telling Diary ―私たちの心の中。

「専業主婦」って決めつけないで。フリーで働く既婚女子のモヤモヤ

「夫の赴任先に一緒に引っ越したら、みんなが私のことを専業主婦だと思い込んでる」。新婚のJさん(27)は、そんな周りからの目に戸惑っています。自分らしい生き方を選択しているつもりなのに、世の中は私を違う”枠”に入れたがっているーー。そんな違和感を、telling,女子に向けて綴ってくれました。

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結婚を機に、私はフリーランスになった

 「結婚したら、夫の赴任先について行って専業主婦になる」

 すこし前までは、それが主流だったかもしれないが今は、多様な選択肢がある。専業主婦になる人もいれば、新しい仕事に就く人もいるし、別居婚で今までの仕事を続ける人もいる。
 そんな中、私は結婚を機に会社を辞めて夫の赴任先に行き、そこでフリーランスのライター・編集者として仕事をすることを選んだ。
 しかし、私のその選択は、周囲の人が考える「普通の妻」からはかけ離れているようだった。

「夫を支える良き妻」を演じる方がいいの?

 先日、夫の赴任先の地で結婚式を挙げた。式の数週間前、司会者から「新郎新婦の紹介原稿を作成するために、プロフィール資料が欲しい」と言われ、学生時代や仕事についてまとめた資料を送った。

 その資料の「現在の状況」という欄には「フリーランスのライター・編集者として仕事をしている」と書いた。しかし、確認用に送られてきた司会原稿を見てがくぜんとした。フリーランスとして働いていることには触れられず、「陰になり日なたになり、夫を支えている」という旨の紹介文になっていたからだ。

 なぜそんな紹介になったのだろうか。私はそのようなニュアンスのことは全く書いていないし、そもそも「夫を支える良き妻」になるために結婚し夫についていったのではない。冒頭にも述べたように、多数の選択肢の中から、最も自分に合ったものを選んだだけだ。
 ずっと憧れていたフリーライターになるのにいい機会だと思ったこと。朝早く出かけ、帰りも早い夫の生活を考えると、会社勤めをするよりもフリーで働く方が、夫婦で過ごす時間も取れること。私にとって、夫婦にとって、これが最善の選択であると思ったのだ。

 それなのに、なぜこんな紹介をされなければならないのか。昔ながらの「良き妻像」を押しつけられた気がして、悲しかった。もちろん、専業主婦になることを選ぶ女性を否定するわけでは、決してない。ただ私は、その選択をしようと思っていなかった。

専業主婦だという思い込みは、働く私を否定する

 司会者からは後に「現在の状況についての項目を見落とし、専業主婦だと思い込んでいた」との連絡をもらった。結婚を機に以前勤めていた会社を退職したのは事実なので、そう思うのも分からなくはない。しかし、「思い込む」というのは、どこかに「結婚して引っ越してきたら専業主婦になる」という先入観があるからではないか。

 今回の件以外でも、「結婚して、夫がこちらで仕事をしているので引っ越してきました」と言うと、専業主婦だと思われることが多々あった。その前提で話を進められるので、もはや否定することすら面倒臭くてだいたいは受け流していたのだが、たまに「フリーで働いています」と言うと驚いた顔をされた。

 そうした人たちに何の悪気もないことは分かっている。けれども、そう思い込まれることは、専業主婦として夫を支える妻が正しくて、フリーランスで働く私は否定されたように感じてしまうのだ。

 “結婚式のプロフィール原稿事件”のときもそうだし、私は、「主婦になるの?」とか「お仕事はどうするの?」とか、最初に一言聞いてほしかったのだ。結婚しても、専業主婦になるのか働くのか、先入観なくフラットに考えることができればいいのに、と思う。

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