telling,温活部〈生活編〉

あなたのカラダ、冷えていませんか?〈生活編〉

前回の記事でお伝えしたように、冷えの要因は体温調節を担う自律神経の乱れにあります。自律神経は昼間活動している時に交感神経(血管が収縮)、リラックスしている時や睡眠中に副交感神経(血管が拡張)が優位になります。 交感神経と副交感神経を上手に切り替え、冷えを生じにくくさせるにはどのようにしたらよいのでしょうか。1.睡眠 2.入浴 3.運動 4.服装 のそれぞれで、すぐに実践できるポイントをまとめました。

1.体を締め付けずリラックスして眠る

 本来、活動している日中は体温が上昇し、夜は体にたまった熱を下げるために血流量を上げて熱を放出して深部体温を下げます。しかし、体が冷えている人は日中も体温が上がらず、夜は「これ以上体温を下げてはいけない」と体の防御機能で熱を放出しにくくなり、交感神経が優位に働き続けます。その結果、リラックス神経の副交感神経が優位にならずに寝つきが悪くなり、眠りが浅くなってしまいます。

 また常に心身が緊張している状態の「過緊張」でいると、寝ている間も興奮した状態が続いてしまいます。冷えや過緊張によって良質な睡眠がとれないことで自律神経が乱れ、血流が悪くなってますます体が冷える悪循環にはまってしまいます。

【すぐできる睡眠で冷えを改善】

●寝る直前までパソコンやスマートフォンを触らない・・・・・・スマートフォンが発するブルーライトは、睡眠誘発ホルモン「メラトニン」の分泌を抑制すると言われています。

●寝る12時間前にぬるめの湯にゆっくり入浴する・・・・・・足が冷えないうちに布団に入りましょう。【入浴】

●パジャマを着て寝る・・・・・・Tシャツやジャージなど部屋着のままで寝ずに、体を締め付けないパジャマを着ましょう。【服装】

2.ぬるめ&長めの全身浴でリラックスと血行促進

 シャワーだけで済ませると体を冷やす原因に。シャワーで温まるのは体の表面だけです。お湯の熱さで毛穴が開き、水分や汗が蒸発する際に体の熱も奪われてしまい、体が冷えてしまいます。一方、お湯にゆっくりつかると、全身の血のめぐりがよくなり、代謝が促進されて体温が上がりやすくなります。

 また、体をリラックス状態にすることで、副交感神経が優位になります。その結果、血管が拡張されて手足の先までポカポカに。リラックスできる温度は3840度くらいが理想的です。反対に42度を超える熱い湯に入ると、交感神経が高ぶり血管が収縮してしまいます。

【すぐできる入浴で冷えを改善】

●38~40度くらいのぬるま湯に1020分程全身浴をする・・・・・・長時間つかるのが苦手な人は、途中で半身浴に切り替えましょう。

●風呂に入れないときは足湯も効果的・・・・・・40度程のお湯に15~20分程足首までつかります。湯温が下がらないように随時熱い湯を足しましょう。

3.下半身の筋肉量を上げる動作を毎日行う

 熱を作る筋肉量が少ないと、体が冷えやすくなります。筋肉の7割は足腰についています。ウォーキングやスクワットなどで下半身を重点的に鍛えましょう。ちょっときついなと感じる動作を習慣にするのがポイントです。

【すぐできる運動で冷えを改善】

●朝起きてすぐと寝る前に「ストレッチ」・・・・・・ふくらはぎや足首を伸ばしたり、背伸びをすることで血液の循環が良くなります。

●背筋を伸ばして歩幅を大きく「ウォーキング」・・・・・・リラックス効果の高いα波や自律神経の調整に深くかかわるセロトニンなどが分泌されやすくなります。

●太ももの筋肉を鍛える「スクワット」・・・・・・背筋を伸ばして両足を肩幅より少し広めに開いて立ち、両手を頭の後ろで組んで背筋を伸ばしたまま、ひざを曲げます。1セット510回で1510セットを目安に。

●自律神経を整える深い「腹式呼吸」・・・・・・鼻で息を吸いながらお腹を膨らませ、口から吐く息でお腹をへこませます。交感神経が優位になっている覚醒時に行うことで、副交感神経の働きを高めて自律神経のバランスを整えます。

4.体を締め付けず、下半身と首回りを温める

 体感温度に合わせた重ね着をし、血流をよくするために身体を締め付けないのがポイントです。上半身より下半身は厚くすることを基本に、手首・足首、首を冷やさないようにカバーします。心臓から遠い下半身は、血の巡りが悪くなりやすいため冷えやすいことを覚えておきましょう。デスクワークではひざ掛けなどで下半身を冷やさないようにします。

【すぐできる服装で冷えを改善】

●ゆったりした服装で体を締め付けない・・・・・・血流をよくするために、特にウエスト周りをきつくしないこと。寝るときはゆったりとしたパジャマを着ましょう。

●太もも、足首、手首を出さない・・・・・・筋肉量が多い太もも、太い血管が通る足首と手首を冷やさない服装を。

●上半身は気温差で調節できる着こなしを・・・・・・暖房などで汗をかいたあとに外に出ると体を冷やす原因に。重ね着で着脱しやすい服装を。

●下半身を温める・・・・・・腰やお腹をガードする発熱素材のスパッツも効果的。夏でも靴下を履くように心がけましょう。

 いかがでしたか? 簡単に取り入れられる生活のヒント。次回は、冷えをためない「食事」についてお伝えします。

監修:石原 新菜医師(イシハラクリニック副院長、ヒポクラティック・サナトリウム副施設長)

漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたる。『やせる、不調が消える 読む 冷えとり』(主婦の友社)『1週間で体が変わる「温め美人」生活』(三笠書房)など著書多数。
https://www.ninaishihara.com/

出版社で旅行誌などの編集を経て、現在はフリーランスの編集・ライター。女性のライフステージに寄り添う心身ケア、働き方などを中心に編集や執筆をしています。現在は夫、小学生の娘、猫1匹と生活中です。
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