あなたのカラダ、冷えていませんか?〈食事編〉
「ゆっくり腹八分目」は冷え対策にも有効な食べ方
食べ過ぎは脂肪を増やすだけでなく、体の冷えにもつながることをご存知でしたか? 増えた脂肪は体脂肪になるだけでなく、血液中にもたまって血液の循環が悪くなってしまいます。さらにあまり運動をしないと、基礎代謝量と筋肉量が落ちて脂肪が燃えず、体が冷えてしまうのです。
満腹中枢は食べ始めて20分ほどで機能します。早食いはこの満腹中枢が機能する前に食べ過ぎてしまいます。時間をかけてよくかめば唾液が良く出て消化を助け、少しの量で満腹感を得られます。
- 【特にとり過ぎてはいけない食べ物】
- ●冷たい飲み物や食べ物……冷えた飲み物、アイスクリーム、氷などは体を内側から冷やし、胃腸や消化器系を弱めます。
- ●季節外れの生野菜・果物……食べ物には、体を冷やすものと温めるものがあります。ハウス野菜や果物のほとんどが体を冷やす作用があります。
ここ数年、「水を飲んでデトックス」などと言われています。水分をたくさんとることは、本当に健康のため、冷えの解消につながるのでしょうか。医師の石原新菜先生によると「水分をとり過ぎたり、水分の排出がうまくいかないと体に余分な水がたまってしまいます。この余分な水が体の熱を奪い、体を冷やしてしまうのです」。
余分な水を溜めないようにするには、「のどが渇いたら飲むようにして、運動や入浴で汗をかく習慣をつけましょう」(石原先生)
食性を知って冷えを防ぐ
漢方では、体を温める性質を陽気、冷やす性質を陰気と言います。その観点から、食品には体を温める「陽性食品」と、体を冷やす「陰性食品」の2種類があると考えられます。食性を見分ける目安は、以下の表を参考に。
体を冷やさないために、「陽性食品」を中心に、「陰性食品」のものを少なめにとる食事を心がけましょう。
陰性食品を調理の工夫で体を温める食事に
体を温めるためとはいえ、毎日陽性食品だけを食べていられるわけではありません。でも、陰性食品の生野菜や果物も、調理することで「体を温める食事」に変身させることができます。たとえば、今は季節外れの冬の野菜である大根や白菜は、おでんや鍋にして加熱して温めて食べれば問題ありません。体を冷やすからとあきらめずに、工夫して楽しく食事をしましょう。
- 【陰性食品で体を温める調理法の例】
- ●大根:煮ると平(中間)の食に。切り干し大根や漬物にすると体を温める食品になります。
- ●もやし:ゆでたり熱を加えると温性に近づきます。
- ●白菜・きゃべつ:湯通しすれば、冬でも体を冷やしません。
- ●なす:陰性食品ですが、油炒めやみそ汁にすれば体が温まります。
- ●レタス:生野菜サラダには、しょうがやにんにくなど体を温める食材入りのドレッシングを。
- ●いちご:トースターで2~3分温めると水分が飛んで甘味が増し、寒性が緩和されます。
薬味とスパイスを上手に取り入れる
冷え性には陽性の食べ物がいいと言われ、スパイスの多くが体を温める効果があります。ミント、しょうが、しそといった香りの強いハーブも体を温める食材です。調理に上手に取り入れることで、血液の循環をよくし、冷えた体を温めてくれます。
ただし、スパイスや薬味は刺激物なので、一度に大量に摂らず、毎日少しずつ、スパイスの効果を取り入れましょう。
- 【冷え予防に活用できるスパイス・薬味】
- しょうが:ショウガオールという成分が発汗作用や内臓の働きを高めます。
- とうがらし:カプサイシンが消化器系を温め、末梢血管の血流を促進します。
- こしょう:胃腸を温め血行促進作用があり、体が温まるのを実感しやすいスパイスです。
- ねぎ:刺激的な香りが消化液の分泌を促し、アリシンという成分が血流を促し体を温めます。
次回は、自分で簡単にできる〈ツボ押し編〉をお送りします。お楽しみに。
監修:石原 新菜医師(イシハラクリニック副院長、ヒポクラティック・サナトリウム副施設長)漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたる。『やせる、不調が消える 読む 冷えとり』(主婦の友社)『1週間で体が変わる「温め美人」生活』(三笠書房)など著書多数。https://www.ninaishihara.com/
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