取材に応じた「ホスト界の帝王」ROLANDさん

ローランド流・後輩の育て方「自分なりの信念を貫ける男を育てる」

「世の中には2種類の男しかいない。俺か、俺以外か」「さえない男と飲むシャンパンより俺と飲む雨水」などの名言でテレビでも話題の、現代ホスト界の帝王ローランドさん(26)。取締役を務めるホストクラブ「PLATINA本店」にはローランドさんに憧れて入店する若者も多く、後輩指導にも力を入れています。後編では、”後輩の育て方”を伺います。

後輩にもリスペクトを忘れない

――後輩指導で気をつけていることはありますか?

仕事の仕方を否定しても、人格は否定しないこと。人格っていうのは大人になるまで育ってきた家庭環境でつくられる面も大きいし。いったん受け入れて、人格は否定せずに肯定するようにしています。

僕は体育会系の高校に通っていたんですけど、「くそったれだな」「お前だめだな」とって言われても、指導がすっと入ってこなかった。それもあって、感情的にならず、なぜその接客がダメなのかを説明するようにしています。

――ローランドさんの憧れの「先輩像」はありますか?

マンガ『夜王』の上条聖也ですね。白いスーツをぱりっと着こなして、ポルシェに乗って、いい時計して……みたいな。背中で、生活で語る。夢を見せるホストに憧れていました。

でも、現実に憧れの先輩はいませんでした。みんな自分に精いっぱいで、後輩を育てる余裕までなかったんじゃないですかね。

幸せはシェアした方が続く

――それでも、後輩に優しくできるのはなぜでしょう?

数年前までは「お前らと同じ空気吸いたくないから、俺の周りで息しないで」と言っていたこともありました。でもある時、社会的にとても成功されている、とあるお客さまが「幸せは、シェアした方が続くのよ」って教えてくれたんです。その方は、株で儲けた方なんですが、食事の時にその場に居合わせたボーイさんの胸ポケットに1万円ずつ入れていくのを見たんです。そのお客さまがこれだけ稼げているんだから、その考え方は一理あるのかなって思ったんですよね。

実際本当に、そうなんですよね。みんなが売れると、店の質も売り上げも上がって、自分も幸せになっている。だから、俺はみんなに売れてほしいと本気で思ってるんです。世の中にいい男がいなくなったら、誰が何十万円もするヒールを買ったり、ネイルサロンに行ったりしますか? ちょっと壮大ですが、日本を元気にするために、僕はジェントルマンをたくさん育てていきたいと思っています。

――逆に、後輩指導で失敗したなって思うことはありますか?

ストイックさを強要しすぎたかなと思うことはあります。自分の良さでもあるとは思うのですが、自分と同じものさしで考えても、みんながローランドになれるわけではない。身長150センチの人に「なんでダンクシュートできねーの?」って言っているようなもので、その人なりの良さを見ずに、「努力が足りねーんだよ」っていう指導をしていた時もあったかなと。自分はもはやホストとしては一流ですが、指導者としてはまだ半人前だと思っています。

取材に応じた「ホスト界の帝王」ROLANDさん

俺を超えるホストを育てたい

――ローランドさんの「後輩指導」における強みってなんでしょう?

既に日本一を経験してる、ということですね。日本一になる方法は、日本一になった人にしかわからない。自分の考える日本一は、売り上げや知名度をかけ合わせたもの。俺が意識してきたものを徹底的に教えこみたいですね。それによって生まれる、ローランドを超えるホストを見てみたい。想像できないですけど。

――もし、18歳のローランドさんが面接にきたら、採用しますか?

絶対採用ですよ。俺、これまでにもう3000人以上面接してきたけど、「歌舞伎町で伝説をつくりたい」なんて言ったやついないからね。まあ、生意気すぎるからしばくとは思うけど(笑)。

それでも、自分のやってることが正しいと思うなら、しばかれようが自分のスタイルを貫けばいい。俺が入店した当初、「伝説をつくる」なんて、お店にいた20人全員が「無理だ」って言っていたんですよ。でも、俺はその20人が間違えていると思っていたわけ。で、ふたをあけてみたらこのスタイルがブレイクした。

だから、100人が「これが正解だ」と言っても、その100人全員が、間違えているかもしれないっていう思いはいつも持っています。自分の信念があるなら、他人の助言を丸呑みせずに貫けばいい。最初は誰かの模倣から入ってもいいけど、自分なりの色がないと、その人以上にはなれないと思うんですよ。

  • ●ローランドさん プロフィール
    1992年東京生まれ。大学中退後18歳でホストデビュー。20歳で当時所属していた店舗の代表取締役に。2013年KG-produceに、現役ホストとしては史上最高額の移籍金で移籍。自らは酒を飲まない接客で年間1億7000万円を売り上げる。テレビなどのメディア露出も多く、一般層にも認知された知性派ホストとして人気を集める。

telling,の妹媒体?「かがみよかがみ」編集長。telling,に立ち上げからかかわる初期メン。2009年朝日新聞入社。「全ての人を満足させようと思ったら、一人も熱狂させられない」という感じで生きていこうと思っています。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。