日本有数のデパート通が語る、“百貨店”の楽しみ方

人気放送作家の寺坂直毅さん。「星野源のオールナイトニッポン」「うたコン」など人気のテレビ、ラジオ番組を手がける一方で、全国のデパートに精通する「デパート愛好家」でもあるんです。幼稚園でデパート愛に目覚め、小学4年生からデパートを見るために全国を一人旅して250を超えるデパートを訪れたという徹底ぶり。そんな寺坂さんに、ミレニアル女子向けデパートの楽しみ方や、今注目のデパート、デパートへの愛を語っていただきました。

●好きよ、百貨店 04

デパートごとの個別の強みが明確になってきた

 今、デパートってすごく変わってきているんですよ。たとえば、上野御徒町の「パルコヤ」。老舗デパートの松坂屋ですが、南棟に商業施設の「パルコヤ」が入りました。テーマは「大人の、パルコ」。パルコ世代と松坂屋世代の間をターゲットにしています。

 最近は、以前のような「何でも強い」という店舗の作り方は減ってきています。都市圏で1つの街に複数のデパートがあるところは、それぞれのデパートが個別の「強み」をより前面に押し出すようになりました。靴はここ、食品はここ、ギフトはここ、子ども用品はここ、そして海外からの観光客はここ、といったように、消費者も目的に合わせてデパートを選ぶ時代になりました。

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 僕、デパートを愛していて、幼稚園の頃から250以上のデパートをめぐってきたんです。本を出したんですが、取り上げたデパートのどこに何台エレベーターがあるとか、フロア構成が頭に入ってます。デパートってファンタジーとノスタルジーが入り混じる、素敵な場所だと思います。

 40年くらい前までは、デパートは、アニメの「サザエさん」で出てくるように、特別な日におしゃれをして家族全員でお出かけする場所だった。レジャースポットだったんですよ。

 それが、いつしかおしゃれな女性をターゲットにしたイメージに変わって、ファミリー層が少なくなりました。気づいた時には、ファミリーをイオンモールなど大手のショッピングモールに取られてしまっていた。デパートに元気がなくなったと言われるのは、そこが大きいんじゃないかと僕は見ています。

 このところ、デパートで一番変わったのは、子連れのファミリーに対する設備の充実ですね。具体的には、授乳室や男性も入れるおむつ替えスペースの設置が増えてます。どこのデパートもファミリー層を呼び戻すのに工夫を凝らしています。

 中には、熊本の鶴屋百貨店のように、早くからファミリー重視にシフトして、賑わいを取り戻したお店もあるんです。鶴屋百貨店はすごいんです、授乳室を3フロアに置いたり、子ども用品フロアを遊園地のようにしてしまったり、大胆な改革をして成功してますよ。

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 僕は、デパート自体の規模が今の時代に合ってないと思ってます、これからのデパートって3フロアくらいで十分かもしれない。ほかのフロアは力のあるテナントを入れたらいいと思います。

モノにまつわるファンタジーも合わせてお買い物

 「こんな感じのものが欲しい」というぼんやりとした希望を、明確な商品に落とし込んでくれるのが、デパートのプロの売り手さんたち。ミレニアル世代の女性客がデパートの化粧品売り場に増えていて、売り上げも伸びているそうですが、女性たちも、彼らプロの存在を頼りにしているのではないかな。

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 たとえば僕が靴下を買いたいとしますよね、そのときに靴下売り場のスタッフに相談すると、それぞれの靴下について、いろんなストーリーが飛び出してくるんです。そんな話を聞いて、納得した一足を買うんですよ。
 そういう買い方……、ストーリーも込みで買う、みたいな買い方をすると、たとえその一足がすぐに破れちゃっても、三足1000円のほうが丈夫でも、それでもいいと思えるものなんです。彼らの知識を存分に頼って、ファンタジックで素敵なショッピングをしていただきたいと思います。

●寺坂直毅(てらさか・なおき)さん プロフィール

1980年宮崎生まれ。 放送作家として「うたコン」「星野源のオールナイトニッポン」などテレビ、ラジオ番組の構成を担当。幼い頃からデパートの魅力の虜に。2008年、鹿児島県のデパート山形屋の「山形屋大使」に任命され、2009年、著書「胸騒ぎのデパート」(東京書籍)を刊行。夢は「アイ・アム・テラサカ」という屋号でデパートを作ること。ほかに、紅白歌合戦研究、黒柳徹子研究などの趣味を持つ。

東京都生まれ。桐朋女子高校、成蹊大学出身。三児の母。趣味は音楽、旅、お酒、ヨガ。当面の目標は家族でフジロックに行くこと。
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好きよ、百貨店
百貨店にミレニアル女性客が増えています。なぜ今、百貨店なの?

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