「若い女の子」の次の立ち位置はなんだろう―telling, Diary
●telling,Diary―私たちの心の中。
電話をとったりコピーを手伝ったり先輩たちとランチへ行ったり。入社当時、なにもかもにビクビクしていた記憶がある。そしてその理由の一つに、なぜだかわからないけれどずっとイライラしている女の先輩、の存在があったことも確かである。
電話の受け答えを横で聞かれれば小言を言われ、ランチタイムには前の日から考えて考えてひねり出してきた渾身(こんしん)の話題にクスリとも笑ってもらえない。こんな先輩に絶対なるものか。そもそもどうしてこの人たちはこんなに怖いのだろう……。
女の先輩が、昔はあんなに怖かったのに
その理由が、ここ数年でわかってしまった。
後輩のミスを「違うだろ!」とどなりつけて許されるのは男性だけ。女性がやればたちまちヒステリックだと揶揄(やゆ)される。
だから最大限優しく伝える、それは結果「ネチネチ指摘する小言」に化学変化して相手に届いてしまう。
ランチの場で一生懸命話をする女の子、これが友達なら「わかるわかる!私も昨日ね……」と自分の話にもっていける。だけどそれじゃ、その子の話題を取ってしまうことになる。オジサンたちだってベテラン女の作り込まれた小噺なんて聞きたくないだろう。ああした場で大事なのは、話の中身ではなく、誰が主役か。だからグッと耐える。はい、「若い女の子の話題にのってこない先輩女社員」の出来上がり。
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後輩に怖がられない、ことの難しさ
後輩たちに怖がられない気さくな社員、ここのところそんな理想の社員と日増しに懸け離れていく実感をしながら、そのジェットコースターから降りられないことへの恐怖にさいなまれている。
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一つや二つ歳が離れているくらいならなんてことなかったのに、五つ六つと差が開いていくうちに、「そのままの自分」としてコミュニケーションをとっていくことで起きた失敗が増えていった。
今、私は20代前半の女性クライアント相手の営業、広報業務を行なっている。
男性の上司たちからは、彼女たちの「良き理解者であり、友達になれ」と言われる。
しかし実際に彼女たちに女友達のように接すると、必ずどちらかの理由で機嫌が悪くなるのである。
「あの人はオンナを出している」
「あの人は厳しくて圧が怖い」
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その子たちよりも長く生きてしまった分、女としての立ち振る舞いがうまくなってしまうことはままある。それが若い女の嫉妬を買う。
一方で、同年代の友達に容赦なくできる「オチないわけ、その話!」というツッコミが、若い子たちからしたらお説教になってしまう。
悩んでいたその時、周りにいる若い子からも親しみやすいと言われる女性たちにはある特徴があることに気づく。
祖母のようにうんうんと聞くか、母のようにまったくもぉーと大げさにあきれるか、はたまた父のようにガッハッハと豪快でいるか。つまり、「女」としていることをやめることで活路を見いだしているのである。
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実際に私自身、若い女の子たちに指導を要する場で、「ちょっとアンタたちぃ〜!」と熟女タレントのように大げさになリアクションであえて接することで、途端に彼女たちの表情がほぐれたのを体感したことがある。
自分の中のオバチャンを、前面に打ち出すのである。
年相応の自分でいたいだけなのに
本当はそうありたくないのに。
30歳、若者扱いしてほしいわけではないけど、年相応の自分としていたいだけなのに。
驚くべきことに、そうすることで「友達であれ」と指示していた男性上司たちも満足そうにしている。
いやワタシ、本当の女友達にこんな態度はとらないよ。これ、バカにしてんじゃんこの子たちのこと……。
女vs女として、若い女の子と同列でいるのをやめる。女としての主戦場から外れる。
「若い女の子じゃあるまいし」心ない男性たちが気軽に投げかけてくるその言葉の奥には、より根深く悩ましい問題があるように思える。
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