百貨店にミレニアル女性が戻っているのはなぜ?
●好きよ、百貨店 01
百貨店が化粧品売り場を次々にリニューアルしている
東武百貨店池袋本店は昨年秋、化粧品売り場をリニューアルしました。その結果、以前は50代の顧客が中心だった化粧品購入が、20代の売上で2.2倍増、30代で1.8倍増に。
リニューアルの背景には、百貨店の化粧品の売上の伸びがあるそう。
「2017年の東京地区百貨店の化粧品売上は、前年比119%と大きく伸長しました。池袋店の化粧品も好調に推移しているので、さらなる収益を見込んで化粧品、雑貨、靴を販売している2階の改装を実施しました」(同社・広報)
改装にあたり、CHICCA、AVEDA、NARS、THREEの新規4ブランドを導入。「日本一広いNARSの売場では、ゆったりとした空間で豊富な品揃えです」と広報担当者は言います。「イヴ・サンローラン」「アナスイ」「M・A・C」など10ブランドの移設・拡大もし、合計55ブランドを取り揃えています。
今期の流行りは「ツヤ感メイク」
売場に展開される数々のコスメ。今期流行っているツヤ感メイクや、自然系コスメが人気のようです。売場をリニューアルした際、新規導入したり売場拡大したりしたブランドの中で特に支持率の高いアイテムを教えてもらいました。
同店の去年の客単価は11,000円で、2016年と比べると112%となっています。売上シェアでは、20代~30代が28%を占める結果に。この数値は前年比217%で、ミレニアル女性の購買率が上がっていることがわかります。
無料カウンセリングに予約が殺到
東京だけではありません。昨年4月には、名古屋でファッション、コスメ、カフェなど約150のショップが入っている「タカシマヤゲートタワーモール」がオープン。隣接する名古屋タカシマヤも、同モールの影響で、若い女性客が増えているとジェイアール東海高島屋の広報担当者は言います。
中でも人気なのは「コスメティックカウンター」。専門スタッフによる「お肌測定」、「ポイントメイクアドバイス」、「パーソナルカラーアドバイス」などのサービスを無料で受けられます。
「毎日深夜0時に2週間後の予約を10名前後受け付けていますが、一瞬で埋まってしまいます」(同社・広報)
ここ1、2年でミレニアル世代の来場者が増えていると言います。
ブランドを横断して選べるサービスに注目
ポイントは、ミレニアル世代向けコスメを、ブランドを横断して比較、体験できることのよう。12年のグランドオープン以降、年々売上規模は拡大している阪急うめだ本店。インバウンド需要も追い風となり、化粧品売場の売上シェアは全体の3割近くになっているそう。今年の春には売り場をリニューアルしています。
スキンケアの相談や提案をする「きれいきれいステーション」もバージョンアップ。自分自身に合うスキンケアを15ブランド以上から比較検討できるサービスを展開しています。
人気の“バーチャルメイク”って?
また、昨年夏に導入した“バーチャルメイク”が好評だと広報担当者は言います。バーチャルメイクとは、撮影した自分の顔写真にメイクをするサービスです。実際にメイクをする必要がないので、似合うかどうか、気に入るかどうかなどを体験することができるそう。やってみたい…!
様々な取り組みを行っている百貨店。その魅力の一つは、様々なブランドから自分に合う商品に出会えること。今までお気に入りのワンブランドで化粧品選びは完結しがちでしたが、ブランドを横断して比較できることで可能性が広がりそうです。百貨店の新しい取り組みやサービス、これからも目が離せそうにありません。
(次回に続く)