telling Diary ―私たちの心の中。

好きな人ができたかも。幸せな結婚生活を送っていた33歳女性の戸惑い

結婚して、もう恋愛から卒業したはずなのに……結婚3年目、東京在住の会社員Oさん(33)は、ある男性との出会いで、心が揺れています。夫は好き、でも彼のことが頭から離れない……その複雑な思いを、コラムに綴ってくれました。

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 好きな人ができたようだ。
 ようだ、というのはこの気持ちがいわゆる恋、というやつなのかわからないからだ。

 20代のときは、それこそ「惚れっぽい」という言葉がぴったりなぐらい、いつも好きな人がいた。ドキドキしたり、ハラハラしたり、そんなことを中心に1日が回っていたように思う。

「結婚しないならつきあいません」強気の宣言

 28歳の時に出会ったのが、今の夫。好きだな、と思ったけど最短距離で行きたかった私は、つきあってくださいという告白の返事に「結婚するつもりがないならつきあいません」と答えた。今思うと最悪だ。それでOKしてくれたんだから、なんという幸運なのだろう。

 ドキドキした気持ちがあったのは、1年ぐらい。そのあと同棲をはじめたら、もっともっとラブラブな生活が待っている……と思いきや、そんなことはなかった。

 トイレの使いかた、ご飯の食べ方。飲んで帰る時の連絡、家事の分担……。一緒に住むということは生活するということ。2人の落とし所をうまくつけるように、探り合いながら、思いやりながら、ときに傷つけながら。おさまりのつくところにおさまっていった感じだった。

「愛」と「信頼」から生まれる安定感

 いつしか恋のときめきは失われていたが、2人の間には新しい感情が芽生えていた。それは、「信頼」ということばが一番ぴったりくるように思う。お互いを思いやり、信頼し、日々を過ごしていく。それをひっくるめて愛と呼ぶのかもしれない。そして私たちは結婚した。

 「愛し合っている」という状態は、とても強固な安心感がある。例えるならば、しっかりと強いロープで港に係留されている船のような感じだ。まだ港に入れていない迷える友人や後輩から、アドバイスを求められることもあった。そのたび「落ち着いているよね」とか、「安心感があっていいよね」なんて言葉をもらっていた。

 ときめきはなくても、お互いが思いあえている。とても素敵なことだ。この人と一生穏やかな気持ちで生きていくんだろうな。そう思っていたし、信じて疑わなかった。

突然やってきた、抗えない気持ち

 なのに。

 突然、それはやってきた。
 ありがちだけれど、仕事仲間が開いてくれた飲み会に、彼は、いた。

 たしかに好みのタイプだ。だけど、私よりうんと若く、しかも結婚している人だ。ありえない。

 ありえない、ありえない。
 そう思っているのに。

 なんだか話が合うなとか、気づいたらそばにいるなとか、話すとき、顔が近いなとか。意識しまい、しまいと思うとどんどん気になってきて。

 なにげなく寄せられた体、触れた肩に電流が走った。

あ、これ、まずいやつかも。

 ずっと安定して凪いでいた港が、一瞬にして嵐にかわった。夫以外入り込めなかったはずの場所に、するりと入り込んできた人。

 いま、あの人からのLINEを心待ちにしている自分がいる。返事を待つ、その時間がこんなに長いなんて…時空が歪んだような気分だ。

 だからといって、夫を裏切ることはできない。夫のことは、愛しているのだ。

 どうしたいんだろう?私は。答えの出ない気持ちを抱えながら、いま、嵐の中に立っている。

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