「ホストにしては」で語りきれないローランドさんの魅力とは
現代ホスト界の帝王・ローランドさんの存在を、とあるテレビ番組で知りました。次から次へと飛び出す名言の数々に、完全に魅了されました。
ちょっとだけ、抜粋。(まだまだあります!)
・下手なテレビを見るより鏡を見ているほうが楽しい
・説明のできる好きは好きじゃない
・いい女の条件って知ってる? 俺がいい女だと思うかどうか
・1時間あったら東アジアの女ぐらい全員幸せにできる
オラオラしてるだけ、って思う人もいるかもしれないですが、どれもこれも主義主張が一貫しているのです。あふれるほどの自信。そして、お客さんへの愛。このくらい自信があれば、相手に分け与えることができるんだな、と思いました。その愛のかたちを言語化できる語彙力の豊富さにも舌を巻きます。
「語彙力は商品の数。商品を仕入れるのは当然の努力でしょ? 例えば『美しい』という言葉一つでも、『きれいだね』『容姿端麗』『きょうは麗しいね』……たくさん言い方がある。どれが、お客さんにとって一番響くかはその時々で違うと思うんです。だから、1日3つは新しい語彙を仕入れるようにしています」(ローランドさん)
そのために、本も読むし(村上春樹さんが好きだそうです!)、映画(タイタニックお気に入りだそうです!)も見る。うまい切り返しや比喩表現を学ぶために、バラエティ番組のチェックも欠かさない。自身を「向上心のあるナルシスト」と評していましたが、その通りだと思いました。
求められるハードルが低すぎる
一方で、意外なほどに謙虚だったのが印象的でした。
「『ホストにしては』しっかりしてる、と言われているだけで、高卒だし、別に賢いわけじゃないと思っています。『語彙力がありすぎるホスト』というのもレッサーパンダが二足歩行した……に近い褒められ方だと思っています。求められるハードルが低すぎる。
こんな低いハードルなら、どうして先人のホストたちは努力してこなかったのかな? とすら思う。俺たちは長々とおしゃべりする時間がない分、短い時間で心を動かせる人になる必要がある。磨くべきスキルだと思っています」
「正統派じゃない」と言われ続け
話は変わって、私事で恐縮ですが、ただいま記者10年目。ずっと「新聞記者っぽくない」と言われてきました。一度も「特ダネ」をとったことがないし、「調査報道」もしたことがない。確かに、いわゆる「正統派」の記者ではない。そのかわり、赤髪にしてポールダンスの大会に出たり、M-1に出場したり、「新聞記者っぽくない」分野で活躍(?)してきました。
自分なりの表現で他の場所で認められても、「この業界でなければ、ただの人だよ」ということばに「私は正当派じゃないからダメなのか……?」とはがゆく感じていました。
愛すべき「私らしさ」
だからこそ「ホストっぽくない語彙力」で、前人未到の地位を確立したローランドさんに惹かれたのかもしれません。いわゆる正統派の“ホスト”からどれだけはみ出すかが、ローランドさんの価値や希少性を高めているように思えたからです。
「お母さんっぽくない」「公務員っぽくない」「主婦にしては」「30歳にしては」―――。「っぽさ」「らしさ」に自分を当てはめて安心したり、そこからはみ出して不安に感じたりする方、結構いらっしゃるのではないでしょうか。
でも、その“型”からはみ出した部分こそ、愛すべき「私らしさ」なのかもしれない。自分を好きになるヒントをもらえたような気がしました。
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