“公認不倫”描くマンガ『1122(いいふうふ)』から、結婚について考える
●婚外恋愛を考える
ずっと一人の人と「恋愛」していくのは無理?
「一生、この人しかいない」「大好きでしかたない」と思って結婚したのに、気づいたらあの時の気持ちは薄れ、穏やかな気持ちで過ごしている。「恋」が「愛」に変わったからいいことだ、と思う半面、「もうあの時のドキドキは一生ないのかな」「一生、この人だけとしかキスやセックスをしないのかな」とふとよぎる……なんてことはありませんか?
この物語の主人公は、相原一子(いちこ)と二也(おとや)。お互いが仕事を持ち、ご飯も一緒に食べる、結婚7年目の仲良し夫婦です。
2人のあいだに子どもはなく、しばらくセックスレス。いちこの性欲は「凪」の状態です。夫婦の仲を円満に保つために、2人が選択したのは「婚外恋愛許可制(公認不倫)」。おとやには美月という“恋人”がいて、次第におとやは美月との恋に夢中になっていきます。
そんなおとやを見て、安定していたいちこの内面にも、もやもやとした変化が訪れます。「夫婦」とは?「幸せ」とは?考えずにはいられない問題作です。
「夫婦」とはなにか、その関係をしっかり描いていきたい
この作品を担当する編集者の上村晶さんに、作品についてお話をうかがいました。「公認不倫」というテーマは、作者の渡辺ペコさんのアイディアだったのでしょうか。
「『夫婦』とは何か、人は何のために『結婚』をするのか、をテーマに新連載を始めることになり、その中で『公認不倫』を選択する夫婦、という設定を渡辺さんからいただいて、すごく面白いと思いました。
『夫婦』という関係を続けていくためには、二人の間に信頼があるのか、ときめきがあるのか、モラハラのような問題を抱えていないか、経済的なこと、親のこと、子どものこと、セックスのこと……本当にいろんな要素があって、それぞれの夫婦で大切にするものも違うでしょうし、お互いすべてに満足できている夫婦というのは少ないのではないかと思います。
そこで、親友のように仲良しで信頼関係を結んでいる『いい夫婦』の二人が、『セックスレス』という問題を抱えてしまったとき、それでも『結婚』を継続したいと考えるならどうするだろう? というひとつのケーススタディとして『公認不倫』を選択する物語になりました。
『公認不倫』というとスキャンダラスに聞こえるかもしれないのですが、この作品では、その奥にある『夫婦』の関係を描きたいと考えています」(上村さん)
読者からの反響も多く、現在単行本(既刊3巻)の売上は紙・電子書籍合わせて累計30万部を突破したそう。発売当初はちょうど世間で「不倫」のゴシップが連日取り沙汰されているというタイムリーさもあり、雑誌・テレビ・webメディアにも多数取り上げられました。
男性は「妻に読ませたくない」女性は「夫に読ませたい」
上村さんいわく、編集部の男性編集者からは、校了のときに「女性の本音がなまなましい」「こわい」「夫婦のすれちがいが切ない」そして「先が気になる」という感想をもらうことが多いそうです。
「既婚の男性から『妻に読ませたくない』と言われることが時々あって(笑)、一方、既婚の女性からは『夫に読ませたい』と言われることもあり、その男女の対比が面白いなと思っています」
また、女性の友人から、似たような境遇の人はほかにもいるんだと安心できた、という声もあったそう。
「主人公のいちこと同じくセックスレスで、自分たちはおかしいのかなと思っていたけれど、『1122』を読んで自分だけじゃないと思って安心できた、初めてこのことを人に話した、と打ち明けられたんです。セックスレスという、人には言いにくい悩みを物語の中で描くことで、切実に悩んでいる人の心に寄り添うことができたら嬉しいなと思いました」
仲がいいからこそのモヤモヤ
この人と別れるつもりはないけど、ちょっとした不満や不安を抱えてしまったら、それをどのように解消したらいい? 「公認不倫」という手段は取らなかったとしても、自分ならどうするだろう……結婚している人、結婚を考えている人なら、誰もが無関係ではいられない「夫婦とは」という問題。2巻、3巻と物語が進むにつれて、いちこも新しい行動を起こすようになります。さらに物語が大きく動く予感の4巻は、11月22日の「いい夫婦の日」に発売。これから先も見逃せません。
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