編集部コラム

ポールダンスを進化させるのは誰か

telling,編集部の日替わり日記。火曜担当の伊藤あかりです。先日、ポールダンスの大会を見に行った時のお話をさせてください。

先日、東京で開かれたポールダンスの全国大会(ミスポール)を見に行ってきました。私は4年前から、趣味でポールダンスを習っていて、ポールダンスの大会やイベントを(素人にしては)たくさん見てきました。

私のセクシーショット(?)を含むポールダンスの記事はこちら

今回見たのは82人の演技。11時半から18時過ぎまでの長丁場。さすがに疲れそうなので途中退席する予定でしたが、思わず全部見入ってしまいました。

特に驚いたのはアマチュアの演技。衣装も、音楽の選び方も「そうきたか!」の連続でした。それぞれバックグラウンドが違うので、「お、この人は新体操出身かなあ」「ヒップホップっぽい振りが入っていたぞ!」と全く飽きずに楽しむことができました。

大会のパンフレット。表紙はゲストダンサーのナターシャ・ワンさん

日本のポールダンス・スポーツのレベルは高く、世界チャンピオンを何人も輩出してきています。私も世界クラスの演技を見ることは何度もあったので、ある意味「目は肥えている」のですが、だからこそ「スピンかけすぎでは!」「足のかけ方甘くないか?大丈夫?」とハラハラドキドキしながら見られるわけです。

対して、プロは、もう圧巻です。安定感、としか言いようがない。そして、プロになると、もう、柔軟・パワーの最高峰の技を「これでもか!これでもか!」とぶっ込んでくるわけです。それは、もう、私ごときが一生かけてもできないような技の数々。一方で、プロ同士の戦いになるので、その「最高峰」の技がかぶるんですよね。技のつなぎ方も、そんなにバリエーションがないので、「あ、次はレインボーでるな」とわかるわけです。

軟体技「レインボー」。足と腰の柔らかさが尋常じゃない=2016年4月撮影

観客としては、なんというか、高速道路を運転しているような安定感。目をつむっても走れまっせ、的な感じになってしまうんですよね。

言うまでもなく、両方素晴らしいです。優劣なんてつけられるわけがありません。ただ、最後に審査員の方が「アマチュアが本当に素晴らしかった!」と言ったとき、私も激しく同意したのです。

プロが、縦方向にレベルをあげているとしたら、アマチュアは横方向に裾野を広げている。その横方向のバリエーションにこそ、ポールダンスの未来を感じたのです。想像もつかないような技が生まれたり、スターが誕生しちゃうのかも!

全8部門の優勝者がずらり。衣装も様々

プロとアマの境界線は曖昧になっていく

ひるがえって、私が働く”文章を書く世界”についても考えてみました。
いま、誰でも簡単に発信できる時代です。

その中で、職業として記事を書く記者やライターは「裏付けのある情報を、誤字脱字なく、順序立てて書く」のは得意。一方、一般の方やブロガーさんの文章は、時にいわゆる”正しい日本語”でないこともあるし、個人の主観が綴られている。だけど、とにかく胸を打つ。筆者のパッションに突き動かされるように読み切ってしまう。

「どちらがいい」「どちらが正しい」ということを言いたいのではありません。どちらにも良さはある。ただ、どういうものを良しとするか、の価値観は人それぞれです。

だんだん、どの世界もプロとアマの境界線は曖昧になっていって、お互いが切磋琢磨して新たなものを作り出していく時代になっているような気がするのです。正解はないし、上も下もない。お互いに良いとこどりをしながら、極め、裾野を広げていけたらいいなと思います。

telling,の妹媒体?「かがみよかがみ」編集長。telling,に立ち上げからかかわる初期メン。2009年朝日新聞入社。「全ての人を満足させようと思ったら、一人も熱狂させられない」という感じで生きていこうと思っています。
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