瞬間だけは楽しいし、試合中も「お前ら、私に頼らなきゃ勝てないだろう!」と考えて、自分を奮い立たせていましたが、卒業と同時に燃え尽き症候群のような状態になってしまったんです。

――家庭環境はどうだったんですか?

高校卒業後に父親の借金が発覚して、自己破産になるトラブルに見舞われたんです。姉は結婚して幼い子どもがいるし、母のパートだけでは収入が足りず、肝心の父親は引きこもってしまう。急遽、私が一家の稼ぎ頭になり、仕事を三つかけ持ちすることになりました。

家族は常にピリピリした空気に包まれ、母親は私の顔を見れば「お金貸して」と言ってくる。元々のうつ病がストレスが重なって悪化してしまい、外にも出られなくなって、1年くらい引きこもっていました。

体重が激減して全身脱毛症にもなり、500円玉ハゲというレベルではなくて、毛という毛の全ては無くなって……。

――10代の女性にとって、こたえる体験ですね……。そこから、どうやって復活なさったのですか?

テレビで同じ年齢くらいの芸能人が華々しく活躍している姿を見ていたら、自分は人生で一番若くていい時に何をやっているんだろう、と思ったんです。あと、単純に引きこもりに飽きたっていうのもありましたね。

姉が当時流行りだしたお洒落なウィッグを買ってきてくれたことがきっかけで、髪の毛が抜けた状態を隠すことができるようになり、少しずつ外に出ることが出来ました。

自分を変える覚悟をしたら、性格が真反対になった

――病気を経験したことは、えみりさんにどんな変化をもたらしましたか?

性格が真逆かと思うくらい明るくなりましたね。思考が変わって、すごく楽になったんです!以前は自分目線で物を考えがちで、何かとネガティブでした。しかし、少し引いて〇〇さんだったらどう思うんだろうって、他人目線で考えるようにしたら、生きやすくなったんです。

また、自分が思っているより人は他人に興味がないし、そこまで人の顔色を見なくてもいいのだなと思いました。人の目を気にするのではなく、自分が人を観察しながら前に進もうと思ったことが大きかったのかもしれません。

2度の婚約破棄の経験もプラスに変えた

――完全に吹っ切れたんですね。その後、無事に社会復帰なさったとのことですが、普段はどんなお仕事をしているんですか。

介護施設で6年間勤務した後、去年から小料理屋でママをやっています。カウンターのみの店で従業員は私のみ。今は雇われママですが、将来は自分のお店を持ちたいと思っていて、料理も毎日作っているんですよ。Twitterは今はただの趣味ですが、今後何かのご縁があれば、趣味の範囲を超えた活動もできたら面白そうだなと思っています。

――ところで、えみりさんは男女関係でも婚約破棄を2度経験するという、中々ドラマティックと言っていいのでしょうか、女を磨く試練に出くわしたそうですね。

はい。1回目は彼の浮気で、相手の女性が妊娠して別れました。2回目は、私と彼と、彼の両親の4人で食事中に、彼の両親が私の両親に対して暴言を吐いたんです。かなりの衝撃を受けてたじろいでいる私を横に、彼は一切守ってくれなかった。

結婚後は、彼の実家の自営業を私も一緒に手伝うことになっていましたが、相手の両親とも折り合いが悪いし、彼もそんな態度なら無理だと思いましたね。その時はもう同棲して式場を探す段階にまできていましたが、迷うことなく速攻で婚約破棄しましたよ。

――婚約破棄がきっかけで、社会や男性を見る目が変わりましたか?

婚約破棄を経験できたことで観察力も広がって、Twitterでの人間観察にも活かされていると思います。男性を見る目も変わりましたよ。好きな人が出来たら、まず相手を冷静に見ようと決意しました。相手のいいところを箇条書きに出して、彼と付き合ったら自分にどんなプラスがあるか考えるようにしたんです。

――箇条書き! 世の中には相手の肩書や年収を重視する人もいます。「観察のプロ」として、恋愛ではどんな視点で相手を選んでいるのですか。

身の丈に合った恋愛をするのが一番だと思いますね。肩書とか年収とか、外的要素ばかりに目がいく人に彼氏のどこが好きか尋ねると、意外と答えられない。旅行を提案してくれた、何か買ってくれたとか、表面的なことしか見ていない。彼も彼で、誰々とつながっているという人脈自慢ばかりだったりして。どっちもどっち、似た者同士が付き合っている場合が多いと思いますよ。

それよりも、自分は相手とどんなふうに過ごしたいか、イメージを明確にする方が大事かなと思います。結婚相手は、穏やかで優しい人がいい。問題が発生したときにきちんと解決に向けて話し合いが出来る人が理想ですね。

●取材後記
うつ病も婚約破棄も、暗い過去として封印してしまう人もいるかもしれません。しかし彼女の強さはそれさえもプラスに変換してパワーアップし続けていること。インタビューではとても気さくに答えてくれたえみりさん。将来の夢だという小さな居酒屋を開いたら、Twitterで磨かれた観察力はそこでも活かされそうですね。

  • ●トレンディえみりさんプロフィール
  • 2016年からTwitterを始め、今やフォロワー4.7万人のインフルエンサー。10代の頃に患ったうつ病や、2度にわたる婚活破棄を乗り越える。研ぎ澄まされた観察力をいかした発言が魅力。
東京生まれ。千葉育ち。理学療法士として医療現場で10数年以上働いたのち、フリーライターとして活動。WEBメディアを中心に、医療、ライフスタイル、恋愛婚活、エンタメ記事を執筆。
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