プロポーズに即答してしまった私。この結婚って正しかったの?
●telling, Diary ―私たちの心の中。
プロポーズって即答以外の選択肢ってあるのかな。
「結婚してください」
え……。その瞬間、返答に詰まった。今思えば、その直感をなぜ大切にしなかったのだろう。
プロポーズって、即答以外の選択肢ってあるのかな。聞いたことない。瞬時にいろんな“条件”が頭を駆け巡る。
実家はまともだし、世間的には「いい物件」だし。私は適齢期。
思わず「はい」と答えてしまった。
会社の先輩だった彼とは、まだ付き合って4カ月。私の男の趣味は一貫していて、仕事のできる人。趣味が合わないことも、自己主張が弱くてちょっと何を考えているかわからない性格も、まだ恋愛のスパイスとして楽しめる頃だった。そもそも、彼と付き合おうと思ったこと自体、年齢がそうさせたのかもしれない。
花嫁姿を見せないと
20代後半。別に無理して結婚しなくたって幸せでいられるって今ならわかるけど、そのときは周りの雰囲気に流されていた。正確には、私は気にしないとか言いながら、思いっきりその空気にのまれていた。
そのころ、最愛の祖母が末期がんにおかされた。花嫁姿を見せないと。頼まれてもいないのに、そんな思いにとらわれていた。結婚が決まってからも彼への違和感はあったのに、ひとたび結婚へと走り出したら、その歩みは急速に進み、関わる人は増え、簡単には止められない。思いとどまれなかった。
結婚式場の予約は1年後。いくつかの式場のプランナーによると、この予約期間は一般的なようだ。付き合った期間より、婚約してからの方がはるかに長い。一つの目標に向かう間はいろんなことに目をつぶれた。でも、全て終わったとき、違和感はみるみる顕在化した。
結婚って誰のためなんだろう
数年後、いよいよ耐えられなくなった。性格の不一致って、離婚理由でよく聞くけど、まさか私がそうなるとは。でも、あと50年この人と一緒にいるなんて考えられなかった。
結婚って誰のためなんだろう。自分のための結婚であるべきなのに、気づけば世間体や人を喜ばせるため、と目的が変わってしまっていた。
離れて暮らす母に会い、思い切って伝えた。後日、電話口で母は「かわいそうに」と言い、好きなようにしたらいいと涙声で慰めてくれた。親族へのおわびなど、両親には負担をかけてしまうことになった。
結婚はやめることのほうがはるかに大変だ。無理してするものでも、勢いで決めるものでもない。プロポーズに即答なんてしなくていい。じっくり、ゆっくり、本当の自分の幸せについて、考えて決められたらどんなによかっただろう。働き者だった祖母だって、花嫁姿よりも私が生き生きと生きてこそ、喜んだだろうな。
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