Sitaさん「違う形での結婚はできるかもしれない。絶望なんてしない」
●行こうぜ!性別の向こうへ
「女っぽい」ってどういうことだろう?
小さい時から、今と変わらないです。しゃべり方も物腰柔らかな感じで、声も高いし。中学1年生くらいの時に、いじめにあいました。「笑い方が女っぽい」「もっと男っぽく振る舞え」って。
気質的にできなかったんですよ。こっぱずかしくって。男性が「女性っぽくしなよ」って言われているのと同じ感じじゃないですかね。すごく違和感があったんです。
その時は、どうしていいかわからなくて、自分を封じ込めることしかできなかった。「この笑い方は女っぽいのかな?」「どういう振る舞いが男の子っぽいんだろう?」「私のしぐさが誰かにとって不快になるのかな?」と思うと、動けなくなった。人と話をするのも怖くなってしまった。当時のことは、ほとんど覚えていないんです。ただ、学校に行きたくなかった。それだけです、覚えているのは。
オカマか、自分を殺して生きるかの2択だと思っていた
その頃は「オカマブーム」で、その手の番組が多く放送されていました。当時は全然情報がなかったので、2択だと思っていました。この人たちのように、メイクをして、性転換をして女性になるのか、今みたいに抑圧されて男らしく生きていくか。自分の将来像が見えず、つらかったです。
変わったのは、中学3年生の時。エリカとの出会いでした。エリカはクラスの中心人物で、ムードメーカー。そんな彼女が私のキャラクターが面白い、私と友達になりたいと言ってくれて一緒に遊ぶようになりました。「そのままで大丈夫だよ」と書かれた手紙をくれたこともありました。とにかくずっと一緒にいたので、まわりからは「女たらし」って言われていましたね。全く下心がないので「何を言ってるんだろうな?」と気にもしませんでしたけど。
エリカは私が初めてカミングアウトした相手になります。「男性が好きなんだ」って。エリカは「だよね、知ってたし」と受けとめてくれました。そこから自分を出せるようになりました。今もそうですが、「箸を転げただけで笑う」と言われるような、笑顔の絶えない子になりました。
SNSでカミングアウト「男の人が好き」
10年前に全員公開のSNS「mixi」で「男の人が好き」とカミングアウトしました。SNSを使ったのは、直接言って親に泣かれるのを見たくなかったから。姉は絶対見てるだろうな、母親に伝えてくれるだろうなという思惑はありました。案の定、母親にも伝わって、泣いていたと聞きました。
詳しくは聞いていないんですけど、「普通の家族」を作れないということを心配してくれたんだと思います。だけど、私は希望は捨てていないんです。
恋愛感情として魅力的だなと思うのは男性だけど、尊敬できる女性となら一緒に暮らすこともできる。だから一般的な結婚とは違う形での「結婚」はできるかもしれない。戸籍上の夫婦だけど、恋愛的な感情は別の相手と構築しています、というような。どういう未来があるかわからない以上、絶望なんかしません。
今お付き合いしている人はいません。私は遊ぶのに向いていないんです。中途半端にお付き合いするのは時間の無駄。素敵な人と出会うチャンスを妨げているかもしれないし、病気をもらって、将来出会う人に嫌な思いをさせてしまうかもしれない。その場の一瞬の快楽になんて価値はないし、すり減るだけのように感じてしまうんです。
「常識」や「普通」に何の意味があるんだろう
生きづらいでしょ?と聞かれますが、少なくとも今は全然そんなことないです。カミングアウトが終わって、しばらくしてから両親が私のショーを見に来てくれたことがあったんです。両親に「ありのままの私」を受け入れてもらえたのがわかって、それから「生きづらい」なんて感じなくなりましたね。大事な人にわかってもらえていれば、それで十分です。
嫌な人の言葉で、心を動かされたくないですし。影響も受けたくないです。もし親しい友人と意見が違ったとしても「まあ、そういう考え方もあるよね」っていうだけです。私の意見も強要したくない。
話したこともない「誰か」が決めた「常識」や「普通」に何の意味があるんだろう。100人に「間違ってる」と言われても、失敗しないと本当に間違いかどうか、納得できないんですよ。たとえ本当にそれで失敗したとしても、その時、その人がやったから失敗しただけで、今、私がやったら違う結果がでるかもしれない。だから、私は他人の意見に左右されません。
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- ●Sitaさんプロフィール
1982年横浜出身。ダイエット目的でヨガや柔軟を始め、2013年にポールダンスを始める。2015年ポールシアターファイナリストを皮切りに、たくさんの大会に出場。2017年ポールキングアマチュア2位。2018年は同大会にプロフェッショナルで出場し5位。
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