コスパがいいだけじゃない「カヴァ」。試飲会に行ってみた

コスパの良さから、人気が高いスペインのワイン(Vino español)。中でもスパークリングワインの「カヴァ(Cava)」は、その華やかさと飲みやすさでミレニアル女子にも人気です。スペイン・バルに行くと「とりあえずカヴァ」と注文する女子も多いことでしょう。でも、何げなく注文してしまうカヴァの世界も実は奥深いようです。telling,編集部の「酒好き部員」が試飲会に参加しました。

 会場は「スペインクラブ銀座」(東京)。まだスペイン・バルもスペインワインも注目されていない1994年、東京・月島に1号店をオープンした、日本のスペイン・バルの草分け的存在です。系列店を含めて都内に直営5店舗を構えています。銀座店ではスペインからワインの生産者を招いて、不定期でワインの試飲会をしているそうです。

 この日の試飲会にはスペインの醸造家パコ・トレジョ(Paco de la Rosa Torelló)さん(53)が招かれました。実は、試飲会に参加するのは初めての私。多くのスペインワインファンが集まり、大人の雰囲気で、ちょっと私も緊張しました。早く冷たいカヴァを飲みたい……

フレッシュな口当たり、よく冷えたカヴァで「Salud!(乾杯!)」

 パコさんの「サルー!(Salud!)」という乾杯のあいさつとともに、1杯目をいただきます。帆立てのマリネとともにいただいたのは「トレジョ ブリュット(TORELLÓ BRUT)」。スパークリングワインらしく、シュワッとすっきり。軽い口当たりで飲みやすいですね。テーブルに添えられたリーフレットによると、「初夏の熟成感よりもブドウのフレッシュさを追求したカヴァ」だそうです。こういう説明を読むのも、味わうときのガイドになりますね。

 トレジョ家は、1395年に創業した家族経営の伝統的な醸造家です。一般的にはカヴァの熟成期間は9カ月以上ですが、トレジョ家のカヴァは最低でも24カ月の長期熟成が特徴です。ちなみに1395年といえば、日本では室町時代にあたります。軽やかな味わいの中にも重みとエレガントさがあるのは、歴史に裏打ちされた伝統があるからですね……なんて、わかったようなことを言ってはいけません。というわけで次、ください。

 2杯目に出てきたのは「トレジョ ブランク・トランキジェ(TORELLÓ Blanc Tranquille)」。カヴァのもととなるブドウ品種をそのまま瓶詰して白ワイン(Vino blanco)に仕上げています。ハチミツのような甘い香りや、生のぶどうを思わせるような香りがあります。さわやかな味で、何杯でも飲めそうです。

 試飲中何度も「サルー!」を連発するパコさんはトレジョ家の14代目。明るく陽気で、場を盛り上げてくれます。大の親日家で、何度も東京を訪れたことがあるそうです。

 ますますグラスが進むテーブルに、3杯目が登場しました。「トレジョ ライモンダ(TORELLÓ Raimonda)」。こちらは12カ月の樽熟成の後、24カ月のボトル熟成した赤ワイン(Vino tinto)です。大きなワイングラスで一口含むと、これまでとは違って、まろやかだけど濃厚な味です。

コースの最後までフルに楽しめるのがカヴァの魅力

 3杯目となると少し余裕が出てきたのか、参加者の様子が目に入るようになりました。あ、しまった……。参加者を見ると、ワイングラスを手に香りを楽しんでいます。私も少しマネをしてみました。

 そして、最後の4杯目は「グラン・トレジョ ブリュット・ナツレ(TORELLÓ Brut Nature)」。熟成期間は48カ月以上で、上品で複雑な味わいがあるカヴァ……と説明書には書いてあります。600年以上にわたってワインを作ってきたトレジョ家。初代はどんなワインを作ってきたのでしょうか。パコさんに聞いてみると、「いやあ、それは原始的なワインだったんでしょうね」とのこと。

 この頃になると、上品な酔いに加えて、魚料理や肉料理もしっかりいただいているので、もう満腹かつ満足。「おいしい!」以外の言葉が出てきません。普段、スペイン料理といえば「アヒージョ(Ahyejo)」や「生ハム(Jamón Serrano)」「トルティージャ(Tortilla)」くらいしか知らなかった私は、豊かでコスパもいいスペイン料理に感動しました。

 最後は「また日本に来ます」と語るパコさんとハグして、試飲会は無事終了しました。試飲会を主催したスペインクラブ代表の田代順さんによると、カヴァは食事前だけではなく、食中、食後と飲んでも良いそうです。カヴァといえば「最初の1杯」というイメージでしたが、「ボトルで頼んでテーブルに置いておくと、食卓が華やいで楽しいですよ」と教えてくれました。

 自宅でおいしく飲むときのコツは大きめのワイングラスで飲むこと。「手頃なカヴァでも、香りがふわっと広がって、おいしく感じます」。また、こんな楽しみ方も。「漬物にレモンを搾ると、カヴァに合うつまみになります。低カロリーですから太りません」。これならナマケモノの私でもできそうです。またひとつ、カヴァの楽しみが増えました。

  • 【この日のワイン】
  • ① トレジョ ブリュット 地域:ペネデス ブドウの品種:マカベオ、チャレッロ、パレリャーダ 価格:3564円(スペインクラブでの税込み販売価格、以下同)
  • ② トレジョ ブランク・トランキジェ 地域:ペネデス ブドウの品種:マカベオ、チャレッロ、パレリャーダ 価格:1944円
  • ③ トレジョ ライモンダ 地域:ペネデス ブドウの品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ 価格:3780円
  • ④ グラン・トレジョ ブリュット・ナツレ 地域:ペネデス ブドウの品種:マカベオ、チャレッロ、パレリャーダ 価格:10800円
  • 【この日の料理】
  • ① マリネした帆立 宮崎のシャンパンキャビアとアボカドのヴィネグレットで
  • ② ヒラメのヴァプール ケッパーとマスタードのアクセント マンチェゴチーズとオレンジ ウニのソースと根セロリのエッセンス
  • ③ 宮城産牛フィレ肉のソテー トレジョ ライモンダとトリュフのソース
  • ④ 渡り蟹と魚介のフィデウア
  • ⑤ トレジョ ブリュット・ナツレを使った自家製ソルベとブルーベリー

【問い合わせ先】スペインクラブ http://www.spainclub.jp/

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